【平成】第125代天皇陛下『退位の礼』関係諸儀式・日程・新元号・称号について!【皇位継承】

KJ
いよいよ天皇陛下のご退位と皇太子殿下のご即位が近付いてきました。

譲位による皇位継承は江戸時代後期の光格天皇以来200年ぶり、日本国憲法下では初となるだけでなく、あまり親しみのない言葉や仕組みのため、理解することが難しいと感じています。

そこで、この記事では「日本人として知っておきたいご退位の儀式」についてまとめました。

目次

天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位

退位の礼関係諸儀式等

賢所に退位及びその期日奉告の儀
かしこどころにたいいおよびそのきじつほうこくのぎ
(皇室行事)

  • 日付:平成31年(2019年)3月12日(火)
  • 場所:賢所

賢所に天皇陛下が御退位及びその期日を奉告される儀式です。

賢所(かしこどころ)とは

吹上御苑の東南にある宮中三殿(賢所・皇霊殿・神殿)の中央が賢所とされています。宮中において、三種の神器のひとつである八咫鏡の複製(実物は伊勢神宮の内宮に奉安)を天照大御神の御霊代として祀る場所です。古代から続く宮中祭祀が行われ、現在の皇后、皇太子妃など皇族の妃らを宮中に迎える結婚の儀も賢所で行われました。后妃が賢所を退出した際に婚姻成立とみなされます。

皇霊殿神殿に退位及びその期日奉告の儀
こうれいでんしんでんにたいいおよびそのきじつほうこくのぎ
(皇室行事)

  • 日付:平成31年(2019年)3月12日(火)
  • 場所:皇霊殿・神殿

皇霊殿神殿に天皇陛下がご退位及びその期日を奉告される儀式です。

皇霊殿(こうれいでん)とは

歴代天皇および皇族の霊を祀る場所です。天皇・皇族の霊は、死後1年をもって皇霊殿に合祀されます。毎年春分の日と秋分の日には春季、秋季の皇霊祭が行われます。

神殿(しんでん)とは

天神地祇を祀る場所です。天神(てんじん)は天津神(あまつかみ)を意味し、高天原にいる神々や高天原から天降った神々の総称とされています。地祇(ちぎ)は国津神(くにつかみ)を意味し、地に現れた神々の総称とされています。

神宮神武天皇山陵及び昭和天皇以前四代の天皇山陵に勅使発遣の儀
じんむてんのうさんりょうおよびしょうわてんのういぜんよんだいのてんのうさんりょうにちょくしはっけんのぎ
(皇室行事)

  • 日付:平成31年(2019年)3月12日(火)
  • 場所:御所

神宮並びに神武天皇山陵及び昭和天皇以前四代の天皇山陵にご退位及びその期日を奉告し幣物(へいもつ)を供えるために勅使を派遣される儀式です。

神宮に奉幣の儀
じんぐうにほうへいのぎ
(皇室行事)

  • 日付:平成31年(2019年)3月15日(金)
  • 場所:神宮(内宮・外宮)

伊勢神宮にご退位及びその期日を勅使が奉告し幣物を供える儀式です。

神宮(じんぐう)とは

三重県伊勢市にある神社で「伊勢神宮」「伊勢の神宮」「お伊勢さん」「大神宮さん」とも呼ばれています。神社において特に重要とさる「二十二社(にじゅうにしゃ)」の中でも特に格式が高い「上七社(かみしちしゃ)」の一社で、全国8万社の神社を包括する神社本庁の本宗(ほんそう)です。

「太陽」を神格化した天照坐皇大御神(あまてらしますすめおおみかみ)を祀る皇大神宮と、衣食住の守り神である豊受大御神(とようけのおおみかみ)を祀る豊受大神宮の二つの正宮があります。一般に皇大神宮は内宮(ないくう)、豊受大神宮は外宮(げくう)と呼ばれています。二つの正宮の他、別宮(べつぐう)、摂社(せっしゃ)、末社(まっしゃ)、所管社(しょかんしゃ)を含めた合計125の社宮を「神宮125社」と総称し、その所在地は三重県内の4市2郡に分布しています。

神宮は皇室の氏神である天照坐皇大御神を祀るため、歴史的に皇室・朝廷の権威と強い結びつきがあります。日本神話において、天孫降臨の際に天照大神(あまてらすおおかみ)が瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)に授けたとされる三種の神器(三種類の宝物)のうち「八咫鏡(やたのかがみ)」の実物が奉斎されています。八咫鏡は天照大神が天の岩戸に隠れた岩戸隠れの際、石凝姥命が作ったという鏡で「天照大神が岩戸を細く開けた時、この鏡で天照大神自身を映し、興味を持たせて外に引き出し、再び世は明るくなった」とされています。

原則として20年に一度、内宮(皇大神宮)・外宮(豊受大神宮)の二つの正宮の正殿、14の別宮の全ての社殿を造り替えて神座を遷し、宝殿、外幣殿、鳥居、御垣、御饌殿など計65棟の殿舎といった全社殿を造替する他、装束・神宝、宇治橋等も造り替える「式年遷宮(しきねんせんぐう)」が行われています。飛鳥時代の天武天皇が定め、持統天皇4年(690年)に第1回が行われ、平成25年(2013年)の第62回式年遷宮まで、およそ1300年間行われています。

