新生トロ・ロッソ・ホンダ始動!2018年レースドライバー正式発表!気になる日本人ドライバーの動向は!?

Pierre and Brendon to stay for… 2018!

プレスリリース

ピエールとブレンドン、残留!

スクーデリア・トロ・ロッソは、2018年F1シーズンのドライバー・ラインアップが、ピエール・ガスリーとブレンドン・ハートレイで構成されることを発表する。

それぞれ今年マレーシアとテキサスでF1デビューを果たしたふたりは、来年もチームメイトとして仕事を続けることになる。

来週のアブダビGPは、ピエールにとっては5回目、ブレンドンにとっては4回目のグランプリ週末となるが、2018年をスタートするための重要な経験を積み、F1をよりよく理解すると同時にチームになじむことができるだろう。

フランツ・トスト チーム代表
「ピエールとブレンドンが2018年の我々のドライバーとなることを、レッドブルが早い段階で決定したことをうれしく思う。今シーズン終盤、彼らはF1で走る準備が整っていることを証明した。すばやくマシンに適応し、優れたパフォーマンスを発揮、このチャレンジに立ち向かう用意ができているということを示してきた。彼らの学習の進行具合には非常に感心している。誰もがF1にこれほど早く適応できるわけではない。彼らを1年を通して走らせることを楽しみにしている。来年、我々は優れたパッケージを彼らに提供したいと思っている。そういったパッケージでドライバーが一貫したパフォーマンスを示せば、彼らは好結果を目指せる環境で走ることができるはずだ。彼らはチームとともに、強力な結果を出すため、来年もプッシュし、戦い続けるだろう」

ピエール・ガスリー選手
「2018年にスクーデリア・トロ・ロッソでレースができることになり、ものすごくうれしい。来年は初めてF1でフルシーズンを走ることになる。僕がここにくるまでサポートをしてくれたすべての人たちに感謝したい。レッドブル、トロ・ロッソ、家族、そして下位カテゴリーで僕を支えてくれた人たちだ。すごく興奮しているし、アブダビと来年1年を通して全力を尽くそうと、やる気に満ちている」

ブレンドン・ハートレー選手
「来年トロ・ロッソのF1ドライバーを務めることが決まって、最高の気分だ。突然訪れたチャンスを2018年のF1シートにつなげることができ、喜びを感じる。これ以上ないほどハッピーだよ!僕を信じて二度目のチャンスを与えてくれたレッドブルとトロ・ロッソに感謝したい。夢はかなうんだね。この忙しいシーズン終盤をいい形で終えることを目指して、これまで以上に懸命に仕事にあたるつもりだ。そして新しい年には最初から強さを発揮したい。チャレンジは望むところだよ!」

2018レギュラードライバー

#10 ピエール・ガスリー(21)

フランス出身の21歳、ピエール・ガスリーはレッドブルのジュニアドライバーであり、2016年のGP2でタイトルを獲得、2017年にはスーパーフォーミュラにフル参戦し、僅か0.5ポイント差でランキング2位となった。

今季F1第15戦マレーシアGPではダニール・クビアトに代わる形でトロ・ロッソからF1デビュー。それ以降、スーパーフォーミュラ最終戦と重なったアメリカGPを除いて、トロ・ロッソで走り続けた。

#28 ブレンドン・ハートレー(28)

ニュージーランド出身の28歳、ブレンドン・ハートレーは、かつてはレッドブルジュニアチームのドライバーであり、レッドブルのリザーブドライバーも務めたが、2010年途中でレッドブルジュニアチームを解雇された。

メルセデスからF1テストに参加した後、活動の場をスポーツカーレースに移す。2014年にWECのポルシェワークスドライバーに起用され、2015年と2017年にはドライバーおよびマニュファクチャラータイトルを獲得、2017年ル・マン24時間レースでも勝利している。

F1の世界を離れてもレッドブル首脳陣にコンタクトし続けていたといわれるハートレーは、ガスリーが出場できないF1アメリカGPでトロ・ロッソに抜擢され、驚きのF1デビューを飾った。それ以降、WECとF1の両方に参戦し、忙しいシーズン終盤を送っていた。

ちなみにこのイケメンドライバーは見た目通りナルシストの傾向があると言われ「彼女よりも風呂場にいる時間が長い」「身支度に30分以上かかる」など逸話に事欠かない。

レッドブルのしたたかな戦略

レギュラードライバーに起用されたブレンドン・ハートレーだが、彼は2017年のWEC及びル・マン王者でもあり、今季同様にポルシェとの契約を維持する。具体的な活動は今のところコース外でのPRや記念式典などに限定されるとされているが、ポルシェ側はGTプログラムへの参加も示唆している。

