【試合動画】『井上尚弥 vs ジェイミー・マクドネル』”10年無敗王者”撃破で3階級制覇達成&高額賞金トーナメントWBSS参戦へ!完全版

KJ
7度防衛したスーパーフライ級の世界チャンピオンベルトを返上した”The Monster”井上尚弥選手。

怪物が次に狙う獲物は、1階級上のバンタム級王座。井上尚弥選手はこの階級で3階級制覇、世界戦13回連続防衛の日本記録更新を宣言しています。

そして、他団体との王座統一戦を制し、未だ日本人ボクサーが足を踏み入れたことの無い領域=米・リング誌パウンド・フォー・パウンド(PFP)1位を目指しています!

これからますます目が離せなくなる世界的スーパースター・井上尚弥選手がどんな戦いを見せてくれるか、期待はとどまることを知りません!

ジェイミー・マクドネル選手 vs 井上尚弥選手

Jamie McDonnell vs Naoya Inoue

  • 2018年5月25日 金曜日
  • WBA世界バンタム級王座決定戦
  • 王者:ジェイミー・マクドネル(英国)vs同級1位:井上尚弥(大橋)
  • 東京・大田区総合体育館
  • 15:00開場/16:00イベント開始

チケット

前売り券(税込・全席指定)

  • SRS席:50,000円
  • RSアリーナ席:30,000円
  • RSスタンド席:30,000円
  • 指定席A:20,000円
  • 指定席A:20,000円
  • 指定席A:20,000円

大橋ボクシングジム

TV中継

FUJI BOXING
フジテレビ系列 19:57~ON AIR

MC

三宅正治(フジテレビアナウンサー)
中村アン

解説

長谷川穂積
山中慎介

ゲスト解説

村田諒太
八重樫東

ゲスト

具志堅用高
香川照之

記者会見(2018.3.6@ホテルグランドパレス)

井上尚弥選手

「素直に凄く嬉しかったですし、モチベーションが上がりました。バンタム級は日本のファンの方が馴染みのある階級だと思いますし、自分自身小さい頃から見てきた階級がバンタムが多かったので、自分もそのステージにいけるのが楽しみです」
「基本的な戦い方は変えませんが、その中でも身長差をどう考慮して戦うのか、これから作戦をたてたい」
「バンタムが一番今の体重とも合っていますし、長期防衛できる階級だと思っています。目標は具志堅さんの13度防衛。デビューから言ってきたが、それを目指したいし、更新したい」

囲み取材

「階級を上げると考えたのはこの前の試合が終わった時(2017年12月)で、スケジュールが空いているチャンピオンがマクドネルしか見当たらなかったからWBAかなと思いました」

―過去最強の相手ではないか?
「自分でもそれは分かります。だからこそやりがいがありますし、モチベーションも高いです」「これを獲った段階でさらに上にチャンピオンがいるわけです。そこ(どちらが強いか)を一番はっきりさせたいです」

―ジェイミー・マクドネル選手の印象について
「隙はかなりあります。ソリスとの試合を見ても、簡単に中へ入れてくれます。身体は丈夫ですね。ただ、ボディだけは誰がもらっても効くので。身長が高くても重心を落として前屈みに構えるので。それでもかなり身長差はあるけれど、戦い方的には変える必要はないのかなと思っています。身長の高い選手を(スパーリングパートナーに)選んでやっていきたい」

―バンタム級について
「バンタム級は長谷川(穂積)さん、辰吉(丈一郎)さん、山中さんなど日本のレジェンドである先輩方が王者として君臨していた階級なのでワクワクしている。本当は緑のベルトを狙いたかった」

―ルイス・ネリ選手について
「試合だけを見ればネリの若さ、勢いが目立ちましたが、試合をする前の時点で納得はしていません。聞こえていました。バンタム級なので出来ることならやりたい。でも、そもそも試合が出来る状態にしてもらわないと、また同じことの繰り返しになる。いくらやりたくても、ルールを守ってもらわないとボクシングという競技にならない。それ関係なしにやりたい気持ちはありますけどね」

―防衛記録について
「バンタム級で数をこなしていく中での通過点でもあります。何十年も破られていない記録を破るのはひとつの目標です。僕はプレッシャーを力に変えていける性格なので、どんどんプレッシャーをかけてください(笑)」

ジェイミー・マクドネル選手

「ナオヤ・イノウエというパウンド・フォー・パウンドにおける最高の選手からWBAの世界タイトルを守るため、日本に向かう」
「それは、ベストな君を相手に、ベストな自分が、地球上で最もベストなバンダム級であることを示す上でベストな戦いだからだ。5月25日に、それを証明してみせよう」

予備検診(2018.5.22@後楽園ホール展示会場)

