この休暇中にもダニエル・リカルド選手のルノー移籍やフォースインディア売却、フェルナンド・アロンソ選手のF1離脱、カルロス・サインツ選手のマクラーレン移籍など様々な動きがあった2019シーズンへ向けた動き。レッドブルとホンダの提携が決まったことで、日本人ドライバーの状況にも変化が生じつつあります。
この記事では2019 F1ドライバーのレギュラーシート獲得状況をまとめ、その状況を考察してみました!
Table of Contents
メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ
2019ドライバーズラインナップ
44 ルイス・ハミルトン(発表済み)
77 バルテリ・ボッタス(発表済み)
KJインプレッションズ
「ドライバーズラインナップはトップチームから決まる」という定説通り、まずはメルセデスAMGのドライバーズラインナップから確定した。
一時はルイス・ハミルトン選手の引退説やバルテリ・ボッタス選手の交代説も囁かれたが、蓋を開けてみれば現状維持に落ち着いた。ハミルトン選手は現行レギュレーションの期限となる2020年までの2年契約。ボッタス選手は単年契約で1年のオプション(優先交渉権)が含まれる。
ハミルトン選手が2021年以降にチーム離脱やF1引退する可能性を踏まえ、状況によっては2020年にエステバン・オコン選手やパスカル・ウェーレイン選手、ジョージ・ラッセル選手ら、メルセデスの育成ドライバーと交代させる余地を残したものと考えられる。
ボッタス選手にとっては、ワールドチャンピオンを目指すうえで最大の正念場を迎えることになるだろう。
スクーデリア・フェラーリ
2019ドライバーズラインナップ
5 セバスチャン・ベッテル(発表済み)
16 シャルル・ルクレール(発表済み)
KJインプレッションズ
セバスチャン・ベッテル選手は昨年、2020年までの3年契約を締結済み。
7月初旬の段階ではフェラーリの会長兼CEOを務めていたセルジオ・マルキオンネ氏が、躍進目覚ましいザウバーのシャルル・ルクレール選手の昇格を強く推しているという噂が漏れ伝わってきていた。一時はキミ・ライコネン選手との今シーズン中のトレードまで報じられたほどである。しかし、7月21日(土)にフェラーリとFCAグループはマルキオンネ氏の退任を発表。その僅か4日後、マルキオンネ急逝の訃報が世界中を駆け巡った。
フェラーリの新経営陣とチーム代表のマウリツィオ・アリバベーネ氏は「キミ・ライコネン選手を残留させるべきだと考えている」と報じられてきた。ベッテル選手も本音ではライコネン選手の残留を望んでいると考えられており、おそらく実現すると見られていた。しかし、マルキオンネ氏がルクレール選手サイドと昇格に関する合意に達していたことが明らかとなり、新経営陣も方針を転換してマルキオンネ氏の遺志を尊重することとなった。ルクレール選手はフェラーリ昇格を果たし、ライコネン選手はフェラーリを離脱し、ルクレール選手と入れ替わる形で古巣ザウバー復帰が発表された。
アストンマーチン・レッドブル・レーシング
2019ドライバーズラインナップ
10 ピエール・ガスリー(発表済み)
33 マックス・フェルスタッペン(発表済み)
KJインプレッションズ
マックス・フェルスタッペン選手は昨年、2020年までの3年契約を締結済み。メルセデスAMGのラインナップが確定し、フェラーリもライコネン選手とルクレール選手の二者択一となったことで、ダニエル・リカルド選手の残留は決定的だと考えられていた。実際、正式発表のための動画撮影まで済んでおり、あとは書類に署名するだけという段階にあった。
しかし、8月3日にレッドブル・レーシングは2018年末でリカルド選手がチームを離れることを電撃発表。続いてルノーF1からリカルド選手の加入が発表された。
これにより、トップ3チームのシートに空きが出たことで様々な意見が飛び交った。カルロス・サインツ選手の昇格が最有力視される中、一部メディアやファンからフェルナンド・アロンソ選手の加入を期待する声も挙がった。
しかし、アロンソ選手は8月14日に来季のF1に出場しないことを発表。また、8月16日にはカルロス・サインツ選手が後任としてマクラーレンへ加入することが発表された。これはレッドブルがサインツ選手のオプションを放棄したことを意味する。