レッドブルジュニアチームの人材不足という事情もあるが、かつてレッドブルジュニアチームを解雇された経験を持つポルシェのワークスドライバーを起用した裏には、2021年以降のエンジン選択に関する動きがあると見て間違いないだろう。

2019年に向けてトロ・ロッソにホンダのパワーユニットを「味見」させつつ、世界選手権のレースシートを喪失させてしまったハートレーに「救いの手を差し伸べる」ことでポルシェに恩を売っておく。そして、市販車ではアストンマーチンとの協業も進め、メインスポンサーにも迎えている。レッドブルの非常にしたたかな「三股」戦略である。

HFDPドライバーの動向

トロ・ロッソ・ホンダのF1シートを勝ち獲るのは誰だ!?2018シーズン日本人F1ドライバー候補、激戦の行方!!

松下信治(24)

2017:FIA F2(6位/28人)→2018:Super Formula◎

ヨーロッパでの武者修行を終えて日本に帰国。ダンデライアンから国内最高峰Super Formulaに参戦することが内定。Super GTとダブルエントリーの可能性がある。松下選手自身は国内選手権でスーパーライセンスポイントを満たして F1昇格をアピールする覚悟だが、ホンダとしては今のところ松下選手をF1に送り込む意思は無いようだ。

福住仁嶺(20)

2017:GP3(3位/22人)→2018:FIA F2◎/Super Formula◯

レッドブルレーシングのチーム代表、クリスチャン・ホーナーが共同オーナーのアーデン・インターナショナルからFIA F2に参戦することが内定。不振にあえぐかつての名門チームだが、レッドブルとホンダの肝煎りでエンジニアリング面を強化し、戦闘力アップに繋げる方針だ。スーパーライセンスポイントを稼ぐために国内最高峰Super Formulaにも無限からダブルエントリーすることが濃厚となっている。但し、スケジュールの重複があるためSuper Formulaはスポット参戦が濃厚。

尚、福住選手は「レッドブル・アスリート」としてレッドブルの支援を受けるドライバーとなった。Formula1へのステップアップ最有力候補と言っていいだろう。

牧野任祐(20)

2017:FIA F3 EURO(15位/19人)→2018:FIA F2◯

福住選手に先駆けて2017年のチャンピオンチーム、ロシアンタイムからFIA F2に参戦の内定を決めたものの、その後ロシアンタイムの財政状況が極めて厳しく、来季はチーム売却や参戦休止の噂もあり、予断を許さない状況となっている。山本モータースポーツ部長の秘蔵っ子。

大津弘樹(23)

2017:全日本F3(5位/11人)→2018:Super Formula◯

戸田エンジン勢が劣勢に立たされている全日本F3選手権において、今季唯一にして自身初の優勝を飾った。HFDPは来季、福住選手と牧野選手のみを欧州で走らせることを決めており、国内最高峰Super Formulaへのステップアップが予想される。

阪口晴南(18)

2017:全日本F3(6位/11人)→2018:全日本F3◯

カートでの輝かしい成績とその印象深い名前から、HFDPにおいて最も大きな期待を浴びている阪口選手。エンジン性能で劣る環境下で我慢のレースが続いている。本来であれば思い切って欧州武者修行に出るべきだが、来季のHFDPはヨーロッパで開催されるF3クラスにドライバーを送り出す予定はないようだ。まずは国内で印象的な走りを披露したい。

大湯都史樹(19)

2017:FIA F4(4位/20人)→2018:全日本F3◯

SRS- Fを首席で卒業したものの、FIA  F4では笹原選手の後塵を拝してしまった大津選手。来季はF3で阪口選手や笠原選手を上回る走りを見せられるか。HFDPの中では最も端正な顔立ちを持ち、ここに実力が備われば一気に人気ドライバーになれるだろう。

笹原右京(21)

2017:FIA F4(2位/20人)→2018:全日本F3◯

FIA F4最終ラウンドでマシントラブルに見舞われて思うようにパフォーマンスを発揮できず、惜しくも逆転でタイトルを逃した。しかし、シーズンを通して強力な走りを披露。来季は全日本F3へのステップアップが濃厚である。但し、20歳のHFDPドライバー2人がFIA F2に参戦する中での全日本F3への参戦は、F1を夢見て欧州戦線への復帰を目指す右京選手にとって、苦渋の決断となりそうだ。HFDPの支援は受けつつも、ホンダ系チームから出走しない可能性もある。

名取鉄平(17)

2017:SRS-F/FIA F4→2018:FIA F4◎

今年度唯一のスカラシップを獲得。

もう1人の日本人候補

平川亮(23)

