JR福井駅の構内にある『今庄そば（豊岡商店）』さんを紹介します！

「越前おろしそば」が有名でそば屋さんの多い福井県ですが、『今庄そば』さんは”別物”として大人気です！

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今庄そば（豊岡商店）

JR福井駅構内やホーム、JR武生駅構内に店を構える立ち食い駅そば『今庄そば』さん。株式会社豊岡商店さんが経営されるお店です。大阪高島屋には座っていただく普通のおそば屋さんも出店されています。

福井のそばの歴史は、1601年（慶長6年）に福井藩の家老だった本多富正が伏見から越前府中城主に国替えした際、金子権左ヱ門というそば師を連れてきて、領地でそばの栽培を奨励したことに始まるとされ、実に400年余りの歴史を重ねています。

そして、旧北陸街道の宿場町として栄えた今庄は、日野川と田倉川に囲まれた谷、寒暖差が大きく霧に覆われることの多い気象条件、豪雪地帯といった風土が育む、小粒で身が締まった香り高くて上質なそばの実の産地となりました。

そんな今庄のそばを有名にしたきっかけは、1896年（明治29年）7月15日の日本国有鉄道（国鉄）北陸線敦賀駅-福井駅間開業です。

当時、今庄駅-敦賀駅間は12本のトンネルに加えて、木ノ芽峠の急勾配を上るため4ヶ所のスイッチバックが連続する難所で、どの列車も今庄駅で補助の蒸気機関車を付け替えする必要がありました。

機関車の付け替えには時間がかかるため、数分間の停車時間に旅客の空腹を満たそうと構内にできた駅弁屋と立ち食いそば屋が人気を博しました。

前者は開通と同時に今庄駅ホームで売り子3人による弁当とお茶の立ち売りを開始し、1919年（大正8年）には駅弁屋を構えた高野商店。そして後者が1930年（昭和5年）に創業した豊岡商店の立ち食いそば屋『今庄そば』さんです。

列車が到着すると旅客がこぞって押し寄せてきては、発車間際まで大盛況だったそうです。そんな旅客の往来が今庄そばの名を広めていきました。

しかし、1962年（昭和37年）に北陸トンネルが開通に伴い、今庄駅-敦賀駅間に複線交流電化新線が開業。今庄駅は特急や急行などの優等列車通過駅となり、従業員は1/3に減らされ、収入も半減。

旅客が減ったことで高野商店は大聖寺駅（現在は加賀温泉駅）へ、豊岡商店の『今庄そば』は福井駅へそれぞれ移転しました。

創業以来80余年、そして「福井駅の駅そば」として50余年もの間、『今庄そば』さんは福井県民や旅客に親しまれています。

メニュー

看板に限定とあるのは、その日に仕入れた食材に限りがあるという意味です。

そして一つ注意があります。福井名物「越前そば」とは別物とお考えください！

KJオーダー：えび天そば

えび天そば ￥500

いつもはかけそばですが、奮発しました(笑)

麺は太めの茹で麺で、茹で加減はやや柔らかめです。コシは弱いですが喉越しは良いです。はっきり言えば、そばの風味はあまり感じられません。現在は今庄のそばを使用していないのかもしれません。採算の都合でしょうか。

関西風の薄口醤油と海藻系の出汁つゆは色味こそ澄んでいますが、決して薄味ではなく、甘辛い味わいです。

そしてネギのシャキシャキした食感や鰹節の風味はとても良いです。えび天は駅そばクオリティです(笑)とは言え、ガリガリな衣ながらえびはしっかり入っていました。

ここまでレビューした時点では何とも微妙な感じが漂いますが、この麺と出汁と具材の三位一体の調和がどうにも癖になる、素朴で不思議な美味しさなのです。

ちなみにKJは学生時代に旧駅舎だった福井駅の周辺で学校の仲間達とストリートミュージシャンをやっていました。そして、特に冬場になると寒さ・空腹・懐具合の面で『今庄そば』さんのかけそばに何度も助けていただきました。大切な青春の味です。自分が知るだけでも、20年はこの味を守り続けておられます。凄いことです。

そんな『今庄そば』さんですが、現在は「今庄」と微妙な距離感にある様子が伺えます。どんな大人の事情があるのかはわかりませんが、今庄のそばを広めた豊岡商店さんの功績も、地元の方々が守り続ける今庄のそば文化も、福井県民としてはどちらも偉大に感じます。

いつの日かWIN WINの関係性を築いてくれると嬉しいなと思います。

お店情報