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ルイス・ネリ選手 vs 山中慎介選手
Luis Nery vs. Shinsuke Yamanaka II
- 2018年3月1日 木曜日
- WBC世界バンタム級王座決定戦
- 前王者:ルイス・ネリ(メキシコ)vs同級1位:山中慎介(帝拳)
- 両国国技館
予備検診(2018.2.27)
予備検診の主要結果は以下の通り。
身長
ネリ選手:165.0cm
山中選手:170.0cm
胸囲
ネリ選手:91.5cm
山中選手:88.0cm
首まわり
ネリ選手:39.5cm
山中選手:37.0cm
視力
ネリ選手:左右 1.5
山中選手:左 1.5 右 1.2
リーチ
ネリ選手:169.0cm
山中選手:174.0cm
脈拍
ネリ選手:69回/分
山中選手:76回/分
体温
ネリ選手:37.0℃
山中選手:36.7℃
山中慎介選手
「健康診断の数字は昔からあんまり気にはしてないですし、見るとしても自分の数字くらいしか見ないので、ほとんど変わることないなと思う程度です。身体の調子は良い、ここ最近は常に良い状態ですし前回よりも良いと感じています。」
調印式(2018.2.27)
ルイス・ネリ選手
「試合まであと2日ですが体重も問題ありません。前回の試合がまぐれと言われないようイメージを払拭させるような良い試合を魅せたいと思います。(山中を返り討ちにしたとして、今後の予定は?)まずはこの試合に集中したいし、サンフェル・プロモーションと話し合うことになるが、そういった質問は試合を終えてからにしてほしい、今は試合に関しての質問だけにしてください。」
「コンディションは良いです、今回もチャンピオンとしてではなく挑戦者としてリングに上がりたいと思います。この試合は前回以上に大事な試合だと思うし、そのためにも栄養士も雇い間違いの無いように調整してきました。必ず勝ちたいと思います。」
「山中についての研究は済んでいます、試合がどうなるかは相手の出方次第だと思います。山中は確かに強打を持っていましたが前回の試合、私は耐えることが出来ました。今回も同じように耐えられると思うし、彼の年齢は36歳、長引けば多くのリスクが出てくるとも思っています。」
山中慎介選手
「コンディションは非常に良いです、ここまで万全のサポートをしてもらったことに感謝します。8月の試合で負けてから、あのままでは終われないという気持ちでここまでやってきました。まず借りを返したいと思います。こうして会見をしていても僕の前にベルトは無く、ネリの前にベルトがあるというのは改めて嫌な気持ちです。」
「今日はこれからジムで練習し、体重調整をしっかりやって試合に臨みたいと思っています。8月に負けてからずっと悔しい思いをしてきました、明後日はその気持ちをぶつけるだけとも思っています。」
「(記事で読んだが)岩佐選手が、自分がKOで勝つ夢を見たと聞いたので正夢にしたいですね。とにかく前回と同じような試合にはしたくない、家族にも皆さんにも負けを見せたくないと思います。チャンピオンだった時以上に強い気持ちを持ってリングに上がりたい。」
「今回の試合は負けた相手に借りを返す、それだけです。チャンピオンとして防衛していた頃よりも正直モチベーションは高いです。他のことは考えずこの1試合しか考えていない、という気持ちです。明後日の試合が楽しみです。」
ネリ選手の体重超過による王座剥奪(2018.2.28)
公式計量においてWBC世界バンタム級王者ルイス・ネリ選手(メキシコ)は1回目を123ポンドとし、再計量となった2時間後も121ポンドのオーバーとし、王座剥奪となった。王座奪還に燃える同級1位の山中慎介は117.5ポンド(53.3kg)とし、1回でパスした。1回目の計量後には山中選手がネリ選手を睨みつけて「ふざけんな、おまえ」と怒鳴りつける場面もあった。体重超過となったネリ選手に対し、試合当日12時に再計量をすることとし、増量を10ポンド分までとする128ポンド(58.0kg)を超えないようにすることが義務付けられた。ちなみに山中選手のリバウンドは通常2~3kgの増量とされており、不利は免れない。ネリ選手が再度オーバーした場合は何らかの罰則が科されるが試合は行われる。
試合は、山中選手の勝利ならば王者となり、引き分けか負けならば王座は空位のままなる。
国内での世界戦で、王者が計量に失敗し王座をはく奪されるのは、今回が10度目。最近では、昨年5月のWBC世界フライ級タイトルマッチで比嘉大吾(白井・具志堅)の挑戦を受けた王者フアン・エルナンデス(メキシコ)が王座をはく奪され、比嘉に6回TKO負けした。過去の9試合では、王座をはく奪された選手は4勝5敗となっている。
またグローブについては両陣営とも日本製のウイニングになることも合わせて発表された。山中陣営は当初、メキシコ・レイジェス社製グローブの使用を予定しており、ネリ選手もレイジェス製を使いたがったが、ネリ陣営のギジェルモ・ブリト・マネジャーが「前回日本製で勝ったので縁起がいいし、縫製もいい。日本製にしろ」と異議を唱えていた。
山中慎介選手
