誕生!トロ・ロッソ・ホンダのすべて!2018年マシン&ドライバー/2019年レッドブル・ホンダ動向まとめ

2017シーズン:トロ・ロッソ・ホンダ発表

広報発表

Scuderia Toro Rossoへのパワーユニット供給を決定

Hondaは、FIAフォーミュラ・ワン世界選手権(以下、F1)において、Scuderia Toro Rosso (スクーデリア トロ・ロッソ 以下、トロ・ロッソ)と2018年シーズンからのパワーユニット供給について合意いたしました。これにより来シーズンは、トロ・ロッソをワークスチームとした1チームへの供給体制となります。
※Fédération Internationale de l’Automobile(国際自動車連盟)の略称

本田技研工業株式会社 代表取締役社長 八郷隆弘のコメント
「トロ・ロッソは、才能あるドライバーを数多く輩出してきた若さと勢いのあるチームで、彼らと共にチャレンジできることを、とても嬉しく思います。また、このパートナーシップの実現に向け、ご協力をいただいたリバティメディアとFIAに対して感謝を申し上げます。
ファンの皆さまの期待に応えられるよう、トロ・ロッソと共にチーム一丸となって戦ってまいりますので、応援をよろしくお願いいたします」

Scuderia Toro Rossoチーム代表 フランツ・トストのコメント
「Hondaと共にレースができることを、チーム全員がとても楽しみにしています。Hondaの創業者、本田宗一郎さんが二輪車で初めてレースの世界に入って以来、レースは常に彼らの企業文化の中心です。そのHondaと我々が一丸となってチャレンジすれば、大きな成果につながるのは間違いありません。
HondaのF1活動には、初参戦した1964年から始まる長い歴史があり、エンジンサプライヤーとして5回のドライバーズタイトルと、6回のコンストラクターズタイトルを獲得しました。このHondaの伝統と実力をもってすれば、我々の未来は実りあるものになると確信しています」

 

Scuderia Toro Rosso to join forces with Honda

Scuderia Toro Rosso is pleased to announce that it has reached a multi-year agreement with Honda Motor Co. Ltd. to run Honda power units starting from the 2018 Formula 1 season.

Franz Tost (Team Principal):
“Everyone in our team is very much looking forward to working with Honda. Ever since its founder Soichiro Honda entered his motorcycles in events, racing has always been a central part of the company’s ethos. It’s a very exciting challenge and I hope that both parties will gain a great deal from it as we develop together. Honda has a long history in Formula 1, dating back to 1964 when it first entered the sport with its own team and, as an engine supplier it has taken five Drivers’ World Championship titles and six Constructors. This heritage, together with the full confidence that we have in Honda’s capabilities to succeed, make me strongly believe that we will achieve a fruitful future together.’

James Key (Technical Director):
“We are very pleased with our new partnership with Honda and the opportunities this presents, and we start to work immediately. It will be a question of adaption of our plans rather than a wholesale change and we are in the process of re-planning our design and production activities in conjunction with Honda to ensure that we both hit all our important deadlines. There are some challenges to face given the time of year but Toro Rosso has faced many difficult tasks with timing in the past and has the flexibility to deal with it. We will be working hard not to only re-design the PU installation but also ensure that this has minimal or no effect on the ongoing development work for 2018 – that is our current target. The architecture of the car will change in line with the PU requirements and our chassis and gearbox designs are currently under review to be adapted accordingly, similarly we will be working closely with Honda on the performance aspects of the PU installation that the chassis will influence to ensure we maximise the potential of the package as a whole from the outset. We look forward to a strong, stable and proactive partnership with our colleagues at Honda.”

Takahiro Hachigo (President & Representative Director of Honda Motor Co., Ltd.):
“Toro Rosso is an experienced team with a youthful energy and history of nurturing the stars of the future. Everyone at Honda is looking forward to working with Toro Rosso, and we are excited to start this new chapter in our Formula 1 journey with them. I would like to express our appreciation to Liberty Media and the FIA for their cooperation toward the realization of this partnership. Honda and Toro Rosso will work as one team to strive for progress and a successful future together. We appreciate the support of our fans as we begin this challenge.”