予備検診の主要結果は以下の通り。
身長
マクドネル選手:175.5cm
井上選手:165.2cm

頸周
マクドネル選手:37.0cm
井上選手:35.0cm

胸囲
マクドネル選手:96.0cm
井上選手:90.0cm

視力
マクドネル選手:左 1.0 右 1.0
井上選手:左 1.0 右 0.6

リーチ
マクドネル選手:182.0cm
井上選手:170.6cm

ナックル
マクドネル選手:左27.0cm 右29.0cm
井上選手:左26.5cm 右26.4cm

血圧
マクドネル選手:128/86mm/Hg
井上選手:143/94mm/Hg

脈拍
マクドネル選手:58回/分
井上選手:60回/分

体温
マクドネル選手:36.5℃
井上選手:37.2℃

ジェイミー・マクドネル選手
「映像で見たことのある選手なので、実際に会ってみるとフィーリングが掴めた。身長もリーチも自分の方があることはわかっていたことでアドバンテージだと思っている。それを活かした試合をしたい」

井上尚弥選手
「(マクドネルは)思っていたより体がしっかりしている。仕上げてきたなと思います。やっぱり減量している中での1.4kg(スーパーフライ級からバンタム級の体重差)というのは、自分にとってすごく大きい。コンディションはすごく良いので、あらためて適正階級だなと思った」

調印式(2018.5.23@東京ドームホテル)

大橋秀行・大橋ジム会長

「ボクシングが日本に入って来て100年経ちますが、ボクシング発祥の地であるイギリスのチャンピオンが日本のリングで防衛戦を行うのは初めてです。この試合はワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)いわばボクシングのW杯への出場への切符を懸けた大きな戦いになると思います。必ず素晴らしい試合になります」

ジェイミー・マクドネル選手

「日本は敵地ではあるが試合が出来ることを楽しみにしている。偉大なファイターであるイノウエから勝利をあげる自信もある。そのために12週間のトレーニングキャンプを積んできた。イノウエが強いボクサーであることは承知している。その強さがあるからこそ、この試合を受けようと思ったし、モチベーション高くトレーニングをしてきた。”パウンド・フォー・パウンド”で7位のイノウエを倒せば、私も世界にその名を広めることになるだろう。全てにおいて私の方が優っている部分が多いと思う」

-母国で試合をしたがるチャンピオンが多い中、何故あなたは様々な国で試合をするのか?
「それは自分自身がバンタム級で最強だと信じているからだ。強い挑戦者が他所の国にいた時に、こっちに来るのをなぜ待たないといけないのか。私はこれまでも自分からチャンスをつかんできた。今回も同じで、上位の素晴らしく強い選手が日本にいる。その選手と対戦出来るのを待つのではなく、自分から動いた方がいいと思ったんだよ」

-全米・全英で生中継されることについて
「ビッグマッチだと思う。たくさんの国で放送されると聞いた。しかし、自分がやるべきことをやるだけだ。それに尽きる。そして勝利をあげるんだ」

-コンディションについて
「気分もいいし、体調もいい、日本の時間にも合わせられるように12週間のキャンプを行ってきて全てが完璧だ。自分にとっても過去最大のステージになると思うので当日が楽しみだ」

井上尚弥選手

「バンタム級に上げたということで減量もラクになり、コンディションよく仕上がりました。バンタム級の初戦でチャンピオン、そして過去最強の相手と戦えることを感謝しています」

-バンタム級初戦でマクドネル戦が決まったことについて
「バンタム級初戦でタイトルに挑戦出来ると思っていなかったので、驚きと楽しみの両方です」

-全米・全英で生中継されることについて
「今回この3階級制覇の試合が全米で生中継されるということで、凄く盛り上がっている試合だと実感しています。この先にバンタム級トーナメントだったり、ビッグマッチにつながる試合なのでこの試合はハッキリした形で勝利したい」

-戦い方について
「言える範囲は少ないですが、まずは全空間を支配して本来の自分のボクシングをするだけです」

-KOを狙うのか?
「そういう流れが来たら必ずKOを狙っていきたいと思います」

試合役員

レフェリー:ルイス・パボン(プエルトリコ)
ジャッジ:オリバー・ブリエン(ドイツ) イグナシオ・ロブレス(パナマ) ピニット・プラヤドサブ(タイ)
立会人:レンツォ・バグナリオル(ニカラグア)

前日計量(2018.5.24@東京ドームホテル)

検診結果

王者:ジェイミー・マクドネル(英国)
血圧:89/69mm/Hg
脈拍:85/min
体温:36.0℃

挑戦者:井上尚弥(大橋)
血圧:131/83mm/Hg
脈拍:63/min
体温:36.6℃

ジェイミー・マクドネル選手

計量後に控室に閉じこもったマクドネルは「4度会見をしており、試合に集中したい」という理由で会見を拒否した。医師によると、血圧が低く脱水症状が見られるが他は異常なしと診断された。