これにより現トロ・ロッソ・ホンダのピエール・ガスリー選手が順当に昇格を果たし、来季はトップチームとしては異例の22歳と20歳というフレッシュなコンビでシーズンに挑むこととなった。ガスリー選手にとっては、フェルスタッペン選手という現役屈指のスピードを誇るチームメイト相手にどこまで迫れるか、屈してしまうのか、大きな正念場となる。
また、新たにタッグを組むレッドブルとホンダにとって、開発能力に長けたベテランドライバーの不在がどう出るか、チーム力が試されることとなる。
尚、2021年に予定されるパワーユニットレギュレーションの変更が、当初の計画よりも大幅に規模の小さなものになることが確実な情勢であり、噂されたポルシェへのチーム売却や提携の可能性は低くなってきている。
レーシングポイント・フォースインディアF1チーム
2019ドライバー候補
11 セルジオ・ペレス(内定)
18 ランス・ストロール(確定)
KJインプレッションズ
セルジオ・ペレス選手とマネージャーのジュリアン・ジャコビ氏、パワーユニットを供給するメルセデス、メインスポンサーのBWTによる債権回収の訴訟手続きにより、消滅の危機に瀕したフォース・インディア。
しかし、ローレンス・ストロール氏を中心としたコンソーシアムによる買収によって、経営基盤が大幅に改善されることとなった。早速サハラとの提携解消を表明し、『レーシングポイント・フォースインディアF1チーム』という暫定的な名称を発表している。来季は正式にチーム名やチーム国籍が変更となるだろう。元々、開発力には定評のあるチームだけに、十分な予算が確保された場合にどこまで伸びるか、非常に注目される。
ジュリアン・ジャコビ氏はランス・ストロール選手の実質的なマネージャーも務めていることから、一連の破産と救済のプロセスがローレンス・ストロール氏とジャコビ氏によって計画されたものであることは明白である。ストロール選手は当然ながら、ジャコビ氏の顧客であるとペレス選手もまた確定と考えて差支えないだろう。ジャック・ヴィルヌーブ氏の指摘通り今シーズン中、早ければシンガポールGPこのラインナップが実現するかもしれない。
この動きに合わせてエステバン・オコン選手がマクラーレンでシート合わせを行ったとの情報も出てきている。
ウイリアムズ・マルティニ・レーシング
2019ドライバー候補
35 セルゲイ・シロトキン(残留濃厚)
31 エステバン・オコン(メルセデスの支援)
ロバート・クビサ(今季昇格の可能性)
KJインプレッションズ
フォース・インディア買収により、ストロール家の離脱が確定したウイリアムズ。今季限りでメインスポンサーのマルティニを失うことも発表済みであり、来季に向けて財政基盤が大きく揺らぐことになりそうである。
ランス・ストロール選手が今季中にフォース・インディアへ移籍し、契約解除料として一定額が支払われた場合には、リザーブドライバーを務めるロバート・クビサ選手が奇跡のF1復帰を果たすことになりそうだ。但し、来季のドライバーとなると話は別で、チームに巨額の資金を持ち込むことのできるペイ・ドライバーとパワーユニット使用料の減額を見込めるメルセデスのジュニアドライバーになる可能性が高まっている。
何れにしてもウイリアムズは資金を確保すると共に、パディ・ロウ加入により士気の下がった技術陣を立て直すことが急務である。ロバート・クビサ選手は復帰を果たし、速さを確認できれば欲しがるチームはあるだろう。
また、2021年からのF1復帰を検討しているポルシェの有力な提携先、或いは買収先の候補として名前の挙がる機会が増えており、こちらの動向にも注目が集まる。
ルノー・スポール・フォーミュラワン・チーム
2019ドライバーズラインナップ
3 ダニエル・リカルド(発表済み)
27 ニコ・ヒュルケンベルグ(発表済み)
KJインプレッションズ
ルノーはメルセデスに次いで2番目に来季のドライバーズラインナップを確定させることになった。
フォース・インディア買収の動きを受けてシート喪失の危機に陥ったエステバン・オコン選手の加入が内定していたものの、ダニエル・リカルド選手の電撃移籍によって消滅。
非常に強力なラインアップであり、来季のチーム力に関わらず、レース運びに定評のあるリカルド選手とスピードに定評のあるヒュルケンベルグ選手は比較され、共に真価を問われるシーズンとなりそうである。