「明日は相手にもいいコンディションを期待したい。注目されている試合なので、お互いにしっかりとベストコンディションで試合がしたい。試合はあるので気持ちを整えていく。それでもやっぱりルールなので体重を作って来て欲しかった。最近当たり前のように計量失敗が増えている。もっとルールを厳しくしてもいいかなと思うし、今回の件は悔しかった。」
本田明彦 帝拳プロモーション会長
「やる気がなくてこうなったのではない。昨日までやる気満々、元気で楽しく練習をやっていて減量が苦しいという感じは全くなかった。周りのトレーナーがコントロール出来ていない証拠だよ。山中はこれが勝っても負けても最後だと思ってやってきたわけだから、なかなか納得できないだろう。(ペナルティーについて)ルール化しないといけない。それが抑止力にもつながる。この試合は勝ち負けよりも山中選手がどういう試合をするかが大事だ。状況としてはより燃えていると思う。あとはいい結果が出ることを祈る」
ビダル・マルドナード ネリ陣営トレーナー
「体を動かして努力をしたが、もう少し時間があればよかった。体重や食事の管理は栄養士がしていた。少し体重が重いとは思っていたが、栄養士を信頼していた」
マルコ・アントニオ・ペレス ネリ陣営栄養士
「私たちが考えていたような結果が出なかった。けさの時点で3キロオーバーしていたが、ほかのボクサーの減量をサポートした経験から、落とせると思っていた。自分のやり方は水を制限する期間を短期間にして体にあまりダメージを与えない方法だ。今までの経験から99%成功している。ただ、ネリ選手の体がこれまで経験してきた選手の体と違った。自分の経験が生きなかった。山中選手には申し訳ない」
試合結果
WBC世界バンタム級1位の山中慎介(35=帝拳)が、前王者ルイス・ネリ(23=メキシコ)に2ラウンド1分3秒でTKO負けした。1ラウンドに1回、2ラウンドに3回の計4度のダウンを喫しての完敗だった。ネリは前日計量で大幅な体重超過となり、王座を剥奪されていた。このため王座は空位となる。
試合動画
1ラウンド
山中は積極的にジャブを打っていく。ネリは鋭いフットワークでかわす。30秒すぎ、山中の鋭いパンチが出る。コンディションは悪くない。1分10秒、山中が左ストレートをボディーに決める。1分24秒、ここまで様子を見ていたネリが反撃を開始。1分30秒、ネリの鋭い左右パンチが山中のボディーに入り、連打は回転数を高める。ネリは動きにキレがあり、全てのパンチが重く感じられる。2分30秒、ネリのジャブがカウンター気味に入り、山中がふらつく。2分40秒、ネリの強烈な左ストレートが決まり、山中がダウン。残りの10秒を何とか凌いだ山中。明らかにダメージが感じられる。
2ラウンド
ネリが前へ出てくる。ネリの重圧に押し負けて後退する山中。18秒、押合いの中でネリのカウンターパンチが決まり、山中ダウン。38秒、ネリの右ジャブで山中は再びダウン。1分3秒、ネリの強烈な右左の強烈なフックを凌ぐもの3発目の右フックが顎に決まり、山中は崩れ落ちる。3度目のダウン。レフェリーは試合を止めた。
両選手のコメント
勝者:ルイス・ネリ選手
プレス会見
―今回の試合の感想
「この試合のために大変タフな練習をしてきた。山中選手はもっとガンガン来ると思っていた。しかし山中選手の中に私は恐怖を見て取れた。前回KO負けしたことが彼に蘇ってきたのではないか。だから私は容赦なくパンチを止めることなく打ち続けた。私は山中選手に比べて若いし、パワーもある。だから今日はいい試合をしてKOが出来たんだと思う。でもベースにあるのはタフな練習を行ってきたということだ」―今回、ネリは勝ったが体重オーバーで王座剥奪され、ペナルティにより今回勝っても王座には就けないことについて
「勝利については大変嬉しい。それは無敗という私の記録を守れたからだ。チャンピオンの座を失ったことは残念だが、また勝てば再び世界チャンピオンに戻ることができる」―会場で入退場の際のブーイングに関しては
「きっと私の過去のことが彼らにとって迷惑だったからそういう声が上がったんだろうと思う。しかし、前回の山中戦はドーピングが全く無くクリーンな体で上がった。試合でドーピングでポジティブが出たのはティファナで試合の1か月前の1回だけだ」―ブーイングは体重オーバーのこともあったのでは?
「そういった意味で、その人たちにも申し訳ないと思っている。それで私はまた日本で試合をしたいと思う。今回ミスしたことは決して二度と起こらないということだ」―前日計量でウエイトオーバーしたことに対して対戦者の山中選手に思いはないか?
「山中選手に対してというより、今回の自分が初めて使った減量方法がうまく行かなかったというのは申し訳なかったと思っている。今回の減量方法で、自分の体が(前日計量後)非常に弱っていくのを感じた。しかし、今日の12時から試合までの間、しっかり食べることができた。それまではきちんとした食事が取れなかった。そういった意味で山中選手は(前日に)1回の計量でパスして、それからずっと食事で体を回復させてきたので、今回のフィジカル面でのメリットは山中選手にあったと思う」―試合は何kgで挑んだか?
「60kgだ」―今後の階級について
「バンタムでやっていきたいと思っている。きちんと体重を作ってやっていきたい」―もう2度と減量の失敗がないと自信があるか?
