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山本尚貴選手がF1日本GPのプラクティスセッションを担当
現在国内レースのトップカテゴリーであるSUPER FORMULAとSUPER GTに参戦中の山本尚貴選手が、2019年のFIA※フォーミュラ・ワン世界選手権(F1)日本グランプリのフリープラクティスセッション(FP1)にてRed Bull Toro Rosso Hondaのマシンでの走行を担当することになりました。山本選手は、2018年のSUPER FORMULAとSUPER GT GT500クラスを制覇し、ダブルタイトルを獲得している日本のトップドライバーの一人です。
コメント
山本尚貴選手
「まず、今回私にこのような素晴らしい機会をくださったScuderia Toro Rosso、Red Bullグループ、そしてHondaに感謝を申し上げます。小さいころから自分の夢だったF1マシンを、鈴鹿という特別な舞台、そして日本人のファンの皆さんの前でドライブできることを本当にうれしく思っています。ここに来るまでに、F1のレース週末にToro Rossoに帯同したり、Red Bullのファクトリーでシミュレーターに乗ったりと、いろいろな準備を重ねてきました。当日は、チームが予選と決勝でいい結果を残せるよう、有益なデータを集めることが私のメインの仕事になりますが、それと同時に自身のパフォーマンスを最大限に発揮できるよう努めたいと思います。27年前の鈴鹿でF1を見たあの日からずっと憧れ続けてきたこの舞台で自身が走れる事に感謝をし、その夢の瞬間をファンの皆さんとともに楽しみたいと思っています。ご声援、よろしくお願いいたします」
今週金曜のFP1出走に向けて、山本尚貴選手がチームのファクトリーで意気込みを語っています#PoweredByHonda pic.twitter.com/pIMlmSblFc
— Honda Racing F1 (@HondaRacingF1) October 7, 2019
Super Formula and SuperGT champ Naoki Yamamoto will drive in Free Practice at the Japanese Grand Prix with @ToroRosso 🙌🏻
👉🏻 https://t.co/rRvS6ZSnj4#PoweredByHonda
— Honda Racing F1 (@HondaRacingF1) October 7, 2019
Scuderia Toro Rosso チーム代表:フランツ・トスト
「今年の日本グランプリのFP1で、山本選手が素晴らしい仕事をしてくれると確信しています。彼は昨年のSUPER GTとSUPER FORMULAでダブルタイトルを獲得した才能あるドライバーで、鈴鹿サーキットについても熟知しています。いくつかのF1のレース週末でチームに帯同し、すでにエンジニアたちともいい関係を築いていますし、シミュレーターでのドライブも経験済みですので、FP1を走る準備はできていると思っています。今回最も大切なことは、山本選手自身がこの世界で最も素晴らしいサーキットの一つである鈴鹿でF1マシンの走りを楽しむことです。そして、スタンドを埋める日本のファンの皆さんにも、その姿を見て喜んでいただければと思っています」
本田技研工業株式会社 ブランド・コミュニケーション本部長:森山克英
「今回、鈴鹿という舞台で、山本選手が現代のF1マシンをドライブする姿をファンの皆様にご覧いただけることを非常に嬉しく思っています。実現に向けて尽力いただいたScuderia Toro RossoおよびRed Bullグループに感謝を申し上げます。山本選手には、この経験を糧にさらに強いレーシングドライバーに進化していってくれることを期待していますし、日本のドライバーを代表してF1日本GPで大きな足跡を残すことで、後に続く若手ドライバーへの大きな刺激となってくれればとも考えています。ファンのみなさま、力強いご声援をよろしくお願いいたします」
※ Fédération Internationale de lʼAutomobile(国際⾃動⾞連盟)の略称
山本 尚貴(やまもと なおき)
Naoki “Bucho” Yamamoto
パーソナルデータ
名前
- 山本尚貴(やまもと なおき)
愛称
- 部長(ぶちょう)
サントリースーパーチューハイのCMに出演していた「スーパー部長」というキャラクターに似ていた?ことから…完全に小学生ノリである。
生年月日
- 1988(昭和63)年7月11日 月曜日
出身地
- 栃木県宇都宮市
身長
- 164cm
体重
- 58Kg
血液型