また、リカルド選手とレッドブル勢の差にも注目が集まるだろう。
レッドブル・トロロッソ・ホンダ
2019ドライバー候補
2 ストフェル・バンドーン(ホンダ頼み)
27 ブレンドン・ハートレー(微妙)
福住仁嶺(ホンダ系若手の中で最有力)
牧野任祐(F2レース1で日本人初優勝)
平川亮(レッドブル系若手の中で最有力)
KJインプレッションズ
ピエール・ガスリー選手のレッドブル昇格が発表され、現時点で2つのシートが空いているトロ・ロッソだが、ドライバーの決定権はレッドブルにあり、これから動きが活発化することになるだろう。
現在、レッドブルジュニアチームにもHFDP(ホンダフォーミュラドリームプロジェクト)にもスーパーライセンスポイントを満たす後任者がいないという問題を抱えており、ブレンドン・ハートレー選手の残留の可能性が高まっていると思われた。しかし、なかなか調子の上がらないハートレー選手のドライビングを科学的に解析した結果、チームは既に彼を見限っている。それに伴い、一度放出した元レッドブルジュニアチームのドライバーの中から、最もブランクの小さいダニール・クビアト選手をチームに呼び戻すことに決めたようだ。クビアト選手は今季、フェラーリでシミュレーター開発ドライバーを務めている。
もう一つのシートには、レッドブルジュニアチームの一員で今季はユーロF3に参戦するダニエル・ティクトゥム選手の昇格を検討していた。しかし、過去の問題行動により今季中にスーパーライセンスポイントを満たすことが絶望的である。ユーロF3のタイトルを獲得すれば、ウインターシリーズのアジアF3に出走し、残りのスーパーライセンスポイントを稼ぐという案も浮上しているが、肝心のユーロF3でミハエル・シューマッハ氏の息子である、ミックに逆転を許してしまった。
HFDPの福住仁嶺選手もまた、このままではFIA F2とSUPER FORMULA共に下位に沈む可能性が高い。F2モンツァシリーズのレース1で日本人初優勝を遂げた牧野任祐選手が残り2大会で巻き返したとしても、シリーズ3位は厳しいだろう。
レッドブルやホンダのドライバーに適任者がいない場合に限り、外部からロバート・クビツァ選手を招聘する可能性がある。実現すれば来季序盤の最注目選手となるだろう。
尚、来季の日本人F1ドライバー誕生には間に合いそうもないが、レッドブルとホンダの提携によって日本人ドライバーの可能性に大きな変化が生まれつつあるようだ。レッドブルとホンダの育成プログラムが統合され、更にその対象は必ずしもホンダ系ドライバーに限定されず、圧倒的な速さを示せばトヨタ系やニッサン系まで拡大することも検討しているようなのだ。これが実現すれば、日本のレース界にとって大革命となることだろう。
レッドブルもホンダが安定してF1に参戦し続けるために日本人ドライバーの存在が必要なことは認識している。また、レッドブルにとっても育成プログラムをホンダと統合することで投資を抑制できるメリットがある。
こうした流れの中、シーズン前の予想通り日本のレッドブル・アスリートである平川亮選手のスーパーライセンスポイント条件達成が近づいており、ドライバー決定権を持つヘルムート・マルコ氏も高く評価している。そのままトロロッソ入りの期待も高まったが、ホンダは欧州でのフォーミュラレース経験の無いドライバーをF1に載せることは無いと明言。今後、ホンダが同意すれば来季のFIA F2へ送り込むことになるかもしれない。
マクラーレンF1チーム
2019ドライバーズラインナップ
55 カルロス・サインツ(発表済み)
ランド・ノリス(発表済み)
KJインプレッションズ
パワーユニットをルノー製に切り替えた後も低迷を続けるマクラーレン。フェルナンド・アロンソ選手は遂に我慢の限界となり、来季のF1離脱を決意。後任としてレッドブルを離脱したカルロス・サインツ選手の加入が発表された。続いてイタリアGP明けの9月3日には、ストフェル・バンドーン選手の今季限りでのチーム離脱と秘蔵っ子ランド・ノリス選手の来季起用が正式発表された。
2人の若きドライバーが名門を復活させることができるか、道標を失い更なる混沌に嵌るのか、ザク・ブラウン代表の手腕が注目されるであろう。
ハースF1チーム