「ここにいるプレスの皆さんには本当に自分の体重の件で迷惑をかけたと思っている。私は日本に来るのが大好きで、それで2度目のチャンスにやってきた。日本人は大変親切で日本の食事はたいへん私の口に合う。そういった意味でまた日本に戻ってきたいと思う」―改めて山中選手に対して申し訳ないと思っているのか
「山中選手にも同じく申し訳ないと思っている。山中選手はレジェンドのアスリートなので彼と戦えたことはたいへん誇りに思う」
敗者:山中慎介選手
プレス会見
-試合を終えて。
「自分が弱かったという結果です、2ラウンドという早い終わり方になりましたが、現役続行を決めてからこれまで1日1日を考えながら大事にやってきたつもりでした。試合の終わりは早過ぎましたが、初回のパンチが効いてしまったのでしょうがないです。復帰を決めてから決して楽しい日々じゃなかったですし、今回もこうして結果は出なかったですけどここまでの調整、取り組む姿勢を試合前に振り返って復帰して良かったと感じました。結果は伴わなかったですけど一生懸命やった、それだけです」-家族への言葉は。
「一生懸命やったので。期待に応えられなかったというのが。でも目標に向かって頑張る姿を見せられたとは思います」-会場から「ありがとう」の声も。
「『ありがとう』はこっちの方です。平日にもかかわらずこれだけ多くの方々が詰めかけてくれて、試合前の出来事もあった分、会場中の方々が後押ししてくれたのに2ラウンドという早い終わりは申し訳ない気持ちです。試合までの調整は本当に悔いなく調整出来ました、それは誇りに思います。応援してくれた方々にはありがとうと言いたいです」-ファンにメッセージを一言。
「デビュー戦の時にはチケットは20人しか買ってくれなかったような自分にこうして何千人もの方々が駆けつけてくれましたし必死に応援してくれました、そこは本当に嬉しいし気持ちは良かったです。一言じゃ言い切れないですけど、みなさんには感謝しかないです。試合で自分のことのように喜んでくれたり、泣いてくれたりとお礼はゆっくりと時間はかかるかもしれませんけど言って行きたいです。デビューのころはパッとしない自分をここまで育ててくれたジムには感謝しか無いし、これまで応援してくれた全ての人に感謝です。後援会を中心にサポートしてくれて、すべての方に感謝します」囲み取材
―体重超過があって無念だと思うが。
「ただ僕より強かっただけです。体も柔らかくていい選手。(体重超過での試合開催は)そういうルールなんで。昨日の計量では本当に、本当に人として失格やなといらつきが収まらなかった。そういうことはボクシング界全体でもっと厳しくしてほしいと思います-感情のコントロールはできたか。
「反省していた防御の面も途中までうまくいっていたので(距離が)ちょっと近くなったかもしれないけど、それは相手もうまさで何も言えない」-(当日が)59.2kgはいつもより多めの計量だったが、ネリの体を考えて重めに仕上げたのか。
「特に相手のことは気にせず自分の万全の状態をつくるということだけを意識して栄養を摂った。服を着ていたのでいつもどおり」」ネリのパンチは前回より威力があったのか。
「効くパンチは見えないパンチで、その見えないパンチをもらってしまったので、ちょっと慌てた部分ある。実際3回倒れているんで、パンチは以前より感じました。前の試合よりは感じました」―威力は体重は関係ないのか。
「まったくないとは言えない。だからこそボクシング界のルールをしっかり統一してもらいたい。ファンも納得がいかない」―山中選手自身は納得しているのか。
「そうですね…。自分はしっかりと万全の状態に仕上げてこれたし。早いラウンドではありましたけど…納得はしてません。スタートは悪くなかったけど、相手が出てきた時に悪いところが出てしまった」-前戦で現役続行を決めた時は、あの終わり方じゃ終われないと言っていたが。
「前回とは正直、試合だけで言うとまったくこうしておけばよかったという悔いはないです」―今後どうする?
「もちろん、これが最後です。これで終わりです」―どんな結果であろうがラストマッチと決めていたか?
「今後についてはまったく考えないようにしていた。考えることによって自分の実力が落ちるような気がして。はっきり決めず何も考えないようにしていた」―長男・豪祐くんがボクシングでパパみたいになりたいと言っていた。
「こんな風にいっぱい泣かないといけない」―神の左とはどういうものだった?