井上尚弥選手

「ふざけているなと思います。謝る態度1つなくて(王者)陣営の態度にイラっとしました。明日はそれをぶつけようと思います。1時間オーバーはないですよ。体重はクリアしたが、体のダメージはあるのではないか。明日には体が大きくなってくる思うが動きは鈍くなるし、ボディも効きやすくなる。明日は判定決着は考えていなくて、KO決着で締めくくりたいと思います。イライラしていないですよ」

エディ・ハーン(プロモーター)

「現在、水分補給している。もう4回も会見を行っており、明日の試合に集中したい。宿泊ホテルで体重を落として出発したかった。こちらのホテルで体重を落とすのが大変だからだ。日本人と違い、我々の民族は時間にきちんとしていない部分がある。相手陣営には状況を随時、報告していた。前回の方が減量はキツかった。前回も遅刻している。明日には体力が回復している。勝った方がWBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)に出場すると思う。ただ、マクドネルはこの試合を最後にスーパーバンタム級に階級を上げるかもしれない」

試合結果

WBA世界バンタム級タイトルマッチは挑戦者・井上尚弥選手(大橋)が王者ジェイミー・マクドネル選手(イギリス)に1回1分52秒TKO勝ち。フック気味の左ストレートでぐらつかせた後、左ボディーフックでダウンを奪うと、立ち上がったマクドネルにロープ際でラッシュを仕掛け勝利を奪った。WBAバンタム級新王者に輝き、日本最速16戦目での3階級制覇に成功した。

試合動画

両選手のコメント

勝者:井上尚弥選手

勝者インタビュー(TV中継より書き起こし)

-会場の皆さん、そしてTVをご覧の皆さん、やはりバンタム級でも怪物でした!井上尚弥選手、おめでとうございます!
「ありがとうございましたー!!皆さん、これがボクシングです!早過ぎるとかいうクレームはちょっとご勘弁ください!」

-井上選手、それでも早過ぎました
「まぁ、自分でもビックリしています。この結果、ものすごく練習してきた結果が出て凄く満足しています。そして、イギリスからわざわざ日本まで来てくれたチャンピオンに感謝します」

-10年間無敗のチャンピオンです。そして井上選手にとっても初めてのバンタム級。ワクワク感もあり、緊張感もあり、試合前ピリピリとした緊張感もありました。臨むまでどんな気持ちでしたか?
「いやもう、楽しみな気持ちがいっぱいでしたね。でも、めちゃくちゃ硬かったです。出だしから。ぶん回してましたもん。はい(苦笑)」

-破壊力が凄まじいものがありました。階級を上げて更にパワーアップしています。どのあたりで試合の感触を掴み始めましたか?
「いやもう、控室でアップしている時からちょっと”動きが違うな”と。”パンチのノリも違うな”と感じていたので、当たれば倒せるという感覚はあったんで、それが試合に出てホッとしています」

-そして日本はもちろん、イギリス、アメリカ、世界がこの試合を観ていました。十分なアピールができたんじゃないでしょうか?
「はい。まぁ怪物ぶりはアピールできたのかなと十分に思います」(ここでマイクを催促し、自らマイクを手に話し始める)
「そして、十分にアピールできたということもあり、皆さん、WBSS、バンタム級最強トーナメントのオファーが正式に来ています。出場します!!

-これまでに無い大歓声が会場にこだましています。WBSS、世界の各団体のチャンピオンがトーナメントで戦う試合に、井上選手、名乗りをあげるということでいいですね?
「はい、もちろん出場します。そして、トーナメントにはテテ、バーネット、強豪が待ち受けているので、今まで以上に練習して、このバンタム級最強トーナメントに優勝できるように頑張ります!

-ここから先も我々の想像を遥かに超えるスポーツの感動を井上選手は見せてくれると思います。これから見据えるもの、世界の皆さんに向かって一言お願いします
「まだ自分も夢に向かって走り続けている最中なので、皆さんも自分の夢に向かって一緒に応援よろしくお願いします!」

-改めて、世界に誇る怪物、井上選手でした!

