2017年インディ500王者 佐藤琢磨選手、2018年レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング移籍発表!電撃移籍の真相とは?

広報発表

2017年インディ500覇者の佐藤琢磨がレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングと契約

レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLL)は2017年9月19日、インディ500覇者の佐藤琢磨と契約を結び、18年シーズンからチームに迎えることを発表しました。佐藤琢磨は2012年にもレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングから参戦しており、同年のインディ500で、ウイナーのダリオ・フランキッティと最終ラップで接戦を繰り広げたことでも知られています。

レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング共同経営者 ボビー・レイホール
「佐藤琢磨を再びチームに迎え、たいへんうれしく思います。彼の情熱と物事に取り組む姿勢はとてもすばらしいですし、彼が今年のインディ500で勝ったときには自分のことのようにうれしく思いましたし、彼とは再びともに戦いたいと思っていました。彼とグレアム・レイホールはきっとうまくやってくれるはずで、18年シーズンのどのレースでも優勝できるくらい強力な2台のマシンを手にしたと考えています。すべてのレースで優勝に絡む手応えは十分にあるだけでなく、彼ら2人にとっても今までのキャリアで最高のシーズンになると信じています。まだ17年シーズンが終わったばかりですが、すでに来シーズンが楽しみです」

佐藤琢磨
「レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに戻ってこられて、本当に嬉しく思っています。ボビー、デイヴ、マイクの3人は、これまでもいつも僕を応援してくれました。過去数年間、チームは驚くほどコンペティティブでした。2018年にこのチームの一員となることが待ちきれないような思いです。きっと、僕たちは一緒に素晴らしいことを達成できるはずです」

2018年レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング体制

ドライバー

グレアム・レイホール(15号車)

アメリカ合衆国オハイオ州コロンバス出身。28歳。1986年インディアナポリス500覇者で3度のCARTチャンピオンであるボビー・レイホールを父に持つ。2008年、セント・ピーターズバーグでのインディカーシリーズデビューで初優勝。アメリカのメジャー・オープンホイール・レースの最年少優勝記録を更新する19歳と93日での優勝であった。2009年開幕戦のセント・ピーターズバーグでは最年少記録を更新する20歳と90日でポールポジションを獲得、前年の最年少優勝記録に続き、マルコ・アンドレッティのもつ記録を更新した。以降、2015年第11戦フォンタナ、第14戦ミッドオハイオ、2016年第14戦テキサス、2017年第7戦デトロイトレース1、第8戦デトロイトレース2で勝利。2017年は年間ランキング6位でシーズンを終えている。

佐藤琢磨(16号車)

東京都出身。40歳。2010年以来、インディカー・シリーズに135戦参戦。17年のインディ500と13年のロングビーチでの優勝、通算6回の表彰台獲得など、インディカー・シリーズで輝かしい成績を残しています。そして、7回ポールポジションを獲得し、通算471ラップをトップで走破。インディカー・シリーズ参戦前の2002年から08年の間にはF1で90戦参戦し、03年のアメリカGPでは3位になってる。レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングではエドモントンで2位、サンパウロで3位に輝き、年間ランキングでは当時の自己最高位を記録した。

レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング

オハイオ州ヒリアードとインディアナ州ブラウンズバーグに拠点を置くレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは、1986年のインディ500覇者であり、インディカー・シリーズで3度優勝したボビー・レイホール、元テレビ番組司会者のデビッド・レターマン、Mi-Jackのオーナーであるマイク・ラニガンの3人によって経営されている。17年にはオープンホイールレース参戦26年目を迎え、04年のインディ500でのバディ・ライスによるポール・トゥ・ウインなど通算23勝を挙げた。また、通算29回のポールポジション、91回の表彰台、さらに1992年のシーズンチャンピオンを獲得している。

佐藤琢磨選手の2017年シーズン

インディ500ハイライト

インディ500レース中継

インディ500記者会見

インディ500ウイナーメディアツアー(USA)

インディ500凱旋報告ツアー(東京)

インディ500ハイライト

インディ500 日本人初優勝ドライバー 佐藤琢磨選手 凱旋報告取材会

インディ500初制覇!凱旋イベント

インディ500優勝で内閣総理大臣顕彰

8シーズン目の参戦となる佐藤琢磨選手は、アンドレッティ・オートスポートへ移籍。インディカーキャリアで初めて4台体制のビッグチーム入りを果たした。

迎えた開幕戦は予選5番手といきなり速さを見せて決勝が期待されたが、ピットストップでミスがあり後退。4以降のレースでも、ホンダのエアロパーツがショートオーバルに適しておらず不発。

そして運命のインディ500。予選4番手からスタートした琢磨選手は、残り5周でトップに立つとそのままチェッカーを受け、日本人初のインディ500ウイナーとなった。ここから数週間、インディ500ウイナーとしての極めて多忙な時間を過ごすこととなる。

翌週のデトロイトではレース1で予選3位、レース2でポールポジションを獲得するも、決勝では8位と4位と展開に恵まれない。続くテキサスでは優勝争いのドッグファイトで痛恨のミスを犯しリタイヤ。

その後も予選では素晴らしい速さを見せながら、レースではまるでインディ500で運を使い果たしたかのように自責の無いトラブルに巻き込まれ、特にシーズン終盤の5戦すべてで予選トップ6入りしながら、そのうちの4戦で15位以下という悔しい戦績になった。