「最後まで頼りにしていた1番の武器。今回不発に終わったが、何年経ってもパパの左は強かったと子供たちにも言える」。―試合後もありがとうという言葉が会場に響いた。
「“ありがとう”はこっちの方。デビューした時は僕からチケット買ってくれた人は20人だったけど、今日は平日なのに何千人もの方が必死になって応援してくれていたので、本当にうれしかったですし、気持ち良かった」―ファンへひと言。
「本当に皆さんには感謝しかない。時間はかかるけれどお礼を言いたい。パッとしない僕を支えてくれたジムの皆さんには本当に感謝しているし、応援団もここまで支えてくれて全ての人に感謝したい」
関係者のコメント
山中沙也乃夫人
「これはどういう感情に持っていけばいいのかわからない。倒すことができなかったので、受け入れるしかないですが。同じスタートからじゃない負けなので。そうですね。体重…なんか、どうなんだろう、う~ん、どう処理していいか、わからない感じです。相手の挑み方をみると、主人の努力は何だったんだろうって思います。正々堂々と明らかに負けとかなら…わからないんです」
「(前夜の山中選手は)もう開き直っていた、というか、自分で気持ちの整理をつけなきゃいけない、という感じだった。呆れていたというか。『勝つしかないね』と言っていた」
本田明彦氏 帝拳プロモーション会長
「これだけいい人間のボクサーは初めて。1番。よく努力もした。ある意味、素質はそこまであるわけじゃないが、努力でここまで来た。後援会に支えられて。普通は飽きられるけど、どんどん増えていった。本当にそれは人柄ですよ。珍しい選手だね。最初のジャブで全部吹っ飛んだ。体重差なのか打たれ弱くなっているのかは分からない。山中の調整は完璧だった。しょうがない。今回集大成を見せようと思って、こんな試合になっちゃったけど、前回と違う意味で終わりを迎えられたのでは。自分もまわりも、勝っても負けても最後と思ってやってきた。本人もやることはやって、少なくとも前回より納得してると思う」
浜田剛史氏 帝拳ジム代表 元WBC世界スーパーライト級王者
「来日時に4キロオーバー。それを落とせずにネリは王座剥奪の失態を演じた。山中との初戦を終えた後にドーピング疑惑が発覚し、それを踏まえての再戦指令。“正々堂々”が求められた試合での失態は、ネリ個人の怠慢だけでは済まされず、論外の出来事と厳しく受け止めたい。この一戦に懸けてきた山中にとって、それは衝撃的な出来事だったはずだ。
山中には自分のコンディションだけを考えるように、と言ったが、踏み台をストンと外されたようなモチベーションの低下は否めなかった。スタートはよかった。右から左を狙い、ネリが出てきたときに腰を落として迎撃する形。ネリの右ジャブで両手をついたが(スリップの判定)、これが効いており2回、連打を浴びた。いつもの山中らしからぬシーンは、やはり、緊張感が切れてしまっていたとしか言いようがない。
入門時の山中は、抜群のパンチ力の持ち主だった。が、アマ時代、その割にたいした戦績を残せていない。これは力を出し切れていないのでは、というのが最初の印象。練習でも、良いときと悪いときの差があり過ぎた。武器の左もそうだ。左の強さは天性のものがあったが、最初は練習で出せても試合で出せなかった。
ただひたすら反復練習の日々。左の強さは、足のスピードと手のスピードが重なるところにある。つまり、踏み込みの鋭さと手の速さ。相手は分かっていても、よけたつもりで伸びてくる左をかわせない。後援者が命名した“神の左”は、天性のものをどう磨くかの努力で誕生した。
山中の変化は、2010年6月、日本バンタム級王座を獲る前、09年7月から10年3月にかけて3試合連続1ラウンドKO勝利を挙げてからだ。これで倒すコツをつかみ、突っ走り始めた。練習で悪くても本番で力が出せるようになった変化。それが今の地位を築き上げた。明るい性格で皆に慕われる男。その業績を称え、本当にお疲れさま、と言いたい」
渡辺均氏 日本プロボクシング協会会長
「本当に残念な結果。それでもよくここまで戦ってくれた。素晴らしいボクサーであるのは変わらない」
安河内剛氏 日本ボクシングコミッション事務局長
「体重制度制度で行われている競技において、このような事態が起きることは危険ですし、ボクシングの存続さえ危ぶまれる大問題です。計量失格を抑止するルールを作るべきです。それには4団体の協調が必要です。今後、JBCとして4団体に対して統一ルール作りを働きかけていきたい。抑止力として有効なのは出場停止、ランキング除外と、高額な罰金、或いは、ファイトマネーの没収でしょう。ただ繰り返しますが、これを4団体が協調して一緒にルール化しないと効力はありません。また国内での計量資格問題、またドーピング問題で取り組まねばならない問題が多くあります。そのあたりも含めて議論を進めていきたいと考えています」
村田諒太選手 WBA世界ミドル級王者
「僕も相手が(ミドル級で2.5kgオーバーの)75kgやったらやりたくない。でも興行をつぶすわけにもいかないし、逃げられない。その中で戦う男と、体重オーバーして勝ってる男とどっちがかっこいいか。ボクサーだからわかる恐怖に負けずに戦った山中さんはかっこいい。それだけ。山中さんは減量が絶対きつかったと思うし、見ていて耐久力が落ちているのもわかった。その上、相手は1階級以上上の体重つくってきて、パンチ力も耐久力もマイナスな方向に走った。計量のルールを厳正化しないと、どっちにしろ、しこりが残る。計量オーバーして興行にならないようになるなら、訴訟でも起こせるとか、システムを変えないと。何かを起こしたら厳罰化するとかしないと(ボクシングが)衰退してしまう」