- RH+B
趣味
- マウンテンバイク
- フィッシング
- 旅行
- 料理
学歴
宇都宮市立鬼怒中学校
卒業式の2日にイタリアへ出発した。
作新学院高等学校
- 総合進学部(スポーツ特待生)
作新学院高校の教師がレーシングカートをやっていて山本尚貴選手のことを知っており「ウチに来い」と誘われたことで入学を決めた。
競技歴
1998年:10歳
- SL鹿沼シリーズ・PS-PCRクラス(シリーズチャンピオン)
2000年:12歳
- 全日本ジュニアカート選手権・FP-Jrクラス(シリーズ7位・1勝)
2001年:13歳
- 全日本カート選手権・ICAクラス(シリーズ3位)
2002年:14歳
- 全日本カート選手権・FAクラス(シリーズチャンピオン・5勝)
2003年:15歳
- 全日本カート選手権東地域・FAクラス<Rd.1,3 スポット参戦>(2勝)
- 全日本カート選手権・FSAクラス<Rd4〜>(シリーズ6位)
2004年:16歳
- FIK イタリアン オープン マスターズ・FAクラス(シリーズ29位)
- CIK-FIA アジアパシフィック選手権・ICAクラス(シリーズ6位)
2005年:17歳
- FIK イタリアン オープン マスターズ・FAクラス(シリーズ5位)
- CIK-FIA 世界カート選手権・FAクラス<ポルトガル大会>(12位)
2006年:18歳
- 鈴鹿サーキットレーシングスクール(SRS-F)入校(スカラシップ獲得)
2007年:19歳
- FCJシリーズ(シリーズ2位・2勝)
2008年:20歳
- 全日本F3選手権・全日本選手権クラス(Honda Team Real #7 Honda Team Real/ダラーラF308 MF204C)(シリーズ5位・1勝)
2009年:21歳
- 全日本F3選手権・Nクラス(HFDP RACING #7 HFDP RACING/ダラーラF307 3S-GE)(シリーズチャンピオン・8勝)
2010年:22歳
- 全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(NAKAJIMA RACING #31/スウィフト017.n HR10E)(シリーズ7位・ルーキー・オブ・ザ・イヤー)
- SUPER GT・GT500クラス(TEAM KUNIMITSU #100 RAYBRIG HSV-010/HSV-010 HR10EG)(シリーズ8位)
2011年:23歳
- 全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(TEAM 無限 #16/スウィフト017.n HR10E)(シリーズ11位)
- SUPER GT・GT500クラス(TEAM KUNIMITSU #100 RAYBRIG HSV-010 GT/HSV-010 HR10EG)(シリーズ9位)
2012年:24歳
- 全日本選手権フォーミュラ・ニッポン(TEAM 無限 #16/スウィフト017.n HR12E)(シリーズ11位)
- SUPER GT・GT500クラス(TEAM KUNIMITSU #100 RAYBRIG HSV-010 GT/HSV-010 HR10EG)(シリーズ5位)
2013年:25歳
- 全日本選手権スーパーフォーミュラ(TEAM 無限 #16/スウィフト017.n HR12E)(シリーズチャンピオン・1勝)
- SUPER GT・GT500クラス(ウイダー モデューロ 童夢レーシング No.18 ウイダー モデューロ HSV-010 GT/HSV-010 HR10EG)(シリーズ4位・1勝)
2014年:26歳
- 全日本選手権スーパーフォーミュラ(TEAM 無限 #1/ダラーラSF14 HR-414E)(シリーズ9位)
- SUPER GT・GT500クラス(ウイダー モデューロ 童夢レーシング No.18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT/NSX CONCEPT-GT HR-414E)(シリーズ4位・1勝)
2015年:27歳
- 全日本選手権スーパーフォーミュラ(TEAM 無限 #16/ダラーラSF14 HR-414E)(シリーズ5位・1勝)
- SUPER GT・GT500クラス(TEAM KUNIMITSU No.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT/NSX CONCEPT-GT HR-414E)(シリーズ3位・1勝)
2016年:28歳
- 全日本スーパーフォーミュラ選手権(TEAM 無限 #16/ダラーラSF14 HR-414E)(シリーズ7位・1勝)