FIA公式記者会見

森山さん、今日、マクラーレンとの離別およびトロ・ロッソとの提携が発表されました。ホンダの代表として、この件についてコメントしてもらえますか?
はい、私はホンダのモータースポーツ全体を統括しており、ホンダの代表としてここに出席させていただいている森山です。まず質問にお答えする前に、今回の短期間にこの交渉をまとめるにあたり多大なご協力をいただいたFIAそしてリバティメディアに本当に感謝するとともに、こういった場を提供してくださり本当に感謝を申し上げたいと思います。マクラーレンとは、大変高い志を持ってパートナーシップを始めて参りましたが、目標に到達できる前にこういった形で関係を終えることは非常に残念に感じています。また、その非常に大きな理由として我々のPUが目標に到達できなかったことは非常に残念に感じています。
ただ、トロ・ロッソという非常に有能な若手ドライバーを多数輩出し、なおかつ勢いのあるチームと、また新たなパートナーシップを組めることは本当に光栄に感じています。また、ホンダ F1にとって新たな歴史の1ページが開けるということで、今から来年の開幕に向けて大変心待ちにしている。

森山さん、ここ数ヶ月ホンダの役員会議で撤退を検討しているという噂が出ていましたが、それは本当ですか?また、なぜ最終的にホンダはF1に残ることを選択したのでしょう。
ホンダにとってF1は、非常に特別なものであります。創業者の本田宗一郎が参戦を夢見たところから始まり、そして50年以上もこのF1に関わっています。いまやホンダにとってF1というのは非常に大きな企業文化であり、またDNAであるというふうに考えています。確かに、今は非常に厳しいタイミングにあり、社内でも大変厳しい議論があったことは確かに事実であります。当然、誰しもが現状で満足しているわけではなく、それに対して苦境をいかに脱するかと言うことについて本当に激しく議論したということが事実であり、状況を改善するためにどうするかということを議論してまいりました。よって、撤退と言うことは一言も出ていません。この苦境に対してチャレンジして乗り越えることこそホンダのチャレンジングスピリットであるという風に感じており、ここで、しっかりチャレンジングスピリットを発揮することが今、本当にホンダにとって必要なことであると感じております。そして来年、早くトップ3に加われるところまで達成することが我々にとっての目標であるという風に考えております。

山本さん、あなたが実際にマクラーレンやトロ・ロッソとの交渉を行っていた人だと思うが、どのようなことが実際に起こっていたのかを教えてください。
今シーズンは実際、パフォーマンスと信頼性が目標に達しなかったことで、シーズン当初から、マクラーレンからは(パートナーシップの)解消の話が出ていました。それは事実です。ただ、ホンダはやっぱりマクラーレンと継続することを望んできたのですが、最終的にはマクラーレンと来年以降レースができないことは本当に残念に思っています。ただ、皆さんもご存知のように、イタリアGP前後から時期的にもう厳しい状況になっていたのは事実で、その前後から今回の話が急速に加速したのは事実です。実際ご存知の方もいらっしゃるんですけど、日本のスーパーフォーミュラの件で昨年のUS GP以降、(レッドブルの)ヘルムート・マルコさんとは何回か話し合いを持つ場があって、ご存知のように日本でレッドブルカラーのピエール・ガスリー選手がスーパーフォーミュラに参加してくれています。そのような関係でヘルムート・マルコさんとはグランプリの時に時折話す機会があり、そんな中で今回イタリアGPの前後でもマルコさんからトロ・ロッソの話をいただきました。フランツ・トストさんは日本に滞在されたこともあって、非常に日本のヒストリーを理解していただけているということと、トロ・ロッソ自体が若手の良いチームであることを認識していて、今後トストさん達のチームとやることに対しては光栄に思っています。

山本さん、ホンダはここまでの3年間非常に厳しい時期を送っていますが、トロ・ロッソとなら成功できると思うのはどのような背景からでしょうか。
これからトロ・ロッソとは時間のない中、パートナーシップとしてはいい関係を築けるという風に感じています。一つは、トロ・ロッソは非常にF1に対してピュアであって、ホンダのレーシングスピリットと似ているという風に私は感じていて、時間のない中、互いにコミュニケーションを良くして、来年に向けて準備を始めていきたいと思っています。