神武天皇山陵及び昭和天皇以前四代の天皇山陵に奉幣の儀
じんむてんのうさんりょうおよびしょうわてんのういぜんよんだいのてんのうさんりょうにほうへいのぎ
(皇室行事)

  • 日付:平成31年(2019年)3月15日(金)
  • 場所:各山陵

神武天皇山陵及び昭和天皇以前四代の天皇山陵にご退位及びその期日を勅使が奉告し幣物(へいもつ)を供える儀式です。

神武天皇山陵及び昭和天皇以前四代の天皇山陵

神武天皇山陵及び昭和天皇以前四代の天皇陵は、次の通りです。

神武天皇陵

  • 陵名:畝傍山東北陵(うねびやまのうしとらのすみのみささぎ)
  • 陵所:奈良県橿原市大久保町

孝明天皇陵

  • 陵名:後月輪東山陵(のちのつきのわのひがしのみささぎ)
  • 陵所:京都府京都市東山区今熊野泉山町(泉涌寺内)

明治天皇陵

  • 陵名:伏見桃山陵(ふしみのももやまのみささぎ)
  • 陵所:京都府京都市伏見区桃山町古城山

大正天皇陵

  • 陵名:多摩陵(たまのみささぎ)
  • 陵所:東京都八王子市長房町武蔵陵墓地

昭和天皇陵

  • 陵名:武藏野陵(むさしののみささぎ)
  • 陵所:東京都八王子市長房町武蔵陵墓地

神武天皇山陵に親謁の儀
じんむてんのうさんりょうにしんえつのぎ
(皇室行事)

  • 日付:平成31年(2019年)3月26日(火)
  • 場所:神武天皇山陵

ご退位に先立ち、神武天皇山陵に天皇陛下が拝礼される儀式です。

※新元号決定・発表

  • 日付:平成31年(2019年)4月1日(月)
  • 場所:首相官邸

4月1日午前9時半より、有識者会議「元号に関する懇談会」が開かれます。懇談会では、菅義偉官房長官が複数の元号原案を示し、意見聴取を行います。その後、衆参両院正副議長の意見聴取、全閣僚会議を順次行い、新元号を閣議決定する運びとなります。閣議後、午前11時半より菅官房長官が記者会見を開き、新元号を発表する予定です。正午には安倍首相が会見を開き、同日中に天皇陛下が新元号の記された政令に署名され、一両日中に官報への掲載をもって公布されます。元号を切り替える政令の施行日は5月1日となります。

神宮に親謁の儀
じんぐうにしんえつのぎ
(皇室行事)

  • 日付:平成31年(2019年)4月18日(木)
  • 場所:神宮(内宮・外宮)

ご退位に先立ち、神宮に天皇陛下が拝礼される儀式です。

昭和天皇山陵に親謁の儀
しょうわてんのうさんりょうにしんえつのぎ
(皇室行事)

  • 日付:平成31年(2019年)4月下旬
  • 場所:昭和天皇山陵

ご退位に先立ち、昭和天皇山陵に天皇陛下が拝礼される儀式です。

退位礼当日賢所大前の儀
たいいれいとうじつかしこどころおおまえのぎ
(皇室行事)

  • 日付:平成31年(2019年)4月30日(火)
  • 場所:賢所

退位礼の当日、賢所に天皇陛下が退位礼を行うことを奉告される儀式です。

退位礼当日皇霊殿神殿に奉告の儀
たいいれいとうじつこうれいでんしんでんにほうこくのぎ
(皇室行事)

  • 日付:平成31年(2019年)4月30日(火)
  • 場所:皇霊殿・神殿

退位礼の当日、皇霊殿神殿に天皇陛下が退位礼を行うことを奉告される儀式です。

退位礼正殿の儀
たいいれいせいでんのぎ
(国事行為)

  • 日時:平成31年(2019年)4月30日(火)午後5時〜午後5時10分
  • 場所:皇居・宮殿正殿 松の間

天皇陛下がご退位を宣明される儀式です。

退位礼正殿の儀次第概要

  1. 天皇皇后両陛下お出まし(侍従がそれぞれ剣、璽並びに国璽及び御璽を捧持。皇太子同妃両殿下始め成年の皇族各殿下が供奉)
  2. 侍従が剣、璽並びに国璽及び御璽を案上に奉安
  3. 国民代表の辞(内閣総理大臣)
  4. 天皇陛下のおことば
  5. 天皇皇后両陛下御退出(侍従がそれぞれ剣、璽並びに国璽及び御璽を捧持。皇太子同妃両殿下始め成年の皇族各殿下が供奉)
剣(けん)とは

三種の神器の一つ、神剣(天叢雲剣=あまのむらくものつるぎ=草薙剣)の形代のこと

璽(じ)とは

三種の神器の一つ、神璽(八尺瓊勾玉=やさかにのまがたま)のこと

国璽(こくじ)とは

「大日本国璽」と刻された国印(勲記に押印される)