- SUPER GT・GT500クラス(TEAM KUNIMITSU No.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT/NSX CONCEPT-GT HR-414E)(シリーズ14位)
2017年:29歳
- 全日本スーパーフォーミュラ選手権(TEAM 無限 #16/ダラーラSF14 HR-417E)(シリーズ9位)
- SUPER GT・GT500クラス(TEAM KUNIMITSU No.100 RAYBRIG NSX-GT/NSX-GT HR-417E)(シリーズ7位)
2018年:30歳
- 全日本スーパーフォーミュラ選手権(TEAM 無限 #16/ダラーラSF14 HR-417E)(シリーズチャンピオン・3勝)
- SUPER GT・GT500クラス(TEAM KUNIMITSU No.100 RAYBRIG NSX-GT/NSX-GT HR-417E)(シリーズチャンピオン・1勝)
2019年:31歳
- 全日本スーパーフォーミュラ選手権(TEAM DANDELION RACING #1/ダラーラSF19 HR-417E)
- SUPER GT・GT500クラス(TEAM KUNIMITSU No.1 RAYBRIG NSX-GT/NSX-GT HR-417E)
主な競技成績
出走回数
- 全日本スーパーフォーミュラ選手権:51
- SUPER GT・GT500クラス:76
優勝回数
- 全日本スーパーフォーミュラ選手権:7
- SUPER GT・GT500クラス:4
ポールポジション
- 全日本スーパーフォーミュラ選手権:10
- SUPER GT・GT500クラス:2
選手権タイトル
- 2009:全日本F3選手権(Nクラス)
- 2013 & 2018:全日本スーパーフォーミュラ選手権
- 2018:SUPER GT・GT500クラス
家族
妻:恵里さん(狩野恵里)
テレビ東京のアナウンサー。
2016年8月11日に入籍。
1986年10月29日生まれで、姉さん女房である。
娘(双子)
2018年2月7日生まれの双子の女児。
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2019 F1日本グランプリ
FORMULA 1 JAPANESE GRAND PRIX 2019
鈴鹿サーキット
- フリー走行1:10月11日(金)10:00 – 11:30
- フリー走行2:10月11日(金)14:00 – 15:30
- フリー走行3:10月12日(土)12:00 – 13:00
- 予選:10月12日(土)15:00 – 16:00
- 決勝:10月13日(日)14:10 – 16:10
テレビ中継 & 配信
フジテレビNEXT/smart・スカチャン4K
- フリー走行1:10月11日(金)9:50 – 11:40
- フリー走行2:10月11日(金)13:50 – 15:40
- フリー走行3:10月12日(土)11:50 – 13:10
- 予選:10月12日(土)14:50 – 17:00
- 日本GP前夜祭:10月12日(土)17:45 – 19:30
- ドライバーズパレード:10月13日(日)12:25 – 13:00
- 決勝:10月13日(日)13:30 – 17:00
F1 GPニュース 鈴鹿サーキットから 生中継SP
- 10月10日(木)17:50 – 19:00 LIVE(S.ベッテル&C.ルクレール 生出演予定)
- 10月11日(金)19:30 – 20:30 LIVE
- 10月12日(土)19:30 – 20:30 LIVE
- 10月13日(日)13:00 – 13:30 LIVE
BSフジ
- 決勝:10月14日(月・祝)17:00 – 19:00 録画
DAZN(ダゾーン)
- フリー走行1:10月11日(金)10:00 – 11:30 LIVE
- フリー走行2:10月11日(金)14:00 – 15:30 LIVE
- フリー走行3:10月12日(土)12:00 – 13:00 LIVE
- 予選:10月12日(土)14:45 – 17:00 LIVE
- ドライバーズパレード:10月13日(日)12:25 – 13:00 LIVE
- 決勝:10月13日(日)13:30 – 17:00 LIVE
マルチアングル:F1 ZONE(F1ゾーン)
- 予選:10月12日(土)14:45 – 17:00 LIVE
- 決勝:10月13日(日)13:30 – 17:00 LIVE
特別番組:ホンダF1 栄光の名レース F1 Honda Rewind 2019年
- 第9戦オーストリアGP:レッドブル・ホンダ初優勝