山本さん、ここまでの3年間でホンダとしてF1で何を学んだと思いますか?
私は去年の4月からこの仕事をしているが、F1を通じて一番思うことが、世界トップレベルのカテゴリーであるということと、チームとの関係を構築していくことが非常に難しい、国内のレースとは違った難しさを感じています。特にマニュファクチャラーとしては、今のF1の最先端のテクノロジーの部分が非常に難しい、ホンダとして参戦が1年遅れたことで後れを取っているということも含めて、いま必死で挽回している途中ですので、そういったところではテクノロジーも非常に高度で難しいということは感じています。

山本さん、ホンダは過去3年のF1で成功を収めていませんが、どうして次の3年で成功が出来るという自信があるのでしょうか?
自信があると言うことではなくて、話し合いの中で、トストさんとは、先ほど言ったようにモータースポーツに通じるものがホンダと非常に近いというところがあり、そういった関係で今回レギュレーション変更前の2020年までという話の契約を進めました。

森山さん、ホンダはトロ・ロッソをパートナーとして、今後3年を戦うことになるわけですが、日本の他メーカーがF1に参戦してもらうために、F1は何をしなければいけないと思いますか?
今、日本で言いますと(F1は)TVの地上波で放送されていません。衛星放送で有料というお客様だけに見られるという環境なので、やはりそこが一番大きなところかなという風に思っています。もちろん我々ホンダとしても更にプロモーション活動を強化しながら、しっかりと日本のお客様にリーチさせていかなくてはという風に思っています。

山本さん、マクラーレン・アプライド・テクノロジーズがF1チームに対してハイブリッドの一部の技術の提供を行ってきたと思いますが、その関係は継続するのでしょうか?
マクラーレン・アプライド・テクノロジーズとは関係は継続します。ただ、ホンダで今、自前でほとんどのパーツを作れるようにしようと動いていますので、関係は少し継続しますけど、いずれは自前でやりきろうと思っています。

森山さん、ホンダの社長はかつての位置に戻るためにはもっとリスクをとらなければいけないと言っていました。それがF1で抱えているホンダの問題の一つだと思いますか?
いや、そんなことはないと思っています。今回のマクラーレンとのコラボレーションは、参戦前に空白期間があり、その空白期間の遅れを取り戻すことに非常に時間がかかったというのが正直な認識です。その中で、その遅れを一気に取り戻そうということで、かなり大掛かりに資源を投入したと言うところはありますので、リスクという部分で言えば、ホンダとしてはかなりF1に投入していると言えると思っています。実際に、かなりすばやいキャッチアップはできていると思っていますが、さらに努力が必要だと思っています。

ホンダが多額の資金をマクラーレンに投資していたと言うことはよく知られていることです。この資金はトロ・ロッソに行くことになるのでしょうか?
色々なネットニュースでは出ていますけど、トストさんのところのトロ・ロッソとは非常にいい関係を構築できると思っていまして、多額のお金を払っているとか、そういうことは一切ございません。

山本さん、ホンダはトロ・ロッソを買収するという噂がありましたが、将来的にそのようなことは起こりうるのでしょうか?
そのような話はネットニュースで私も初めて見て驚いたくらいで、ホンダの中でトロロッソを買うとか、ホンダが今将来に渡ってそういったことを考えているということは一切ありません。トロ・ロッソとは非常にいい関係で、彼らの強いところと我々の強いところをうまくコラボレーションして、来年良いスタートが切れるように、いま努力しているところなので、私たちは本当に楽しみです。

山本さん、2019年にレッドブルにPUを供給するのでしょうか?
まずはですね、来年2018年にトストさん、トロ・ロッソとホンダは精一杯やりきることを大前提に、もしそういう機会があれば私は良いかなとは思いますけども、まずは来年2018年をしっかりトラック上でパフォーマンスを出し切ることに集中したいと思います。

森山さんと山本さん、過去にはホンダのF1は常に技術の実験室でした。ですが、2000年代にはマーケティング的な色合いが強くなりました。現在のホンダにとってマーケティングとエンジニアリング、どのような割合でしょうか?
ホンダという会社は、モータースポーツがDNAなので、モータースポーツのウェイトとかプロダクトのウェイトという話ではなくて、組織組織、役割を持っているところが常に100%レーシングスピリット感覚で仕事をしているというのが僕はホンダだと思っているので、そういった意味ではどこに何パーセントのウェイトをおいているというよりは、常にチャレンジする目標値を達成するために従業員一人ひとりが力を合わせてやっている、ということでいかがでしょう?