それでも、インディ500での優勝、デトロイトのレース2とポコノでのポールポジション獲得、合計4回のトップ5フィニッシュによって、佐藤琢磨選手の年間ランキングは自己ベストの8位となった。

電撃移籍の背景

佐藤琢磨ファンはもちろん、多くの人々が「なぜインディ500を制覇したトップチームから去るのだろう?」と不思議に思うであろう今回の電撃移籍。

その背景には、日本ではあまり報道されていないアンドレッティ・オートスポートの抱える深刻な資金難に一因があるのだろうと見る専門家の意見がある。長年アメリカンモータースポーツを取材している第一人者・天野雅彦氏によれば、

・マルコ・アンドレッティ選手のマシン(27号車)はスポンサーほぼゼロ
・ライアン・ハンター=レイ選手のマシン(28号車)はDHLが付いていて安泰
・アレクサンダー・ロッシ選手のマシン(98号車)はNAPAオートパーツが付いているが不十分

という状況だそうで、来シーズンのインディ500ディフェンディングチャンピオンとして多くの露出を見込める琢磨選手を失うことは、アンドレッティ・オートスポートに取って大打撃となることは明白。

しかし、ホンダとの現行契約が切れるにあたりオーナーのマイケル・アンドレッティは、より好条件を引き出すべくホンダとシボレーを両天秤にかけた。

しかも「資金援助のあるシボレーが優位」との情報が流れ続けていた為、ホンダのサポートを受ける琢磨選手の立場は極めて不安定となり、他チームのシートが埋まる前にいち早く可能な限りチーム力の高いホンダユーザー系チームに活路を見出さざるを得なくなってしまった。

結局、アンドレッティ・オートスポートは土壇場でホンダとの契約延長を選択し「次は琢磨」と考えたところ、既に琢磨サイドはチーム離脱を決意しており、残留交渉に応じて貰えることはなかった。

これに腹を立てたマイケル・アンドレッティは幾つかのメディアに対して「琢磨はウチに残らない」「レイホール行きはもう決まっている」「琢磨サイドが再交渉のチャンスを与えてくれないのはアンフェア」と情報をリークして、不満をぶちまけた。

しかし、シボレーへのスイッチを選択していればほぼ自動的に琢磨選手を追い出すことになったのは事実。最終的には琢磨選手の残留による新規スポンサー獲得も考慮してホンダを選択したであろう、マイケル・アンドレッティには少し同情するが、元はと言えば自分の蒔いた種なのである。

琢磨選手の立場も考慮して、エンジンサプライヤーとの交渉期限を早めたり、それを琢磨サイドにも伝えて「できれば琢磨と契約を延長したい。だからここまでは待ってほしい」という意思を明確に伝えていれば、琢磨サイドも残留を検討する余地があっただろうし、チームがホンダと契約延長した時点で琢磨選手の残留も既定路線となっていた筈だ。

琢磨選手自身は26号車のスタッフをはじめチームに居心地の良さを感じていたし、競争力のあるチームメイトとの4台体制での作業にも快適さを感じていた。そういう意味では、両者にとって本意ではない結果となってしまったことは非常に残念でもある。

但し、琢磨選手にとってはこの決断が後に大きな意味を持つことになるかもしれない。まず「アンドレッティ・オートスポートを離れる=トップチームを離れる」という解釈で受け止められがちだが、1台体制のレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは2015年以降、優勝回数で4台体制のアンドレッティ・オートスポートを上回っている。

そして、ポイントランキングでもグレアム・レイホール選手は3年連続でアンドレッティ・オートスポート勢の誰よりも上位に立っている。

1台分のデータからトップレベルのマシンを作り上げる極めて優秀なエンジニアリング体制を持ち、夏の時点で2台体制へ移行するための資金獲得の目処も既についていたことから、インディ500ディフェンディングチャンピオンかつフィードバック能力に定評のある琢磨選手の加入は、資金面でも技術面でも更なるチーム体制の強化に役立つことだろう。

1つだけ不安要素があるとすれば、2台体制となる2018年シーズンは琢磨選手を担当するグループのスタッフを集めるところから始まり、1から体制作りをしなくてはならない点で、チームメイトのグレアム・レイホール選手の担当グループと同等の優秀な体制を築くことが普通に考えて困難だろうということだ。

一方のアンドレッティ・オートスポートは琢磨選手の後任として既にルーキーのサック・ビーチ選手の加入を発表しているが、こちらは実力よりも持ち込み資金を充てにしたものと見られている。

その資金が他の2台の不足分も補うほど巨額なのかどうかは不明ではあるが、そうでないとすれば2018年シーズンのアンドレッティ・オートスポートは資金不足から戦闘力を維持できなくなってしまうかもしれない。

特に来シーズンはエアロパーツが一新されることからデータ収集のための走行機会が増えると見られており、資金面での負担が一層増すだけに大きな不安要素となっている。

琢磨選手が残留していた場合に、資金面の問題が解決したかどうかは定かではないものの、後で振り返った時に「良いタイミングで移籍した」と考えられるような結果になってもおかしくはない。

2018年のインディカーシリーズは3月11日のセント・ピーターズバーグから開幕する。まだ半年先のことではあるが、今から非常に楽しみであり心から待ち遠しく思う。



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