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DAZN(ダゾーン)独占生中継!村田諒太選手 vs ロブ・ブラント選手
Ryota Murata vs Rob Brant
- 2018年10月20日 土曜日(現地)
- WBA世界ミドル級王座決定戦
- 王者:村田諒太(帝拳)vs同級2位:ロブ・ブラント(米国)
- 米ラスベガス・パークシアター
試合会場のパークシアターは今年4月にオープンしたばかりで、収容人数は5500人。
生中継:DAZN(ダゾーン)
DAZN(ダゾーン)独占生中継
DAZNの生中継は日本国内のみ。アメリカではケーブルテレビ局のESPNが「ESPN+」で動画配信する。
配信日時
2018年10月21日(日)11:00~
実況
鈴木健(日本テレビ)
解説
山中慎介(元WBC世界バンタム級王者)
西岡利晃(元WBC世界スーパーバンタム級王者)
特別ゲスト
香川照之(俳優・歌舞伎役者)
DAZN(ダゾーン)
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記者会見(2018.8.30@ホテルグランドパレス)
コメント
村田諒太選手
「皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます。マイクを見て、DAZN様のマイクになかなか慣れないなと。勿論、初めてのことですので。ただ、こうやってDAZN様が一緒に今回試合をさせていただくということは、非常にDAZNさんにとってもですし、私にとってもチャレンジングな試合になると思っています。それは対戦相手もあってのことですけど、既存のメディアに対してスポーツが持つ力、スポーツがどれだけの価値があるかというのを改めて確認するための非常にチャレンジングな、お互いにとってチャレンジングな機会だという風に考えています。その大役をこうやっていただいたわけですので、必ず良い試合をして、ノックアウトして、スポーツの本拠地という、面白くなかったら本拠地に誰もしないですから。そういう面白い試合を提供したいと思っております。また、もうすぐスパーリングパートナーも来て、練習もより一層頑張っていこうと思いますので、皆さん是非この試合を注目してください。宜しくお願いします」
田中繊大氏(帝拳ジムトレーナー)
「今回の挑戦者はスピードがあり、手数も良く出る選手ですけど、本田会長や村田とよく話し合って確実に良い勝ち方をできるように頑張りたいと思います」
浜田剛史氏(帝拳プロモーション代表)
「今回、対戦相手のことで色々ありましたけども、ブラント選手に決定いたしました。皆さんのご承知の通り、ミドル級というのは『ただ勝てば良い』というクラスでもないものですから、今回アメリカでやるにあたって村田が本当に強いのかどうか、アメリカで見せなければいけない。そういうことで対戦相手も上手くなければいけない、強くなければいけないということで、今回の相手になりました。村田がアメリカのファンの前で『本当に村田の試合が見たい』という風な試合をできるかどうか、今回”大きな試合”の前に、今度の試合の”次の試合”に向けて『村田はこういう選手だ』という風にアメリカで見せてこようかという風に思っております」
安河内剛氏(日本ボクシングコミッション本部事務局長)
「村田選手の2度目の防衛戦が決まりましたことをお喜び申し上げます。世界的に非常に注目度の高い、人気の高い階級ですので、決定に至るまで非常なご苦労があったという風にも聞いております。改めて関係各位のご協力に感謝申し上げます。このあいだの大竹選手、非常に残念でしたけども、その前の木村選手、伊藤選手と日本人の海外での活躍というのも非常に顕著になってきております。そのベースを作った選手が村田選手だと思っております。その村田選手、海外でベストのパフォーマンスをしてくれることと期待しておりますし、確信しております」
中村俊氏(DAZN日本社長)
「この度はWBA世界ミドル級チャンピオン村田諒太選手の世界タイトルマッチをDAZNで独占ライブ中継させていただけることが決まり、大変光栄に思っております。さる8月23日に、DAZNはおかげさまでサービスを立ち上げてから1周年を迎えました。本年度より『スポーツの新しい本拠地』というスローガンのもと、より多くのスポーツファンの皆様に多様なコンテンツをお届けすべく、日々取り組んでおります。ボクシングコンテンツにおいては、これまで様々な世界戦、海外の試合を放映しております。村田選手には昨年10月にDAZNのアンバサダーにご就任いだだき、世界戦、防衛戦を我々も影ながら応援させていただきました。今年4月の初防衛戦はDAZNで見逃し配信として放映させていただきましたが、いつかチャンピオンの試合をライブで放映させていただきたいと一同思っておりました。そして今回、村田選手のラスベガスでの防衛戦、ご自身2度目の防衛戦という貴重な試合をDAZNで生中継できることになりました。日本人選手の試合を日本のDAZNでライブ中継することは、この試合が初めてになります。これはDAZNとしても、『スポーツの新しい本拠地』に一層近付ける一歩かと思っており、これを機に『ボクシングの新しい本拠地』ともなれるよう、また放映パートナーの枠を超え、WBA世界ミドル級チャンピオン村田選手及び日本のボクシング界に貢献できるよう尽力していきたいと思っております」
質疑応答
--対戦相手、ブラント選手の印象は?