井上尚弥選手 WBO世界スーパーフライ級王者
「コメントできない…ショックですね…。若さ、勢いですかね。できるならやりたいけど、王者じゃないから…」
岩佐亮佑選手 IBF世界スーパーバンタム級王者
「ショック。悔しい。気持ちの悪い負け。そもそも成立しない試合。あんなのでよく喜べると思う。どんな神経しているのか。ネリは一番尊敬できないボクサー」
長谷川穂積氏 元世界3階級制覇王者
「山中選手は僕がこう言うことを望んでいないだろう。でも、結果的に体重超過の影響があったのは明白だ。ネリ選手は明らかに前回より力強さがあり、減量苦がなかったと感じた。ウエートをつくらないネリ選手の行為は、ボクシングという競技に対する冒とくだと思っている。
1回にもらったカウンター気味の右のダメージが残ったまま山中選手はやられてしまった。スリップと判定されたが効いていた。
サウスポーの僕が“仮想ネリ”としてマスボクシング(寸止め)の相手を務めたことがあったが、その時にやろうとしていた頭を低くする防御はできていた。もしかしたら、防衛回数の早い時期に対戦していたら違う結果になっていたかもしれない。ボクサーと車のエンジンは似ていて、車のエンジンが10万キロ、20万キロと走ればそれだけ消耗する。それを3、4年休ませたからといってよくはならない。エンジンは入れ替えられるが人間はそうはいかない。だから、もっと早い時期に対戦したかった。
今回のベルトは僕は“おまけ”だと思っていた。相手の体重超過の問題があっても勝たなければ前の負けはなくならない。彼はそこに立ち戻って戦ったと思う。
僕自身が感じたことだが、選手は満足してやめることは不可能だ。ただ、納得してやめることはできる。彼がこの試合にいい状態で臨み、自分で納得しているのなら、その結論に僕は何も言えない」(長谷川穂積の拳心論より)
内山高志氏 元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者
「山中は序盤はジャブにキレがあり、動きも良かった。いい立ち上がりだと思っただけに残念で仕方ない。
山中はガードを下げ、首をずらしてパンチをよける癖がある。1回のダウンは、まさにそこへネリの大ぶりの右をもらった。2回の最初のダウンは思い切って踏み込んで懐に入った際に、ネリがスッと出した程度の右がタイミング良く入り、続けざまにもらった左が、完全に効いてしまった。
体重超過を犯したネリはプロ失格だ。山中の思いも分かっていたはずなのに、それでも体重を落とさなかったのだから人間としても失格だ。1キロ以上も体重を落とさず、失うものが何もなくなりメンタル的にも気が楽だったはずだ。こういう状況になれば、本来なら山中は試合をしなくても良かったはずだ。でも、きっと山中は『それでもやらなきゃいけないんだ』という気持ちだったと思う。僕は良く分かる。
僕も現役時代は三浦隆司との3度目の防衛戦(11年1月)前に右拳を痛め、心境としては試合をキャンセルしたかった。しかし、自分あっての興行だし、「逃げた」と思われるのが、試合に負けるよりも屈辱だと思った。山中も似たような心境だったのかもしれないが、アンフェアな相手と戦った山中の方が相当きつかったと思う。
どういう形であれ、一度負けた相手との再戦は、自分本来の動きができなくなってしまうものだ。僕もコラレスとの再戦がそうだった。特にKO負けした相手ならなおさらで、僕の場合は「前回よりパワーがあるんじゃないか」「どう出てくるんだろう」といろいろと悩んでしまい、余計な不安を抱えてしまった。
ボクサーは燃えたぎるものがないと、いくら体が動いても現役は続けられないものだ。山中は12度という立派な防衛記録も残した。先に引退はしたが、同じ時代をけん引した仲間に、いまはお疲れさまと言いたい。」(内山高志のジャッジより)
三浦隆司氏 元WBC世界スーパーフェザー級王者
「1回でもらったダメージが残ってしまった。体重オーバーしてベルトを捨てても勝ちにきた。そういうのは許せないし歯がゆい」
竹原慎二氏 元WBA世界ミドル級王者
「山中残念~ 勝つチャンスはあると思ったが ネリの若さ勢いに圧倒された 今日の試合は完敗 でもこいつはダメな奴だ 前回はドーピング 今回は計量オーバー 本来ならリングに上がる資格は無い もっと厳しいペナルティが必要だな 山中は偉大なチャンピオンだった 長い間 お疲れ様でした じゃあの。」
川島郭志氏 元世界WBAスーパーフライ級王者
「ジャブで倒し、体重ハンディがそのまま出た。ネリは元気いっぱいで、余裕を持って臨んでいた。1時間程度で再計量して1キロ落ちるとは、本気で絞っていない。ただ勝つために来た確信犯では。体を削ってやってきた山中がかわいそうで気の毒。結果がすべてとはいえ、ボクもショック。ボクシングは細かい階級があってのもの。ペナルティーを与えるなどは当然のことにしてほしい」
飯田覚士氏 元WBA世界スーパーフライ級王者
「ボクシングというのは勝負がはっきりと出る。ドラマだったらヒール役のネリが負けてハッピーエンドということになるけど…。結果だけ出してもらえたら、すべてが丸く収まったけど」
大橋秀行氏 大橋ボクシングジム会長 元WBC・WBA世界ミニマム級王者
「これだけのブーイングが鳴り響いた世界戦は見たことがない。結果を見た全員が『ちゃんとしたウエートなら』と思ったはずだ。ネリはリングに上がった時から体が全然違った。減量から逃げた時点で敗者であり、男と男の勝負のリングに立つ資格はない。ボクサーにとって最後の2キロを落とすのは想像以上につらい戦いだ。試合前日にその緊張感がぷつりと切れた山中の心は想像するだけでつらい。