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スクーデリア・トロ・ロッソ

チーム

「tororosso factory」の画像検索結果
  • エントリー名:スクーデリア・トロ・ロッソ(Scuderia Toro Rosso)
  • チーム国籍:イタリア共和国
  • チーム本拠地:イタリア共和国エミリア=ロマーニャ州ラヴェンナ県ファエンツァ
  • チーム代表:フランツ・トスト
  • テクニカルディレクター:ジェームス・キー
  • チームマネージャー:グラハム・ワトソン

名称の意味・由来

  • スクーデリア(イタリア語)=厩舎=レースチーム(英語)
  • トロ(イタリア語)=雄牛=ブル(英語)
  • ロッソ(イタリア語)=赤色=レッド(英語)

スクーデリア・トロ・ロッソ(イタリア語)=レッドブル・レーシング(英語)

レッドブル・レーシングとの関係

トロロッソは世界的なエナジードリンクメーカーであるレッドブル社の創業者ディートリヒ・マテシッツがミナルディを買収して設立したチームで、レッドブル社が運営するレッドブル・レーシングに続いて2006年からF1活動を開始。

レッドブル社が運営する若手育成プログラム「レッドブル・ジュニアチーム」から選ばれた有望な若手ドライバーにテストドライブやリザーブドライバーの機会を与え、更にレギュラー起用して経験を積ませる役割を担っており、これまでセバスチャン・ベッテル、ダニエル・リカルド、マックス・フェルスタッペンらをトップチームであるレッドブル・レーシングに昇格させてきた。

限られた予算の中で堅実なマシンを製作することに定評がある一方、表彰台を獲得したのは後にレッドブル・レーシングで4度のタイトルを獲得するセバスチャン・ベッテルが初優勝を飾った雨のイタリアGPただ一度である。

成績

  • デビュー:2006年第1戦バーレーンGP
  • 活動年:2006年~
  • 勝利数:1(初優勝:2008年第14戦イタリアGP)
  • PP獲得数:1(初PP:2008年第14戦イタリアGP)
  • 表彰台:1(初優勝:2008年第14戦イタリアGP)
  • コンストラクターズタイトル:0
  • ドライバーズタイトル:0
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2018シーズン:トロ・ロッソ・ホンダの船出

2018シーズンの各チーム・マシン・ドライバー情報まとめはこちら

広報発表

Red Bull Toro Rosso Honda、新型マシン「STR13」を公開

HondaとScuderia Toro Rosso(スクーデリア・トロロッソ)が結成したRed Bull Toro Rosso Honda(レッドブル・トロロッソ・ホンダ)は、参戦初年度となる2018 FIA※フォーミュラ・ワン世界選手権(以下、F1)の開幕に先立ち、Hondaの新型パワーユニット「Honda RA618H」を搭載した新型マシン「STR13」を公開しました。

チームは、スペイン・バルセロナで2月26日から8日間にわたって行われるテストで実戦に向けた調整を行い、3月25日(日)にメルボルンで決勝を迎えるオーストラリアGPに臨みます。
※Fédération Internationale de l’Automobile(国際自動車連盟)の略称

■スクーデリア・トロロッソ チーム代表 フランツ・トストのコメント
「Hondaとともに迎える新たなシーズンが今から楽しみです。これまでエンジン独占供給を受けた経験がないトロロッソが歴史のあるHondaとパートナーになり、これからともに進んでいくことにわくわくしています。また、我々は2人のルーキーを2018シーズンのドライバーに迎えています。ルーキーとはいえ、ピエール・ガスリーもブレンドン・ハートレーも昨年いくつかのレースで我々とともに戦っており、今シーズンが彼らにとって初のF1フル参戦の年になるのです。ピエールは2016年のGP2(現F2)チャンピオンであり、ブレンドンは昨年のFIA世界耐久選手権とル・マン24時間で王者となりました。そんな2人に競争力のあるマシンを提供できれば、ハイレベルなパフォーマンスを示してくれると確信しています。我々がハードワークを重ねて開発したSTR13がサーキットを駆ける姿を目の当たりにすることが待ちきれません。いよいよ、シーズンの始まりです…Gambarimasu(ガンバリマス)!!」