トーク(TV中継より書き起こし)

-見事な1ラウンドノックアウト。ご自身で改めてどんな気分ですか?(三宅アナ)
「いやもう最高ですね。夢見てる気分です」

-香川さん、3階級制覇チャンピオンを前に一言お願いしたいと思います
香川照之「もう、素晴らしい、なんていうんだろ、全盛期のマイク・タイソンを見るようだったね。凄かった。圧力?もう全部が凄いんだよね。で、リングに入る前に凄い歩いてるマクドネルを睨んでたじゃない?物凄い闘志がいつもよりあるから”これは早いぞ”と」

-香川さんのコメントを聞いていかがですか?(中村アン)
「そうですね、闘志は今まで以上にあって。それはもう計量の時から始まってるんですけど。ちょっと(相手の)陣営の態度とかにピリついたところもあって。ちょっと闘志は今まで以上にあったんで”1ラウンドから行ってやろうかな”という気持ちで今日はやりました」

-1時間遅れてきて(中村)
「そうなんですよ。やっぱり計量を待ってる選手からしたら1時間って物凄い時間なんですよ。そういう時間を無駄にされたというところで」
-激闘の裏側を伺ってまいりたいと思います(三宅)

CM

-改めておめでとうございます!(三宅)
「ありがとうございました!」

-何かインタビューを聞いていたら最初はちょっと硬かったという話をしていましたけど(三宅)
「はい。めちゃくちゃ硬かったと思います、多分。まぁ見返してみないと何とも言えないですけど、やってる最中”硬いな〜”と思って感じてましたね、自分自身」

-なるほど。そして、この3階級制覇のチャンピオンベルトを今肩にかけていますが、どんな想いですか、改めて(三宅)
「めちゃくちゃ重いです。そして3本目なんで、これを大事に次戦からも頑張っていきたいですね」

-村田選手はこの試合、どうご覧になりましたか?(中村)
村田諒太選手「序盤の決着はあり得るという話はしていたんですけど、井上選手結構初め慎重に戦っていたので”それは無いのかな?”と思ったら、予想を上回る早さで決着になっちゃいましたね」

-井上選手いかがですか?(中村)
「はい。いつも通りやっぱり”判定でも良い”っていう気持ちで臨みました。そして、最初は様子を見て徐々にペースを上げていこうかなという作戦だったんですけど、最初チャンピオンの動きとか、パンチの動作だったり、いろいろ確認…まぁ30秒くらいですかね、そこで”これ、いけるかな”っていう。はい」

-30秒ですか!?(三宅)
「30秒くらいで、もうスピードだったり、パンチの角度だったりとか、まぁちょっと見切れたんで」

-そこでもう見切った?(三宅)
「はい。ただ、右を出してなかったんで、そこだけでしたね、怖かったのは。ただ左に対しては完全に対応できるなという感覚があったんで」

-身長差10cm、リーチ差がおよそ12cmという。香川さん、そんな中で、ある程度距離っていうものを測る時間があるのかなと思ったんですが、30秒ですって(三宅)
香川「いやぁでも今日の井上選手はそれを全部前に潰していくだけの力があったので。こちらが見てても。硬いとおっしゃいましたけど、ダウン取った後、冷静にライトの上にあるモニター見て残りの秒数見てたでしょ?(井上「はい(笑)」)”凄いなこの人!”と思って(笑)」

-よく香川さんも見てますね、そこを!(三宅)
村田「あとジャブだよね。相手のジャブを見てそこであのスピード感っていうのを掴んだ感じがしますよね」
「はい、ありますねそれは」

-なるほど、この試合をちょっと振り返りながら観ていきたいと思いますけれども。先程ちょっと話に出ましたがやっぱりこの試合の前にはああいった軽量であるとか、そういった態度を見て、どうにもなんともやってやろうという感じの雰囲気が(三宅)
「もう、やってやろうという気持ちは凄くありましたね」

-そしてこの段階で今はまず距離を測ろうと(三宅)
「はい。ここは距離感をインプットしています」

-身体の動き自体はやっぱりこれまで減量に苦しんでいた部分もありましたが、バンタムに上げて感じは違いましたか?(三宅)
「物凄くパワーは発揮できたし、その力、エネルギーっていうんですかね、漲ってましたね」

-どうですかね、村田さん。今まででやっぱり一番良い状態で試合を迎えたんじゃないかと思いますけども(三宅)
村田「まぁ、スーパーフライ級に上げた時の試合っていうのも凄い試合だったじゃないですか。やっぱり階級が上がった時っていうのは前の試合より体重の余裕もありますから、そういう部分も凄く良かったですよね」
「まぁ、その分練習にもかなりの時間をかけてやることができたので」

-なるほどね。香川さん、もうこの辺りからもう見切った後ですよね(三宅)
香川「身体の大きさのプレッシャーというのはまぁ、ありきたりですけど、感じなかったんですか?」
「向き合った時にそれほど感じなかったですね」