納得がいかないし、こういう事態が起こる度どうにかならないのかと思う。ルールを厳罰化しないと、また同じことの繰り返しになる。日本ボクシングコミッション(JBC)にはWBCに、しっかりと意見を挙げてもらいたい。山中は世界戦を戦い続けてきたダメージの蓄積もあったと思う。ただ、負けた後の歓声がファンから愛された人柄を表していた。悔しい最後になってしまったが、日本ボクシング史に残る伝説的な王者だった」
具志堅用高氏 元WBA世界ライトフライ級王者
「右ジャブがストレートのようで、最初のダウンで効いてしまった。ネリは体が元に戻っていた。ちゃんと計量をパスしないと。あんな体重オーバーは、残念というよりありえない」
KJインプレッション
試合総評
ルイス・エステバン・ネリ・エルナンデス。
この男の思考回路は、平均的な日本人のものとは根本的に異なるようだ。元プロボクサーの祖父と叔父を親族に持ち、14歳でボクシングを始めたネリ選手。貧しい家庭に育った彼は「ボクシングは金のためにやっている」と公言している。そんなネリ選手にとって、万が一にも自らの「無敗」のレコードを傷付けて、プロボクサーとしての商品価値を下げるリスクを負うくらいならば、王座を手放してでも米・リング誌認定のレジェンダリーなボクサーから確実な勝利を得ることを選択したのかもしれない。
果たして、その試みは見事に結実した。
前回のドーピング疑惑に続き、バンタム級のウェイトを実に6.6kgも上回る60.1kgの肉体でリングに立ったネリ選手。対する山中選手の当日のウェイトは着衣のままで59.2kg。おそらく一般的なバンタム級のボクサーと同様、4.5kg程度の増量だとすれば実質58kg程度だろうか。ネリ選手は1つ上の階級の肉体を得ることに成功した。しかも、ギリギリまで絞り込んだ山中選手の肉体と、損失を必要最小限に留めたネリ選手の肉体は、まるで性質の異なる状態。まさに「ウェイト・ドーピング」と言っていいだろう。
モータースポーツに例えるならば、卸したての新品エンジンを積んだF1マシンとリペアされたF2マシンでレースを戦うようなもの。その差は歴然だった。1ラウンド。ネリ選手のカウンター気味の右ジャブが山中選手の顔面を捉えると、山中選手の下半身は制御を失った。その光景は、この試合の結末を悟るには十分過ぎた。試合開始から243秒。山中慎介選手の現役生活はあまりにも劇的に幕切れとなった。
ネリ選手とその陣営は、不可能を可能に変えたかの如く喜びを爆発させた。奇妙で異様な光景だった。
パワーもスピードもトルクもクイックネスも、全てがバンタム級のものとは思えないネリ選手。もはや凶器と化したネリ選手を前に、山中選手はあまりにも無力だった。山中選手の反応が鈍いのか?山中選手が打たれ弱くなったのか?山中選手が衰えたのか?そう見えてしまうシーンは確かに次々と訪れた。ウェイト差が無くても、結果は同じだったのだろうか。けれども、それが適切な評価なのかどうか、適正な評価軸がこの試合には存在しなかった。これほど「何を語っても無駄」なボクシングの試合を見たことが無い。
しかし、これは全て「ルールに則った試合」だった。ネリ選手はウエイトオーバーの違反を犯した。しかし、それは「王座剥奪」というペナルティで既に償われている。そこから先は、ネリ選手がルールを最大限に活用したに過ぎない。確かにそこには「モラル」など欠片も存在しない。それでも、ネリ選手は合法的に勝利を手中に収めたのだ。
全ての問題は、ルールと興行の在り方にある。
オーバーウェイトに対する厳罰化を求める声は、世界中で高まっている。日本ではあまり知られていないが、そうした対戦は増え続けている。日本とは桁違いのファイティングマネーが動くアメリカのリングでさえそうなのだ。早急に何かしらの手を打たなければ、ボクシングはあっという間に人気を失うだろう。ルールと興行の在り方を見直すには、絶好の機会となった。未来は既に委ねられている。変わらなければ、ボクシングが死ぬ日を迎えるだけだ。
しかし、何を語ってもこの試合に適用されるルールは現在のルールである。そして、ネリ選手はルールを逆手に取った。
ネリ選手にとって、山中選手はリスキーで厄介な相手だった。けれどもそこには大きなチャンスもあった。だから、得失評価の上で確実な勝利を選んだ。ネリ選手に実力はある。暫くは人生を謳歌できる財産も手にした。仮にヒール扱いされたとしても、勝ち続ければ再びチャンスは訪れる筈だ。ローリスクな王者であれば、その時は正々堂々と挑めば良い。そうすれば評価も回復する。人は忘れやすい生き物だ。「金のためにやっている」ボクシングとは、そういうものなのだろう。
それは、山中慎介の愛したボクシングではない。
山中選手の犯したミスはただ一つ。結果論になるが、引き際を間違えたことになるだろう。2016年9月16日、元WBA世界バンタム級スーパー王者アンセルモ・モレノ選手に2度目の勝利を収め、11度目の王座防衛を果たし、米・リング誌認定王座を獲得したあの夜。のちに山中選手自身が「燃え尽きた」と語ったあの夜を最後に、引退すべきだったのかもしれない。引き際を誤り、世界王者連続防衛日本記録を目指し歩みを進めたことで、ルイス・ネリという山中選手の人生にとっての悪魔に遭遇してしまった。白井義男がペレスに遭遇し、ファイティング原田がファメションに遭遇し、具志堅用高がフローレスに遭遇し、辰吉丈一郎がウィラポンに遭遇し、内山高志がコラレスに遭遇したように。偉大な日本人王者の選手生命の晩年に付き纏う宿痾なのだろうか。悲運としか言いようがない。