■本田技研工業株式会社 ブランド・コミュニケーション本部長 森山克英のコメント
「昨年9月のパートナーシップ発表から、非常にタイトな時間の中で準備を進めてきましたが、この日を迎えることができました。ここまで一緒に開発に取り組んできたトロロッソとHondaのエンジニア、メカニックの皆さんに感謝の言葉を送りたいと思います。今日から始まるテストで新生Red Bull Toro Rosso Hondaのマシンを熟成させメルボルンに向かいます。皆さまの応援をよろしくお願いします」

Toro Rosso STR13

  • ボディ:コンポジット・モノコック構造
  • ギヤボックス・メインケース:スクーデリア・トロロッソ製カーボン製ワンピース構造
  • ギヤ:油圧式8速シーケンシャル(レッドブル・テクノロジー提供)
  • フロントサスペンション:アッパー&ロワー・カーボン・ウィッシュボーン、プッシュロッド、トーションバー・スプリング、アンチ・ロールバー
  • リヤサスペンション:アッパー&ロワー・カーボン・ウィッシュボーン、プルロッド、トーションバー・スプリング、アンチ・ロールバー
  • ブレーキ:ブレンボ製キャリパー、パッド、ディスク/スクーデリア・トロロッソ製ブレーキ・バイ・ワイヤ

Honda RA618H

 

燃料&潤滑油

  • エクソンモービル

タイヤ

  • ピレリ P ZERO

小林可夢偉選手が活躍したザウバーのテクニカル・ディレクターだったことでも知られる、ジェームス・キーの手掛けた今シーズンのシャシー「STR13」は、レッドブル・レーシング「RB14」からの影響を各所に色濃く共有したものとなる。

レギュレーションが大きく変わった2017シーズンは、リスク分散の意図もあってレッドブルとトロ・ロッソのシャシーは異なる哲学の下で開発されていたが、いわば「答え合わせ」が済んだ今シーズンは、レッドブル・レーシングと可能な限り技術情報を共有し、双方の開発スピードを加速させることは間違いない。

但し、レッドブルがルノー製パワーユニットを使用するのに対して、トロ・ロッソはホンダ製パワーユニットを使用する。両者のレイアウトは大きく異なるとされており、その違いがシャシー後方の空力処理に影響を与えるだろう。

このシャシーに搭載されるホンダ製パワーユニット「RA618H」は、昨シーズン新たに採用されたコンセプトの発展形となる。

新たにHRD Sakura担当執行役員に就任した浅木泰昭氏の指揮のもと、ホンダ社内の様々な部門の持つ技術リソースを活用する”オール・ホンダ体制”で開発を進めていく。一例としてはホンダジェットの技術リソースを注入し、品質管理や信頼性評価方法などのオペレーションを見直すとともに、昨年苦しまされたMGU-Hについては設計を根本から見直すなど、まずは「信頼性の確保」に重点を置いた開発となっている。

これは2人のルーキードライバーに経験を積ませることと、シャシー側の開発を滞らせないように配慮したためである。それは勿論、昨シーズンの轍を踏まない為である。

ホンダのパワーユニットにとって最も大きな課題である「パワー」については、2機目を投入するタイミングに照準を合わせて開発を進める。この伸び代によって、2019シーズンにレッドブルがホンダPUを搭載するかどうかを判断することになるため、非常に重要なものとなるだろう。

しかし、浅木執行役員や山本モータースポーツ部長らホンダの首脳陣は2018シーズンに向けて「効果的な開発を適切なスピードでやりきる」方針を断言しており、場合によっては3機目に先送りすることも厭わないだろう。逆に、順調に開発が進めば後のペナルティーを覚悟で前倒し投入することもあり得る。