御璽(ぎょじ)とは

「天皇御璽」と刻された天皇の御印(詔書・法律・政令・条約の公布文、条約の批准書、大公使信任状・解任状、全権委任状、領事委任状、外国領事認可状、認証官の官記・免官の辞令などに押印される)

国民代表の辞と天皇陛下のお言葉

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退位礼正殿の儀の国民代表の辞(安倍晋三首相)

謹んで申し上げます。

天皇陛下におかれましては、皇室典範特例法の定めるところにより、本日をもちましてご退位されます。

平成の30年、「(うち)(たい)らかに(そと)()る」との思いの下、私たちは天皇陛下と共に歩みを進めてまいりました。この間、天皇陛下は、国の安寧と国民の幸せを願われ、一つ一つのご公務を、心を込めてお務めになり、日本国および日本国民統合の象徴としての責務を果たしてこられました。

わが国は、平和と繁栄を享受する一方で、相次ぐ大きな自然災害など、幾多の困難にも直面しました。そのような時、天皇陛下は、皇后陛下とご一緒に、国民に寄り添い、被災者の身近で励まされ、国民に明日への勇気と希望を与えてくださいました。

本日ここにご退位の日を迎え、これまでの年月(としつき)を顧み、いかなる時も国民と苦楽を共にされた天皇陛下の御心(みこころ)に思いを致し、深い敬愛と感謝の念を今一度新たにする次第であります。

私たちは、これまでの天皇陛下の歩みを胸に刻みながら、平和で、希望に満ちあふれ、誇りある日本の輝かしい未来を創り上げていくため、さらに最善の努力を尽くしてまいります。

天皇皇后両陛下には、末永くお健やかであらせられますことを願ってやみません。

ここに、天皇皇后両陛下に心からの感謝を申し上げ、皇室の一層のご繁栄をお祈り申し上げます。

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退位礼正殿の儀の天皇陛下のお言葉

今日(こんにち)をもち,天皇としての務めを終えることになりました。
ただ今,国民を代表して,安倍内閣総理大臣の述べられた言葉に,深く謝意を表します。
即位から30年,これまでの天皇としての務めを,国民への深い信頼と敬愛をもって行い得たことは,幸せなことでした。象徴としての私を受け入れ,支えてくれた国民に,心から感謝します。
明日(あす)から始まる新しい令和の時代が,平和で実り多くあることを,皇后と共に心から願い,ここに我が国と世界の人々の安寧と幸せを祈ります。

Today, I am concluding my duties as the Emperor.

I would like to offer my deep gratitude to the words just spoken by Prime Minister Shinzo Abe on behalf of the people of Japan.

Since ascending the throne 30 years ago, I have performed my duties as the Emperor with a deep sense of trust in and respect for the people, and I consider myself most fortunate to have been able to do so. I sincerely thank the people who accepted and supported me in my role as the symbol of the State.

I sincerely wish, together with the Empress, that the Reiwa era, which begins tomorrow, will be a stable and fruitful one, and I pray, with all my heart, for peace and happiness for all the people in Japan and around the world.

元号『平成』

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提案者

  • 山本達郎(やまもとたつろう)
  • 明治43年(1910年)6月16日生 – 平成13年(2001年)1月24日没
  • 東洋史学者
  • 東京大学名誉教授
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出展

  • 『史記』五帝本紀:「内(内かに外る)」
  • 『書経(偽古文尚書)』大禹謨:「地(地かに天る)」
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意味

国の内外、天地とも平和が達成される

称号

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上皇(じょうこう)

天皇の退位等に関する皇室典範特例法第三条

前条の規定により退位した天皇は、上皇とする。
上皇の敬称は、陛下とする。
上皇の身分に関する事項の登録、喪儀及び陵墓については、天皇の例による。
上皇に関しては、前二項に規定する事項を除き、皇室典範(第2条、第28条第2項及び第3項並びに第30条第2項を除く。)に定める事項については、皇族の例による。

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上皇后(じょうこうごう)

天皇の退位等に関する皇室典範特例法第四条

上皇の后は、上皇后とする。
上皇后に関しては、皇室典範に定める事項については、皇太后の例による。

KJインプレッションズ〜所感

この記事では「日本人として知っておきたい退位の儀式」についてまとめました。

先述の通り、日本国憲法下において初めての譲位による皇位継承となるため、今上天皇ご退位の儀式については様々な議論があります。

例えば「上皇」「上皇后」という称号は”先例に倣って「太上天皇(たいじょうてんのう)」「皇太后(こうたいごう)」とすべき”などの意見も多く聞かれます。

そうした議論は専門家の方に委ねるとして、自分のような一般国民はまずどのような儀式がいつどのような場所で行われるのか、知ることが大切です。

この記事が、その一助となれば大変光栄です。

これまで、皇居に京都御所、神宮(内宮・外宮)、熱田神宮などの皇室ゆかりの地を訪ね、日本神話にまつわる書を拝読するなどしてきましたが、まだまだ知らないことやわからないことだらけです。

自分自身もこの記事の作成を通して知識を育み、今後も更新していきたいと思っております。