山中選手やご家族の気持ちは察して余りある。プロボクサーとしては、例えそれがウェイトオーバーの相手であってもグローブを交え、叩きのめされたことで、はブレてしまった強烈な実感は残るだろうし、この試合に限っての悔いは何も無い筈だ。しかし、一度冷静になってこの試合の背景に思いが至った時、納得の出来ない、受け入れ難い理不尽さに直面することとなるだろう。そこから山中選手や山中家にとって、長く辛い孤独な戦いが始まるかもしれない。彼や彼の家族に近しい友人や関係者の方は、くれぐれも彼らに寄り添ってあげてほしい。
ただ、いずれにしてもルイス・ネリ選手に喫した2つの敗北が、山中慎介選手の偉大な功績を貶めることは決してない。世界中のボクシングファンの尊敬を損なうことなどありえない。そして、彼の戦いに魅了され感動を味わった自分の中にある記憶は、大切な宝物として決して消えることなく心に深く刻まれている。
山中慎介は、自らの愛したボクシングを貫いてリングに散った。誇り高き魂を携えたまま。
今まで、至極の興奮と極上の感動をありがとう。
あなたは自分にとって、いつまでも強くて勇敢で美しいチャンピオンだ。
追記1:JBCがルイス・ネリを1年間の日本への招聘禁止処分(2018.3.2)
JBC(日本ボクシングコミッション)は2日、前日行われたWBC世界バンタム級タイトルマッチで、体重超過による計量失格の暴挙を犯して、山中慎介(35、帝拳)との試合を台無しにした前王者ルイス・ネリ(23、メキシコ)の1年間の日本への招聘禁止処分を下すことを決定した。
国内の世界戦及びプロの全試合を統括するJBCは、計量失格を犯した外国人選手の1年間の招聘禁止を規定で定めており、今回も、その規定に沿って処分を下したもの。JBC管轄のプロモーター及びジムは、向こう1年間、ネリを来日させて試合を行わせることは認められない。1年間の処分は、“大甘”だが、海外選手に対してローカルコミッションであるJBCができる処分には限界がある。
またJBCは、この日、WBC側の責任者とも話し合いを持ち、WBCも、今後、独自に厳格なペナルティをネリに科す方向であることを確認した。WBCからは、JBCに処分決定の資料にするため今回の経緯をまとめたレポートの提出を要望されたという。
安河内剛氏 日本ボクシングコミッション事務局長
「1年後にネリの状況を見て、さらに招聘禁止期間を延ばす可能性もあります」
追記2:WBCがルイス・ネリのファイトマネーを凍結
ボクシングの元WBC世界バンタム級王者山中慎介(35=帝拳)の引退試合に禍根を残した前王者ルイス・ネリ(メキシコ)のファイトマネーが一部凍結されることになった。2日に帝拳ジムの本田明彦会長(70)が、「WBCから、すでに払った30%分の残りの70%の支払いを待つように連絡があった」と明かした。
ネリは同級タイトルマッチの前日計量で大幅な体重超過を犯し、はかりの上で王座を剥奪されていた。減量苦の有無による山中と体調面の差も大きく、1日の試合は2回TKO勝ちしたが、王座は空位となり、失態に批判が集中していた。WBCは計量失格のペナルティーを今後決定し、資格停止の処分を下す見込み。ファイトマネーの処分も含まれる可能性があり、凍結はそれまでの措置となる。国内の世界戦では、対戦相手が失格しても満額は支払われるケースが主だった。
日本歴代2位の世界戦12連続防衛を果たし、「神の左」の愛称でも親しまれた山中。そのラストファイトに影を落としたネリ。この日、国内の統括機関であるJBC(日本ボクシングコミッション)には、意見や抗議の電話が殺到した。「しっかりWBCに意見してほしい」「なぜ試合を行ったのか」など、夕方までに50件以上が寄せられた。
追記3:WBCがルイス・ネリを無期限資格停止(2018.3.3)
Luis Nery lost the WBC bantamweight title after failing to make the weight this past March the 1st in Tokyo, Japan.
The WBC has implemented several procedures which have worked for many years with absolute success, including changing the official weigh-in one day before the fight, implementing the monitoring weigh-in 30 and 7 days before the fight, etc.
For a bantamweight champion (118 pounds) to arrive at the official weigh-in 5 pounds over is simply unacceptable.
バンタム級王者(118ポンド)が公式計量に5ポンドもオーバーしてきたことは、単純に受け入れ難い。
The WBC is formally suspending Luis Nery indefinitely.
WBCは正式にルイス・ネリを無期限資格停止とする。
Luis Nery will be mandated to appear at a hearing to conduct a thorough investigation of the circumstances.