- 第11戦ドイツGP:レッドブル・ホンダとトロロッソ・ホンダが1-3フィニッシュ
- 第12戦ハンガリーGP:レッドブル・ホンダとメルセデスの熱戦
特別番組:ホンダF1 栄光の名レース F1 Honda Rewind
- 1984年アメリカGP:ウィリアムズ・ホンダのケケ・ロズベルグが優勝
- 1988年日本GP:アイルトン・セナが初のワールドチャンピオン獲得
- 2006年ハンガリーGP:第3期Honda F1とジェンソン・バトンの初優勝
特別番組:ドライブトゥエフワン 日本人レーシングドライバー ドキュメンタリー
- エピソード1 :名取鉄平
- エピソード2 :角田裕毅
キャンペーン
日本GPに向けてDAZNでは『F1日本GP特別応援キャンペーン』を展開しており、期間中にDAZNの1カ月無料体験に新規登録すると、Hondaパワーユニットを載せてF1を戦うレッドブルまたはトロ・ロッソのドライバーサイン入りグッズが抽選でプレゼントされる。9月末にスタートしたこのキャンペーンは日本GP決勝レースが行われる10月13日(日)23時59分までに登録した方が抽選の対象となる。
観戦チケット
チケット料金
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観戦席
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チケット情報
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現地タイムスケジュール
10月10日(木)ピットウォーク
- 8:30 – 18:30 メインゲートオープン
- 9:00 – 11:30 木曜ピットウォーク
- 9:00 – 12:30 木曜ストレートウォーク
- 11:30 – 12:30 木曜キッズピットウォーク
- 16:00 – 17:00 F1ドライバーズサイン会
10月11日(金)フリー走行
- 8:30 – 18:30 メインゲートオープン
- 8:30 – 17:30 Honda BIGドライバーバルーン
- 10:00 – 11:30 【F1】フリー走行1
- 12:00 – 12:45 【Porsche Carrera Cup Japan】フリー走行
- 14:00 – 15:30 【F1】フリー走行2
- 16:00 – 16:30 デイモン・ヒルトークショー
- 16:00 – 16:30 【FIA F4 Suzuka Special Stage】フリー走行
- 16:30 – 17:00 佐藤琢磨&中嶋一貴トークショー
10月12日(土)予選
- 8:00 – 20:30 メインゲートオープン
- 8:00 – 17:30 Honda BIGドライバーバルーン
- 9:30 – 10:00 デイモン・ヒルトークショー
- 9:50 – 10:20 【FIA F4 Suzuka Special Stage】公式予選
- 10:45 – 11:15 【Porsche Carrera Cup Japan】公式予選
- 11:00 – 11:30 中嶋一貴 & 畠山愛理トークショー
- 12:00 – 13:00 【F1】フリー走行3
- 13:30 – 13:55 スーパーフォーミュラトークショー
- 14:00 – 14:30 佐藤琢磨トークショー
- 14:05 – 14:25 ブライダルパレード
- 15:00 – 16:00 【F1】公式予選
- 16:30 – 17:00 中野信治 & 畠山愛理トークショー
- 16:30 – 17:00 【FIA F4 Suzuka Special Stage】決勝1(8周もしくは25分)
- 17:25 – 17:55 土曜キッズピットウォーク
- 17:40 – 19:25 F1日本グランプリ前夜祭
- 18:00 – 18:20 ハーストークショー
- 18:20 – 18:40 トロ・ロッソトークショー
- 18:25 – 20:00 ナイトピットウォーク
- 18:40 – 18:55 ウィリアムズトークショー
- 19:15 – 19:30 レッドブルレーシングトークショー
- 19:25 – 20:00 土曜ストレートウォーク
- 19:30 – 19:45 メルセデストークショー
- 19:30 – 20:30 F1日本グランプリ決勝前夜ファンセッション(さくらホール)
10月13日(日)決勝
- 8:00 – 20:00 メインゲートオープン
- 8:00 – 17:30 Honda BIGドライバーバルーン
- 8:30 – Hondaフェイスシール配布
- 8:30 – U23限定・ドライバーフェイスパネルをGET!