トロ・ロッソとの関係について、ホンダ首脳陣は基本的に「要望があればできる限り協力したい」というスタンスであり、それはパワーユニットの領域に限らないそうである。現時点では、レッドブルに供給することを急ぐよりも、トロ・ロッソのチーム力向上を地に足つけて取り組む方針だ。

それは功を急ぐあまり空回りが見られた昨シーズンまでとは異なるアプローチであり、ホンダの組織的な変化を感じられるポジティブな要素である。

いずれにせよ、シーズン序盤はまだまだパワー不足を耐え忍ぶ時が続きそうである。中盤以降の大きな飛躍に期待して、今暫く見守りたい。

2018レギュラードライバー

プレスリリース

ピエールとブレンドン、残留!

スクーデリア・トロ・ロッソは、2018年F1シーズンのドライバー・ラインアップが、ピエール・ガスリーとブレンドン・ハートレイで構成されることを発表する。
それぞれ今年マレーシアとテキサスでF1デビューを果たしたふたりは、来年もチームメイトとして仕事を続けることになる。
来週のアブダビGPは、ピエールにとっては5回目、ブレンドンにとっては4回目のグランプリ週末となるが、2018年をスタートするための重要な経験を積み、F1をよりよく理解すると同時にチームになじむことができるだろう。

フランツ・トスト チーム代表
「ピエールとブレンドンが2018年の我々のドライバーとなることを、レッドブルが早い段階で決定したことをうれしく思う。今シーズン終盤、彼らはF1で走る準備が整っていることを証明した。すばやくマシンに適応し、優れたパフォーマンスを発揮、このチャレンジに立ち向かう用意ができているということを示してきた。彼らの学習の進行具合には非常に感心している。誰もがF1にこれほど早く適応できるわけではない。彼らを1年を通して走らせることを楽しみにしている。来年、我々は優れたパッケージを彼らに提供したいと思っている。そういったパッケージでドライバーが一貫したパフォーマンスを示せば、彼らは好結果を目指せる環境で走ることができるはずだ。彼らはチームとともに、強力な結果を出すため、来年もプッシュし、戦い続けるだろう」

ピエール・ガスリー選手
「2018年にスクーデリア・トロ・ロッソでレースができることになり、ものすごくうれしい。来年は初めてF1でフルシーズンを走ることになる。僕がここにくるまでサポートをしてくれたすべての人たちに感謝したい。レッドブル、トロ・ロッソ、家族、そして下位カテゴリーで僕を支えてくれた人たちだ。すごく興奮しているし、アブダビと来年1年を通して全力を尽くそうと、やる気に満ちている」

ブレンドン・ハートレー選手
「来年トロ・ロッソのF1ドライバーを務めることが決まって、最高の気分だ。突然訪れたチャンスを2018年のF1シートにつなげることができ、喜びを感じる。これ以上ないほどハッピーだよ!僕を信じて二度目のチャンスを与えてくれたレッドブルとトロ・ロッソに感謝したい。夢はかなうんだね。この忙しいシーズン終盤をいい形で終えることを目指して、これまで以上に懸命に仕事にあたるつもりだ。そして新しい年には最初から強さを発揮したい。チャレンジは望むところだよ!」

#10 ピエール・ガスリー(21)

主な戦績

2012 ユーロカップ・フォーミュラ・ルノー 10位
2013 ユーロカップ・フォーミュラ・ルノー チャンピオン
2014 ワールドシリーズ・バイ・ルノー3.5 2位
2015 GP2シリーズ 8位、Red Bull Racingテストドライバー
2016 GP2シリーズ チャンピオン、Red Bull Racingテストドライバー
2017 全日本スーパーフォーミュラ選手権 2位、F1世界選手権 Scuderia Toro Rossoから5レースに参戦

フランス出身の21歳、ピエール・ガスリーはレッドブルのジュニアドライバーであり、2016年のGP2でタイトルを獲得、2017年にはスーパーフォーミュラにフル参戦し、僅か0.5ポイント差でランキング2位となった。