2019ドライバーズラインナップ
8 ロマン・グロージャン(発表済み)
20 ケビン・マグヌッセン(発表済み)
KJインプレッションズ
実質的なフェラーリのBチームであるハース。しかし、チームはそう見られることを極度に嫌っており、フェラーリ系ドライバーの受け入れに消極的である。実力とスター性を伴っているシャルル・ルクレール選手の加入はチームにとって悪い話では無かったが、チームはこれを拒否した。また、ルーキーとなるアントニオ・ジョビナッツィ選手の受け入れも拒否している。
ベスト・オブ・ザ・レストに相応しいマシンを持ちながら、前半戦でイージーミスを繰り返して数々のチャンスを棒に振ったロマン・グロージャン選手は、チーム内での立場が危うくなっていた。しかし結局は、中盤戦以降に安定感を取り戻して速さを発揮したグロージャン選手と、チームにとっては期待に違わぬポイントを序盤戦に稼ぎ出したケビン・マグヌッセン選手の残留で落ち着くこととなった。
尚、チームは低予算で効率的に運営されているが、米・トランプ大統領の貿易政策への報復措置で、工作機械を他国へ輸出する際に高関税を掛けられて経営に打撃を受けるような事態に陥った場合、ハース・オートメーションのオーナーでありチーム創設者であるジーン・ハース氏がF1への投資を続けるかどうかは疑問が残る。報復合戦で疲弊した中国市場のシュリンクも同様だ。
F1は世界経済に密接な関係を持っている。
アルファロメオ・ザウバーF1チーム
2019ドライバーズラインナップ
7 キミ・ライコネン(発表済み)
アントニオ・ジョビナッツィ(発表済み)
KJインプレッションズ
今季、フェラーリ及びアルファ ロメオとの提携により戦闘力を飛躍的に向上させたザウバー。ルーキーながら目覚ましい活躍を見せるシャルル・ルクレール選手がフェラーリへ昇格し、入れ替わる形でキミ・ライコネン選手がチーム復帰。このトレードに故セルジオ・マルキオンネ氏の遺志が反映された形になっていることから、引き続きアルファ ロメオとの関係が継続・強化されることは確実だろう。
一般的にザウバーのシートの選択権は1つがチーム、1つがフェラーリにあると考えられている。元王者たるライコネン選手はフェラーリの影響力を行使せずともチーム枠でシートを獲得。フェラーリは育成ドライバーのアントニオ・ジョビナッツィ選手にシートを与えた。これにより、フェラーリ-アルファ ロメオの色合いはより濃くなることだろう。
チームのオーナ企業であるロングボウ・ファイナンス社と関係の深いマーカス・エリクソン選手はシートを失ったが、リザーブドライバーとしてチームに残る。今季はマシンの戦闘力アップに伴い、パフォーマンスを大きく改善したが、チームはライコネン選手を中心に戦闘力を確実にアップさせるため、フェラーリからの支援拡大を狙ったと見ていい。
但し、アルファ ロメオをF1に復帰させることに熱心だった故セルジオ・マルキオンネ氏を失い、このプロジェクトがどうなるかについては今後も注視していく必要があるだろう。
はじめまして、お邪魔いたします。
トロロッソの来年のラインナップが読めないですね・・・ほんと。
出来れば日本人ドライバーを望みたいのですが
F2組はライセンスポイントをクリアーできそうにないですし。
でもマルコ氏がもてぎに視察に来たとたん平川の存在がズームアップされて
あれ?戦績次第ではもしかしてありかも?って思ってるしだいです。
実現すれば楽しみですね。
今年のF1&F1.5は話題豊富で面白いです。
また機会がありましたらコメントさせていただきます。
初めまして!本当にトロ・ロッソのラインナップは混沌としていますね。以前は分かりやすかったのですが(笑)
旧レッドブル系ドライバーは打診があったことを示唆していますし、マクラーレンもジェームス・キー氏の早期契約解除の交渉としてバンドーン選手かノリス選手の契約を譲渡しようと横槍を入れてきています。
一方、このタイミングでガスリー選手の昇格を決めたということは、ヘルムート・マルコ氏にとって日本で何か収穫があったのかな?と。それが平川選手なら良いのですが。
これまではトヨタ系のドライバーがホンダでF1を走ることは考えられませんでしたが、レッドブルが表に立つことで緩和されるかもしれませんね。
また是非コメント、お待ちしております!!