- 9:45 – 10:15 【FIA F4 Suzuka Special Stage】決勝2(8周もしくは25分)
- 10:10 – 10:30 04 Limited Sazabys GENトークショー
- 10:30 – 10:55 中野信治&川上憲伸&吉田沙保里トークショー
- 10:40 – 11:15 【Porsche Carrera Cup Japan】決勝(10周もしくは30分)
- 11:30 – 11:50 ブライダルパレード
- 12:30 – 13:00 ドライバーズパレード
- 14:10 – 16:10 【F1日本グランプリ】決勝(53周)
- 16:10 – 18:30 F1日本GP決勝プレイバック上映
- 16:30 – 17:00 チャリティオークション
- 16:30 – 18:00 西コースウォーク
- 17:00 – 17:20 川上憲伸&吉田沙保里トークショー
- 17:30 – 18:30 佐藤琢磨 プレイバックトークショー&キッズサイン会
10月14日(月・祝)ファンイベント
- 9:30 – 18:00 メインゲートオープン
- 9:30 – 10:30 ウイナーズカード配布
- 10:00 – 10:30 月曜ファンミーティング
- 10:45 – 12:15 F1日本GP決勝プレイバック上映
- 10:45 – 12:30 ホームストレートウォーク
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KJインプレッションズ(2019.10.7)
山本尚貴選手が2019日本GPで遂にF1デビューを果たすー。
と言っても、残念ながらその機会はレース参戦ではなくフリー走行1回目(90分間)への出走に限られる。
しかし、2014シーズンまでレギュラードライバーとしてF1を戦った小林可夢偉選手以降、最新のF1マシンをドライブしたのが2017テストでザウバーから出走した松下信治選手以来であることを考えると、山本選手本人のみならず日本人ドライバーにとって大きな一歩であることは間違いない。
山本選手にとっては2度目のチャンスとなる。最初のチャンスが訪れたのは2013年後半のことだ。2015年からのF1復帰を発表していたホンダが、将来的な日本人F1ドライバー誕生を視野に入れて欧州レースに参戦させるべく、候補となる3選手をイギリス・ウォーキングのマクラーレン・テクノロジーセンターに送り込んだ。
山本尚貴選手、塚越広大選手、そして翌年よりGP2へ挑戦するチャンスを掴むことになる伊沢拓也選手である。
当初は塚越選手の起用を本命候補として進められたプロジェクトだったようである。塚越選手は2008年にユーロF3を戦い、翌年からのGP2参戦が計画されていた。伊沢選手は2003年にドイツでフォーミュラ・ルノーを戦った経験がある。山本選手には海外のフォーミュラレース経験が無かったものの、レーシングカート時代の2004〜5年にはイタリアを拠点に戦った経験がある。
マクラーレンでは最新鋭のシミュレーターに乗ってからフィジカルトレーニングを行い、それからドライビングコーチとの語学レッスン。その中でドライビングはもちろん、エンジニアリング面の知識や英語でのコミュニケーション能力などがテストされた。そして、マクラーレンがホンダへ「合格」と伝えたドライバーは、山本選手ではなく伊沢選手だった。
山本選手はインタビューで当時を振り返り「何が何でも、この中で一番になろうとする気持ちが強すぎて、空回りしてしまいました。普段の自分の力以上のものを出してやろうって…」と語っている。
不合格となった山本選手は、次にチャンスが訪れた時に確実にそれを掴めるよう、翌年も伊沢選手への激励を兼ねてGP2の会場へ足を運んだ。しかし、ホンダが若手ドライバーを支援するプログラムHFDPの対象は、より若い世代の支援を強化し、山本選手に白羽の矢が立つことはなかった。
国内レースに専念することとなった山本選手。しかし、F1参戦の夢を諦めたわけでは決してなかった。ただ、サラリーマン社会的な特殊性を持つ日本のレース界にあって、会社から抜擢された”ホンダ系ドライバーの後輩達”の挑戦に水を差しかねない行動をとることは、なかなかできない。今の自分にできることは、国内レースで結果を残すことだけ。スーパーフォーミュラとスーパーGTの2カテゴリーでタイトルを獲得すること。それが唯一、山本選手にできるアピールだった。
2015年に現在のレッドブル・ホンダで絶対的なエースドライバーとして活躍するマックス・フェルスタッペン選手が、ベルギーGPにおいて17歳166日という若さでF1デビューを果たした。フェルスタッペン選手はすぐに新人離れした速さを見せ始めるが、度々ライバルからレース中の接近戦の際にルールやマナーに反する動きが多いと批判を浴びてしまう。