今季F1第15戦マレーシアGPではダニール・クビアトに代わる形でトロ・ロッソからF1デビュー。それ以降、スーパーフォーミュラ最終戦と重なったアメリカGPを除いて、トロ・ロッソで走り続けた。

#28 ブレンドン・ハートレー(28)

主な戦績

2007 ユーロカップ・フォーミュラ・ルノー チャンピオン
2008 英国F3選手権 3位、マカオGP 3位、Scuderia Toro Rossoテストドライバー
2009 Scuderia Toro Rosso/Red Bull Racingテストドライバー
2010 GP2シリーズ 27位、Scuderia Toro Rosso/Red Bull Racingテストドライバー
2011 GP2シリーズ 19位
2012 GP2シリーズ 25位、メルセデスAMG・ペトロナスF1チームテストドライバー
2013 ル・マン24時間レース 6位、メルセデスAMG・ペトロナスF1チームテストドライバー
2014 FIA世界耐久選手権(WEC) 6位
2015 FIA世界耐久選手権(WEC) チャンピオン、ル・マン24時間レース 2位
2016 FIA世界耐久選手権(WEC) 4位、ル・マン24時間レース 13位
2017 FIA世界耐久選手権(WEC) チャンピオン、ル・マン24時間レース 優勝、F1世界選手権 Scuderia Toro Rossoから4レース

ニュージーランド出身の28歳、ブレンドン・ハートレーは、かつてはレッドブルジュニアチームのドライバーであり、レッドブルのリザーブドライバーも務めたが、2010年途中でレッドブルジュニアチームを解雇された。

メルセデスからF1テストに参加した後、活動の場をスポーツカーレースに移す。2014年にWECのポルシェワークスドライバーに起用され、2015年と2017年にはドライバーおよびマニュファクチャラータイトルを獲得、2017年ル・マン24時間レースでも勝利している。

F1の世界を離れてもレッドブル首脳陣にコンタクトし続けていたといわれるハートレーは、ガスリーが出場できないF1アメリカGPでトロ・ロッソに抜擢され、驚きのF1デビューを飾った。それ以降、WECとF1の両方に参戦し、忙しいシーズン終盤を送っていた。

ちなみにこのイケメンドライバーは見た目通りナルシストの傾向があると言われ「彼女よりも風呂場にいる時間が長い」「身支度に30分以上かかる」など逸話に事欠かない。

レッドブルのしたたかな戦略

レギュラードライバーに起用されたブレンドン・ハートレーだが、彼は2017年のWEC及びル・マン王者でもあり、今季同様にポルシェとの契約を維持する。具体的な活動は今のところコース外でのPRや記念式典などに限定されるとされているが、ポルシェ側はGTプログラムへの参加も示唆している。

レッドブルジュニアチームの人材不足という事情もあるが、かつてレッドブルジュニアチームを解雇された経験を持つポルシェのワークスドライバーを起用した裏には、2021年以降のエンジン選択に関する動きがあると見て間違いないだろう。

2019年に向けてトロ・ロッソにホンダのパワーユニットを「味見」させつつ、世界選手権のレースシートを喪失させてしまったハートレーに「救いの手を差し伸べる」ことでポルシェに恩を売っておく。そして、市販車ではアストンマーチンとの協業も進め、メインスポンサーにも迎えている。レッドブルの非常にしたたかな「三股」戦略である。

HFDPドライバーの動向

福住仁嶺(20)

2017:GP3(3位/22人)→2018:FIA F2/Super Formula

レッドブルレーシングのチーム代表、クリスチャン・ホーナーが共同オーナーのアーデン・インターナショナルからFIA F2に参戦。

不振にあえぐかつての名門チームだが、レッドブルとホンダの肝煎りでエンジニアリング面を強化し、戦闘力アップに繋げる方針だ。

スーパーライセンスポイントを稼ぐために国内最高峰Super Formulaにも無限からダブルエントリーする。但し、スケジュールの重複があるためSuper Formulaはスポット参戦となる。

尚、福住選手は「レッドブル・アスリート」としてレッドブルの支援を受け、「レッドブルジュニアチーム」の一員となった。Formula1へのステップアップ最有力候補と言っていいだろう。

牧野任祐(20)