-相手は12kg増えたんですよ、昨日から(三宅)
「らしいですね」

-井上尚弥さんは6kg。ですから6kg差があったってことですから(三宅)
「6kgですね」

-その差はあまり感じなかった?(三宅)
「そうですね、感じなかったです。ただ、やっぱりスピードが鈍いなっていう印象はあったんで」

-あっ、ちょっとグラつかせた!(三宅)
「(村田を意識して)ゴロフキンパンチ当たりました(笑)左ストレート(笑)」
村田「左ストレートね(苦笑)」

-香川さんどうですか?(三宅)
香川「手応えのあるパンチはあったんですか?」
「そうですね、このおでこというか、最初の左、フック、カチンと当てたところは手応えがあって、ちょっと足も若干グラついてて」

-もうここは一気にですね(三宅)
香川「いやぁ素晴らしい!強い!」

-はい。ということになりました。ということで、リング上でも話してましたけども、ワールドボクシングスーパーシリーズ、これに参戦すると(三宅)
「参戦します」

-改めてその決意のほどを(三宅)
「はい。もう正式にジムにもオファーが来ていて、かなりの気合と、楽しみさと、もう凄いですねこのトーナメントっていうのは。やっぱりどの団体のチャンピオンも出てくるんで、そこでバンタム級最強が決まるっていうところで、自分はやっぱり、凄い…この試合の前から決まっていたことなんで、この試合にかける想いもありますし、このトーナメントに出て、必ず優勝してやろうという気持ちはありますね」

-ご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんけど、昨年秋から行われているこの賞金争奪トーナメントなんですが、第1シーズン去年行われまして、これはスーパーミドル級とクルーザー級で行われたんですが、各階級世界の王者8人が集まって、賞金総額が50億円以上!というビッグイベントなんですが。香川さん(三宅)
香川「ここにもし井上選手が優勝するようなことがあると、本当に日本ボクシング史上初めての大偉業ということになるので本当に達成して欲しいです」

-井上さんいかがですか?(三宅)
「もうそのつもりでやりますし、やっぱりそのボクシング界を盛り上げるためにもこのトーナメントに出て、結果を残すだけなんで頑張りたいです」
香川「日本の試合にはこだわらないの?」
「もうどこでもいいです」
香川「どこでも行く?」
「はい、どこでも行きます」

-井上選手、ずっと言ってましたよね。とにかく強い相手とやりたいんだと。このバンタムに上げたのも結局、元の階級ではいないと(三宅)
「そうですね、スーパーフライ級でも統一戦が叶わなかったり、自分が戦いたい相手とできなかったりとか、色々あったんで」

-そういう意味ではこのワールドボクシングスーパーシリーズというのはもってこいの?(三宅)
「最高です。もうトーナメントを組まれたら逃げられないんで。はい、最高ですね(笑)」

-村田選手、今後の井上選手に期待することは何でしょうか?(中村)
村田「やっぱり今のボクシングね、誰が一番強いかっていうのがなかなか分かりにくくなってる中でですね、このトーナメントに参加してくれるということは、非常にボクシングを分かりやすく、誰が一番強いかってことを証明してくれると思いますので、尚ちゃんにそこはまずやってもらおうかなと(笑)」
「頑張ります(笑)」

-本当におめでとうございました(三宅)
「ありがとうございました」

CM

-さぁ、ここでですね、長谷川穂積さん、そして山中慎介さんがいらっしゃいました。元バンタムのチャンピオンの先輩!(三宅)
長谷川穂積&山中慎介「おめでとうございまーす!」
「ありがとうございます!」
山中「どこまで行くんですか?」
長谷川「強かったー」
「トーナメント優勝しちゃいます!」

-はい、本当におめでとうございました!(三宅)

試合後談話

「身体のしなりが良くない、動きが硬いなとやっているときは思っていた。身体が温まっていないし、緊張している中で攻めに行ってしまった。相手の左は見切れたけど、右はまったく出して来なかったので、警戒はしていた。チャンピオンは映像で感じたほどスピードはなかった。この試合への高い注目度を感じた中で、圧倒的な内容で勝てたことには満足している。最終的に6kgも体重差のある試合になるとは思わなかったけど、相手にとってデメリットしかないと思っていた。WBSSには他団体の王者も出てくるが、相手どうこうより自分だと思っている」

一夜明け会見

「今回はいつも以上にプレッシャーや緊張がありました。出だしの体も硬いと感じていたので、自分でも1ラウンドで終わるとは思わなかったですね。最高の瞬間でした。それだけの緊張感、重圧がありました。試合前日から振り回されたり、いつもとは違う思いもあったりしました。見切る判断力は間違ってなかったのかな。(自己採点)80点はあげすぎ?目指すところは優勝。優勝すれば階級最強を証明できる。それで日本のボクシング界が盛り上がれば出て良かったと思える。階級を上げてライバルが増えた。対戦が実現するので自分も気を引き締めないといけない。統一戦ならば誰とやっても構わないです」