そうした声を受けて、F1の統括団体であるFIAはドライバーの低年齢化による経験不足の傾向に歯止めをかけるべく、厳格な”スーパーライセンスポイント制度”を構築。下位カテゴリーに2年以上参戦し、優秀な成績を収めて”40点以上のスーパーライセンスポイント”を獲得しなければF1に参戦できないようにした。これが後に、ホンダの若手育成計画に大きな影響を及ぼすこととなる。
ホンダのHFDPから松下信治選手・福住仁嶺選手・牧野任祐選手らを欧州へ送り込むも、所属チームとトップチームの差やホンダの欧州におけるコネクションやノウハウ不足による支援上の問題もあって、なかなかシーズンを通した好成績を修めることができず、思うようにスーパーライセンスポイントを獲得することができない。それどころか、国内レースで稼いだ貴重なスーパーライセンスポイントを期限切れによって失ってしまう事態となった。
そんな中、国内レースでスーパーフォーミュラとスーパーGTの2カテゴリーで腕を磨き続けていた山本選手は、2018年に悲願のダブルタイトルを獲得したのである。これによりスーパーライセンスポイントは、F1参戦条件を満たす40点に到達。ホンダ系のみならずレッドブル系のドライバーを含め唯一、F1参戦資格を持つ下位カテゴリーのドライバーとなったのである。
それでも当初は、30歳を超える年齢の先入観からレッドブル首脳は山本選手を起用することに対して前向きな姿勢を見せてはいなかった。それどころかホンダ首脳やメディアでさえも「テストに参加して思い出作り」という論調で語られたりもした。しかし、新型マシンが投入された上にチームまで移籍して心機一転で臨んだ今季のスーパーフォーミュラをリードし、レッドブルが送り込んだ期待の若手ドライバー達を凌駕する走りを見て、レッドブル首脳も山本選手に対する見方を変えた。
フォーミュラカーでもGTカーでも異なるタイヤでも異なるチームでも速いこの適応力は何だ?と。彼ならば今からF1デビューしても遅くないのかもしれない、と。
必ずしも「諦めなければ夢は叶う」わけではない。けれども「夢を叶えた者は、皆諦めなかった」と断言することはできる。山本選手もまた、何度挫折してもF1挑戦の夢を諦めなかった。そして今、F1公式セッションに出走するところまで夢を叶えようとしている。
今後の見通しについて楽観することはできない。31歳という年齢だけではない。山本選手が”パワーユニット(PU)を搭載する最新のF1マシンに乗るのは”ぶっつけ本番”となる。これまでに経験したことのないスピード・パワー・ブレーキング・タイヤに素早く適応し、チームの要求に応えながらセッティング作業と比較データ取集のための様々な走り方をしなければならない。
そして、少ない燃料搭載量とグリップの高いタイヤで予算を意識した走りを行う”パフォーマンスラン”では、チームメイトと遜色無い速さを見せる必要がある。走行後にはチームやレースドライバーに対して有益なフィードバックを行うことも重要だ。そうしたミッションを完遂することで初めてF1に受け容れられ、関係者に認められ、味方が増えて、”レースドライバー候補”として見做されるようになるのだ。ハードルは非常に高いと言わざるを得ない。
しかし、スーパーフォーミュラやスーパーGTでも鈴鹿サーキットを特に得意とする山本選手にとって、”自分の庭”でF1デビューできることはポジティブな側面も多い筈だ。速度域が異なるので、アクセル・ギヤチェンジ・ブレーキングのタイミングも異なり、鈴鹿の景色が違って見えるかもしれない。それでもレイアウトは3Dで身体に叩き込まれている。チームの要求に応えながらマシンをスムーズに走らせることだけに集中できる。それだけでも大変なことなのだから、これは大きなメリットだ。
6年前とは異なり、実力を超える結果を求めようとする必要はない。持てる力を全て引き出すだけで良い。これまでの挫折で得た経験を活かして、気負うことなく不動心でレーシングドライバー山本尚貴の100%を発揮して欲しい。そうすれば、レーシングドライバーとして次のステージに進める筈だ。
今年のF1日本グランプリは、山本尚貴の挑戦を全力で応援したい。
ちなみに、時々レッドブルとトロ・ロッソはドライバーズラインナップに想定外の変更を行うことがある。何らかの理由で、山本選手がFP2以降も出走したり、トロ・ロッソではなくレッドブルから出走したりする可能性もゼロでは無い。アルボン選手やクビアト選手の体調にも、注目が必要かもしれない!?(さすがにそれはないか・笑)
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F1の公式セッションに日本人ドライバーが出走するのは、2014 F1アブダビグランプリに出場した小林可夢偉選手(ケータハム・ルノー)以来、約5年ぶりとなります!
この記事では山本尚貴選手のプロフィールと2019 F1日本グランプリを紹介します!