2017:FIA F3 EURO(15位/19人)→2018:FIA F2

2017年のチャンピオンチーム、ロシアンタイムからFIA F2に参戦。

チームは「ロシア資金で活動するロシア国籍のチーム」であることから、アメリカ企業であるリバティメディアは、彼らがアメリカ政府の指定する経済制裁対象に含まれないことを明確にする必要があり、参戦決定が遅れてしまった。

しかし、それでもチーム体制に変化がないようであれば福住選手のアーデンよりも格上のチームだと言える。戦力的には最もF1に近い存在かもしれない。ちなみに山本モータースポーツ部長の秘蔵っ子である。

チームウェア・グッズ


2018 レッドブルトロロッソ ホンダ チーム Tシャツ
9,000円(税込)


2018 レッドブルトロロッソ ホンダ ファンクショナル Tシャツ
12,000円(税込)


2018 レッドブルトロロッソ ホンダ チーム ポロシャツ
13,000円(税込)


2018 レッドブルトロロッソ ホンダ チーム ZIP フーディー
18,000円(税込)


2018 レッドブルトロロッソ ホンダ チーム レインジャケット
22,000円(税込)


2018 レッドブルトロロッソ ホンダ チーム ソフトシェルジャケット
30,000円(税込)


2018 レッドブルトロロッソ ホンダ ブレンドン ハートレイ Tシャツ
7,000円(税込)


2018 レッドブルトロロッソ ホンダ ピエール ガスリー Tシャツ
7,000円(税込)


2018 レッドブルトロロッソ ホンダ REFLEX フーディ
15,000円(税込)

EURO SPORTS
クラブウィナーズ・オンラインストア

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2019シーズン:レッドブル・ホンダ結成へ


ホンダがPU供給先をマクラーレンからトロ・ロッソに変更するにあたり、念頭にあるのは2019年からのレッドブル・レーシングへの供給であることは間違いない。そうでなければ、ホンダのような日本の大企業の取締役会が承認するはずがない。おそらくは来季のトロ・ロッソのパフォーマンス次第という条件付きながら、レッドブル側からそうしたアプローチはあったと思われる。

しかし、ここへきて少し状況は変わってきている。まず、ルノーがレッドブルに対して2018年限りでPU供給を打ち切ると通告したと報道。これが事実であれば、ワークスチームを持つフェラーリとメルセデスがその地位を脅かすトップチームへの供給を拒否していることから、レッドブルは事実上、ホンダ以外にPUの選択肢がなくなってしまった事になる。しかし、だからと言ってレッドブル・ホンダ誕生へ向かうかといえば、話はそれほど単純ではない。

レッドブル・レーシングは市販車開発で提携するアストンマーティンとの2018年シーズンのタイトルスポンサー契約を発表し、併せて新たに共同事業を始めることも発表された。また、一方ではポルシェがF1復帰に向けてレッドブル・レーシングの提携または買収を模索しているという報道もある。これらは2021年以降のエンジン規則変更に向けて、レッドブル側が自動車メーカーからより良い条件を引き出すための動きの一部だと見るべきだろう。

レッドブル・レーシングとの中長期的なジョイントプロジェクトへの発展を目指すホンダにとって、大きなプレッシャーとなる。まずは来年の9月上旬までにトロ・ロッソ・ホンダで一定の成果をあげる必要がある。そこで躓くようであれば、レッドブルはマクラーレンがそうしたように政治的な力でホンダ以外のPUを入手しようとするだろう。また、及第点以上の成績を残した場合にも、2020年以降を見越した提携を結ぶためには、新レギュレーション下でのエンジン性能の見込みや契約条件面でアストンマーティンやポルシェを上回ることを求められ、競わされることになる筈だ。

2018年用PUの開発はもちろん、新レギュレーションに向けた基礎研究への着手、そして交渉能力や広報体制の強化と、これからの1〜2年はホンダにとってまさに正念場であり、ホンダの総力を挙げて挑む時が来たと言える。ホンダの奮起と大活躍に期待したい。

その他、レッドブル・トロ・ロッソ・ホンダのシートを狙う日本人ドライバーについてもまとめているので、ぜひそちらの記事も読んでほしい。

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