敗者:ジェイミー・マクドネル選手

「最高の状態に作り上げることが出来たが、イノウエは本当に強かった。パウンドフォーパウンドである実力がわかりました。前回の試合でバンタム級は最後としていたが、イノウエと対戦するビッグチャンスが巡って来たので、この階級に戻ってきた。イノウエはグレート。パンチもあって素晴らしいファイターだ。地球上で1番強いバンタム級の選手と戦えた。1番効いたのは左フック。今夜は私の夜ではなかった。次は階級を上げて身体を作ってチャレンジしたい。一番効いたパンチは左のフック。イノウエは私を倒してチャンスを得てトーナメントに参戦するのだから、勝てるチャンスは充分あると思う。私も勝ってチャンスを得たかったが、イノウエはグレートだった」

関係者のコメント

大橋秀行氏(大橋ジム会長)
「米国と英国で生中継された試合で衝撃を与えた。これ以上ない結果となった。1回(で勝利)もあるなと思っていたので、今日の結果に驚きはない」

井上真吾氏(トレーナー/実父)
「もう少し試合をやりたかった。相手は不気味だったので、最初は様子を見ていこうとは話していた。いきなり攻めだしたが、集中できていた」

エディー・ハーン氏(プロモーター)
「井上選手に欠点は全くなく、本当に強い選手でした。大変優れたチャンピオンだと思います」

村田諒太選手 WBA世界ミドル級王者/帝拳
「本当に強さだけが目立つ結果になりましたね。事前にある程度、予想された通りの結果にできるのは力があるから。序盤KO勝ちはあり得ると思った。尚弥のパンチを見切る早さが目につきました。相手の動きが遅いのとジャブを見切ったら、もうこれでいけると仕掛けた。ボクシングセンス、嗅覚があらためてすごいなと思った 」

八重樫東選手 元世界3階級制覇王者(大橋)
「いやぁ一言で言えば”これが井上尚弥だ!”に尽きますね。ライトフライ、スーパーフライ級で減量がきつい時には普段通りの力をなかなか発揮できなかったので、階級を上げたことで本当の実力を出すことができていたと思います。メンタル面では多少緊張していましたが、それを上回るパフォーマンスを出せるのも”井上尚弥”ですね」

井上拓真選手 WBC世界バンタム級9位(大橋)/実弟
「衝撃の一言です。ナルバエス戦以来の衝撃です。当日、相手の体も戻っていて大きかったので最初はどうなのかなと心配だったのですが、1分ぐらいで動きを見切ってプレスをかけたのを見てイケるなと思った。興奮しましたね」

浜田剛史氏 帝拳プロモーション代表/元WBC世界スーパーライト級王者
「力の差。最初の左フックで終わっていた。バンタムに上げて、キレ、スピードが増し、パンチも乗っていた。」

「井上が力の差で王者を手玉に取った。一般的に身長の高い選手と戦うとき、まず考えるのは距離をどう縮めるかということ。中に入り自分の距離にしようとすることで、一つ動作が増える。従って入ろうとしたときを狙われてしまうと、相手にリズムを奪われ苦戦を強いられるが、井上には全く関係なかった。
踏み込みのスピード、パンチの速さで難なく距離をクリア。それ以前に圧力をかけるだけでマクドネルはおじけづいてしまい勝負にならなかった。左ボディーでダウンを奪った後の連打は見事な攻撃だった。階級を上げた場合、パワーはつくプラス面と、その分スピードが落ちるというマイナス面がある。しかし、パンチにウエートが乗り、切れ味もスピードも、これまで以上にアップしている井上にとって、この階級は適正体重なのだろう。3階級制覇王者として目指す「WBSS」でも十分に優勝できる力があると思う。(浜田剛史の目より)」

山中慎介氏 元WBC世界バンタム級王者
「強過ぎです。もう少し距離を取って様子を見るのかと思ったら一瞬でいきましたね。最初のフックで勝負があったかな。倒した後のラッシュも普通は力む場面であっさりと倒した。当てられる技術もあるし、パワーもある。あのパンチがどの階級まで通用するのか興味がありますよ。僕が現役で戦ったら、あの勢いとパワーを止めるのは難しいでしょうね。バンタム級で強いチャンピオンが生まれて素直に嬉しいです」

長谷川穂積氏 元世界3階級制覇王者
「見たまま。圧巻の勝ち方。今の階級が一番パンチが乗るし、フィットしているんじゃないかな。トーナメントにまず優勝して、王座防衛の回数を目指すもよし、もう1階級上でもできると思う。全部凄いけど、一番はパンチをもらわないこと。ダメージが少なく次の試合に行けるから何試合でもやっていける」