ルイス・ネリは、状況の徹底的な調査を行うために聴聞会へ出席することを義務付ける。
世界ボクシング評議会(WBC)は本部を置くメキシコ時間2日午後4時55分、山中慎介選手(帝拳)と1日に対戦したバンタム級タイトルマッチで体重超過のため王座剥奪となったルイス・ネリ選手(メキシコ)を無期限資格停止にすると発表した。
ネリ選手は前日計量で1回目はリミットを2.3キロオーバーの55.8キロ、再計量も54.8キロで王座を失った。WBCはネリの行動をプロフェッショナリズムに反していると非難。「5ポンド(約2.3kg)の体重超過は受け入れ難い。経緯を調査するため、ネリに聴聞会への出席を義務づける」と声明を発表し、結論が出るまでの出場停止処分を科した。WBCの処分だけでネリのボクシング活動そのものが不可能となるわけではないが、世界ランキングから外れることで地域タイトルを含めたタイトル戦には出場できなくなる。
処分発表を受け、日本ボクシングコミッション(JBC)の安河内剛事務局長は「過去にも体重超過の例はある中で、非常に迅速で重大な処分。少なからず他の主要3団体に影響を与えることになると思う」との見解を示した。
ルイス・ネリ選手
「(処分を)受け入れるが、またベルトのために闘いたい」
追記4:JBCがルイス・ネリのライセンス取り消し、永久追放処分(2018.3.9)
一般財団法人日本ボクシングコミッション (JBC) は、3月8日、倫理委員会を開催し、ルイス・ネリ(23=メキシコ)に対して日本でのボクシング活動停止処分を決定。9日、JBCより発表された。
発表内容によると、期間については「海外からの招請選手のオーバーウェイトは、通常1年間の招請禁止処分を科しているが、今回は世界タイトルマッチにおける公式計量での失格であり、かつ2.3kgオーバー極めて異例な重大な違反であること等から、より厳重な処分が相当である」とし、期間を設けない実質的な永久追放処分となった。
決定にはJBCル–ル制裁規程第2条1項⑥が適用とある。⑥とは「ライセンスの取り消し」であり、⑤がライセンスの停止なので、⑥の取り消しとなるとネリは永久追放処分とも取れる。日本で試合をする場合はJBC発行のライセンスが必要となるが、ネリの日本国内ライセンスは取り消しとなった。
処分の理由をJBCは「2018年3月1日に開催されたWBCバンタム級タイトルマッチにおける公式計量 (2月28日)において2.3kgオーバーし、さらに2時間後の再計量においても、なお1.3kgオーバーしタイトルを剥奪された。このことは、階級制を前提としたプロ競技スポーツであるボクシングに対する社会的信用を著しく毀損する行為である」とした。
王座剥奪となったネリだが、ネリが勝っても王座に就けないという条件の試合だった。試合はネリが山中慎介(35=帝拳)に2回TKO勝ち。王座は空位のままだが「また日本で戦いたい」と語っていた。
また、管理責任として、帝拳プロモーション(本田明彦代表)とネリ選手随行マネージャーに対し管理責任懈怠(けたい)を理由とし厳重注意処分も発表された。
ネリの活動停止処分の内容については、WBC以外の世界タイトル認定団体(WBO、WBA、IBF)等、各国コミッションに本決定を通知し協力を求めるとし、今後このようなことが起きないよう、オーバーウェイトに関する罰則ルールの策定を行なっていくという。
うーん残念”(-“”-;)”これが現実かぁ~(;´д⊂)比嘉だいごってリミットオーバーした馬鹿野郎をコテンパンにしてチャンピオンになったんだもんなぁ~すげぇなぁー比嘉に狙われたら井岡一翔みたいな奴わ嫁を言い訳にして、そら逃げるわな( ̄∀ ̄)
比嘉大吾選手が挑戦した元王者ファン・エルナンデス選手の場合は全裸でリミット200gオーバーと本気で減量し切っても落ちなかったもので、勿論あってはならないことですが、それでアドバンテージを得られるものではありませんでした。とは言え、倒しきった比嘉選手は見事でしたし溜飲を下げてくれましたね。
ルイス・ネリ選手の場合は全裸になるまでもなく大幅なオーバーで、2回目の軽量でも通常のトレーニングで失われる水分量程度しか落としていませんでした。確信犯を疑われても仕方ありません。WBCには厳しい対応を期待します。
井岡一翔氏については、詳しい言及を避けておきます(笑)谷村奈南さんとの結婚が引退のきっかけとされていますが、父・一法氏の金銭感覚が異常なのも事実であり、一翔氏がマッチメイクに異論を唱えていたとの話もありますので、第三者にはわからない家庭の事情があるのでしょう。
いずれにせよ山中選手の集大成の舞台がこんな形で終わってしまったことは残念でなりません。
山中は2試合とも相手に不正行為で倒されてのであるから2試合ともノーコンテストだと思う。
つまり山中の負けではない。
そしてルイスネリのくそやろうは世界王者であった事も認定されずボクシングも人間もやめて二度とメディアの前に出てくるな❗
そんなにドーピングと体重超過が好きなら
ヘビーウェイトで試合して叩きのみされろ‼
普通の感覚ならそう思うのが当然ですよね。少なくともウェイトオーバーを喫した選手には、ファイトマネーの全額没収と違約金の支払い、そして2年間の選手資格停止と違反した階級の1つ上とそれ以下の階級の試合には二度と上がれない等の処分を下してほしいものです。
出来ることならば2つの試合を無効として、山中選手の腰に再び一度ベルトを巻いて、王者のまま引退してもらいたいです。