これまでトヨタの支援を受けてきた平川亮選手だが、昨年12月より日本人ドライバーとして初めて「レッドブル・アスリート」となった。今季は史上最年少でSuper GTを制覇する活躍を見せたが、来季はSuper Formulaに復帰する予定。HFDPドライバーがスーパーライセンスポイントの条件を満足できず、平川亮選手が条件を満たした場合には、彼がFormula1へのステップアップを果たすかもしれない。平川選手も「これが最後のチャンス」と自覚しており、トヨタとの契約を終了する覚悟を持って来季に挑む。

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KJファーストインプレッション

いよいよ新生トロ・ロッソ・ホンダのチーム体制が固まり、2018年へ向けて開発が加速する。

シーズン終盤はルノー製パワーユニットの信頼性不足に悩まされ、最終戦で惜しくもランキング6位の座を失ってしまったものの、チーム規模を考えると大健闘と言って差し支えない成績であり、チームのポテンシャルの高さを感じさせる1年だったと言える。

ホンダとのコラボレーションが始まる来季は、チーム史上最重要と言っても過言ではないシーズンとなる。

まず、現時点でルノー製パワーユニットはホンダを上回る出力と信頼性を持つとされているものの、今やその差は僅かである。しかもホンダが今季からメルセデスやフェラーリに近いコンセプトを採用したのに対して、ルノーは独自路線を維持している。伸び代が保証されているホンダのコンセプトに対し、ルノーのコンセプトにどれだけ開発の余地があるかはわからない。

しかもトロ・ロッソのエンジニアは、ホンダ製のパワーユニットのコンパクトさに驚いたといい、マクラーレンのエンジニアはルノー製のパワーユニットの大きさに頭を抱えているようだ。噂されるホンダジェットの技術を応用することも含め、ホンダがパワーユニットを順調に開発することができれば、ルノーに対してはアドバンテージを築くことも現実味を帯びてくる。

シャシーもレギュレーションが継続される来季は本家レッドブルを踏襲した空力性能と空力効率の高いマシンとなり、今季ホンダが悩まされ続けたドラッグ(空気抵抗)の影響による最高速の伸び悩みといった弱点はかなり解消されることが期待される。

トロ・ロッソはセバスチャン・ベッテル選手が初優勝を果たした荒天の2008年のイタリアGPを除いて表彰台に上がった経験が無く、ホンダと共に大きな挑戦に立ち向かうこととなる。しかし、ホンダ製パワーユニットを独占供給される来季、ルノー製パワーユニットの戦闘力次第では、因縁のマクラーレン・ルノーは勿論、本家レッドブルにも挑むことが可能となるかもしれない。大きな好機でもある。

2人のレギュラードライバーに目を向けると、今季終盤まで在籍していたカルロス・サインツJr.選手に比べて見劣りする感は否めない。但し、今季終盤はトロ・ロッソ自体がルノー製パワーユニットの信頼性不足によるグリッドペナルティの嵐に見舞われており、両者共に真価を発揮することが難しかったのも事実。
フルシーズン参戦初年度となる来季は、しっかりオフシーズンテストから習熟して挑むことが可能であり、期待が持てる。

HFDPについては、その運営方法に少々疑問を感じる。
まず、全日本F3とSuper Formulaにおけるホンダ勢の劣勢である。以前とは異なり、スーパーライセンスポイントを稼がないとF1にステップアップすることが出来ない状況でありながら、戦闘力に乏しい体制で国内選手権を何年も戦わせるというのは如何なものか。育成の本気度が感じられない。

勿論、レギュラー・リザーブを問わず同時にF1へステップアップできるドライバーは、最大でも2人が限界だろう。トロ・ロッソ以外に供給先の無い現状では、欧州で戦うドライバーが福住選手と牧野選手の2人というのは、現実的な選択かもしれない。

けれども、この2人が充分に速く強いドライバーに成長できるかどうかは、海外生活への順応やカテゴリーへの適応も含めて「やってみなければわからない」面も多い。ましてや国内で好成績を望むことは酷な状況であり、「数撃てば当たる」ではないが、更に1〜2名を海外に送り出すべきではないのだろうか?個人的には阪口選手と笹原選手には、少しでも早く欧州のF3クラスへステップアップして欲しいと願っている。かつて小林可夢偉選手と中嶋一貴選手の差も、欧州での経験の差だったように思うのだ。

いずれにしても、早ければ2019年シーズンにはHFDPからF1に挑むドライバーが出てきて欲しい。日本でのF1をはじめとするモータースポーツ全般の人気向上には、タイトル争いの可能性を感じさせてくれるような日本人F1ドライバーの存在が必要不可欠である。

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