「力強さもキレもあった井上尚選手は圧巻の勝利だった。普通は階級を上げるとパンチ力が通用しなくなったり防御で耐えられなくなったりするものだが、彼は階級を上げてその強さが増している。バンタム級が最も力を出せる階級なのだろう。
ボクサーの適性階級とは、ナチュラルウエートから減量しても最もパンチ力が乗る体重だ。軽い階級なら当然相手も軽いが、自分の力を最大限発揮できるのはやはり適性階級。それが今の彼にとってはバンタムだ。まだ若くて体が大きくなっている途中なので何年かすれば減量がきつくなる時が来るだろう。でも、しばらくはこの階級で本当に強い井上尚弥が見られる。そう思うと楽しみだ。
3階級制覇はもちろんすごいことなのだが、バンタム級も日本では特別な階級だ。ファイティング原田さん、辰吉丈一郎さん、僕や山中慎介君らがベルトを巻いてきたが、この先何年かで「バンタム級と言えば井上尚弥」と呼ばれるような王者になってほしい。
長期防衛も期待できる。彼はこれまでほとんどパンチをもらったことがなく、ダメージが蓄積していない。つまり、反応速度も長持ちし、強さをたもてる。これも大きな武器だろう。(長谷川穂積の拳心論より)」

川島郭志氏 元WBC世界スーパーフライ級王者

「スタイルは違うが、勢いのある時期のタイソンを思い出した。井上はバンタム級では体が小さい。タイソンも同じだったが、パワーで当たれば倒した。井上も自信満々で、勢いとパワーが違った。
最初の左ボディーで相手は腰が引け、びびっていた。終わるのが早いか、遅いかだけ。ダウンは左フックが効いた。もう足にきていて、あとの右ストレート、左ボディーはかすった程度。ラッシュの間もいいカウンターをもらったが、向こうの体がもう死んでいて効かず。かまわず打ち込んで決めた。
当日は5.8キロ差あったが、階級を上げて一層強さが際立った。スーパーバンタム級でも通じるだろうが、ここが適性階級と言える。パワーという武器があれば、相手はまず怖がる。トーナメントもパワーで勝ち抜ける。具志堅さんを超えるV14まで勝ち続けてほしい。(日刊スポーツより)」

セレス小林氏 元WBA世界スーパーフライ級王者

「3階級制覇した井上の強さは1ラウンドから何らちゅうちょなく、思い切りいけるところだ。当日の体重差でマクドネルが井上より約6キロ重く、身長差でも10センチ、リーチでは約12センチとサイズ的にも不利だった。そういう大きな相手には初回は様子を見るが、ためらわずいった。最初に打ち込んだ左ボディーで勝負はあった。続く左フックで相手のこめかみに当てて上体を崩すとプレスをかけ、左ボディーでダウンを奪取。一発ももらうことなく、まさに王者を撃破した。
攻守のバランスがある上にパンチ力があり、さらに思い切りの良さと踏み込みの速さがある。階級を上げてもできるのは下半身、つまり土台がしっかりしているからだ。それらすべてを初回から出せるハートの強さも天性のものとしか言いようがない。
WBSSではWBO王者のゾラニ・テテ(南ア)との対戦が注目だろう。17年11月に23年ぶりにボクシング史上最短の11秒でKO記録を更新したサウスポーの王者だ。長い距離から打ってくるのが特徴で、井上はそういう選手とは対戦したことがない。ぜひ世界をビビらせてほしい。(スポーツ報知より)」

木村悠氏 元WBC世界ライトフライ級王者
「最初に見た時に体格差があったのでどうなるかなと思ったが、そんなことを感じさせないくらいパワーで圧倒していた。バンタム級、いやそれより上の階級でも通じるようなパワーを感じました」

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KJインプレッション(2018.3.28)

失うものがないマクドネル陣営

29勝(13KO)2敗1分1無効試合という戦績を誇る31歳の英国人、ジェイミー・マクドネル選手。ほとんどのキャリアを母国で積み上げてきたが、2015年には亀田和毅選手との2連戦でアメリカのリングにも登場した。際どい判定ながら2連勝を飾った亀田戦はどちらも地上波CBSで生放送されたため、ボクシングの本場でも知名度は少なからずあり、米メディアの間でも一定の評価はされている。パワー、スキルに特筆すべきものはなく、ボクシング熱の盛り上がるイギリスにおいて“スター”と呼べる選手ではないが、WBA王座6度防衛という実績は軽視できない。

しかし、マクドネル陣営はタイトルに固執する理由が無いという。井上尚弥選手との防衛戦を最後に、階級をスーパーバンタム級に転向する方針なのだ。勝てば「”The Monster”に勝った男」という絶好のブランドを手にできるし、負けても「相手が”The Monster”ならば仕方がない」と評されるのは間違いない。何れにしても「”The Monster”と戦った男」という手土産は得られるため、「出稼ぎ」を受け入れたのだと見られている。

体格差を攻略できるか

そんなマクドネル選手について特筆すべきは、身長178cm/リーチ183cmというバンタム級としては並外れたその体格である。身長13cm/リーチ14cmも上回る1階級上のチャンピオンに、井上尚弥選手がバンタム級初戦で挑む。これは、かなり強気なマッチメイクだと感じる。

しかし、大橋ボクシングジムは挑戦を恐れない遺伝子を持っている。かつて大橋会長自身もリカルド・ロペス選手と対戦した経験を持つように、八重樫東選手vsローマン・ゴンサレス選手、井上尚弥選手vsオマール・ナルバエス選手など驚くようなマッチメイクを実現し、それらは素晴らしい試合となっている。そう考えれば、このマッチメイクも大橋会長の方程式の中では、むしろ容易な部類に属するのかもしれない。

体格で劣る井上尚弥選手だが、減量苦から逃れて強打とスピードに更なる磨きがかかることを見越せば、鋭いステップインからの左ボディーフックがフィニッシュブローになり得ることは容易に想像できる。マクドネル選手がこれを嫌っても、井上尚弥選手のプレッシャーとスピードからは逃げ切れない。苦し紛れにボディーへの被弾を嫌えば頭が下がり、伝家の宝刀・右ストレートの格好の餌食となる。井上尚弥選手の優位は決して揺るがないだろう。

井上尚弥選手としては、バンタム級転向初戦で王者をダンスパートナーにして様々な戦い方を試したいところだ。しかし、それは叶わないまま早いラウンドで決着するかもしれない。

バンタム級最強を目指して

このマッチメイクの裏には、WBA世界バンタム級スーパー王者ライアン・バーネット選手の存在があると見られている。バーネット選手とマクドネル選手のプロモーターは、共に「やり手」と評されるエディ・ハーン氏である。マクドネル選手を東京で戦わせるのと引き換えに、井上尚弥選手が勝った場合の何らかの優先交渉権を得ていると考えられる。つまり、次戦はバーネット選手とのWBA王座統一戦となる公算が高い。おそらく英国での興行となる筈だ。エディ・ハーン氏はここで一儲けすることを目論んでいるに違いない。

現在の各団体世界バンタム級王者を見渡すとWBAの上記2人の序列が最も低いと考えられており、井上陣営としても堅実なステップアップを見込めるし、完全なアウェーを体験することもできる。今後を見据えた上での最善の道を歩んでいくことになるだろう。

WBAを制した後は、WBO王者「11秒KO男」ゾラニ・テテ選手(30=南アフリカ)やIBF3位「無冠の帝王」マヌエル・ロドリゲス選手(25=プエルトリコ)、前WBC王者で山中慎介選手との因縁の相手ルイス・ネリ選手(23=メキシコ)とのメガファイトに挑むことになるだろう。これらのカードは米・ラスベガスでも熱烈に歓迎される筈だ。

井上尚弥選手は13回連続防衛を目指すと宣言したが、それはこれまでの日本人王者のように日本国内で世界ランカーと戦うのではなく、世界中のリングで強豪と対峙する極めて刺激的なものになるかもしれない。これらが全て実現した時、史上初の米・リング誌パウンド・フォー・パウンド(PFP)1位の日本人王者が誕生するかもしれない。

井上尚弥選手が参戦したバンタム級戦線は、実に楽しみである。

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KJインプレッション(2018.5.22)

World Boxing Super Series(WBSS)

5月9日、英・ロンドンで記者会見が開かれ、賞金総額5000万ドル(約55億円)、優勝賞金1000万ドル(約11億円)の賞金トーナメント「ワールドボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)」のバンタム級トーナメントの開催が発表された。

トーナメントの出場者は8人を予定しており、バンタム級のWBAスーパー王者ライアン・バーネット選手(イギリス)、WBO王者ゾラニ・テテ選手(南アフリカ)、IBF王者エマヌエル・ロドリゲス選手(プエルトリコ)の出場が正式にアナウンスされている。5月25日に開催されるWBA世界バンタム級タイトルマッチ ジェイミー・マクドネル選手(イギリス)と井上尚弥選手(大橋)の勝者が出場すれば、4王者が出場する文字通りのバンタム級最強決定トーナメントになる。井上尚弥選手の元には既にオファーが届いているという。ちなみにWBCはルイス・ネリ(メキシコ)の王座はく奪により現在は王者不在だ。

あまりの強さにスーパーフライ級で統一戦が実現できなかった井上尚弥選手にとって、またと無いチャンスである。必ずやマクドネル選手に勝利し、WBSS参戦というシナリオを実現してほしい。

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