村田選手「非常に攻防ともまとまっていて、KO率も高くて良い選手だという風には考えています。そして何よりWBAの指名挑戦者ということで高い評価をWBAからいただいているみたいなので、それをクリアすることで、また次につながると思いますので、そういう試合にしたいなと思っています」
田中トレーナー「今話したようにブラント選手はスピードもあって手数をチョコチョコ出してくる感じなんですよね。それを村田としてはどういう風に対応して自分の得意なパンチを打ち込めるかっていうのを考えて練習していきたいと思います」
--今のトレーニングの状況は?
村田選手「走り込みのキャンプも二度終えまして、今はジムで、まだ実戦的な練習は始まっていないんですが、もう少ししたらスパーリングパートナーも来ますので、それに向けて準備をしているというような段階です」
--自分の中でテーマにしてトレーニングしていることは?
村田選手「短い距離で相手は僕がプレッシャーをかけたらクリンチにくるでしょうし、その時でも相手を休ませないくらいの近い距離でもしっかりしたパンチを打てるということが一つテーマになるかなと。そうすれば相手もクリンチになかなか来れなくなってプレッシャーをもっとかけていけて、結果ノックアウトできると思いますので、その辺りを少しテーマにしたいかなと」
--改めてこの試合に向けての意気込みは?
村田選手「相手が指名挑戦者ですので、それが一番の僕にとってのモチベーションです。これをクリアすれば僕にも何かを言う権利だって誰とやりたいというような権利というのが生まれてくると思いますので、それを良い形でクリアしてその次につなげていければ良いなと思っています」
浜田代表「ブラント選手とアメリカのファンの前で内容はもちろん、そして勝たなければならないということでありますけど。今回の試合というのはその次の大きな試合に向けての試合だという風に思っていただければというように思います。その次の大きな試合、来月ミドル級タイトルマッチがあるんですけど、その勝者に向けての試合だという風に思っていただければというように思っています」
--村田選手がどのように勝つか、全世界にアピールしなければならないという試合?
浜田代表「そうですね。それで、村田とミドル級で一番強いと思われるチャンピオンを見たいというところを今回見せなければならない。そして、その試合に向けての大事な試合になります」
田中トレーナー「あまり先を見過ぎても。まずは最初のブラント選手との試合を村田本人のいつも通りの練習でやってきた通りの力を出して良い勝ち方をしてもらうように願っております」
--田中トレーナーとしては今回のトレーニングをどんな雰囲気を作っていきたいか?
田中トレーナー「本人が言ったように今練習しているのはショート。ロングは良い感じで打てているので、ショートでも力まずに力を抜いた感じで打つというパンチを今練習しています。そこであまり初めてのラスベガスでの防衛戦ということを考えずにいつも通りの力を出してくれれば良いと思っています」
--DAZNでの生中継ということになるが?多くのファンが応援している。
村田選手「本当にそれはすごく感じています。そこのバックボードにもあるこれだけのスポンサーの方が私のことを応援していただいて。またデビューからずっとフジテレビ様が放映してくださっていたことにもすごく感謝しています。今までいただいた応援の力をすべて今度の試合で出して良い形で勝てれば良いなと思っています」
--ラスベガスでの防衛戦、自分の拳で歴史を切り拓いていくことへの思いは?
村田選手「日本人が今、海外で活躍している選手が結構多いので僕もそれに負けずに、そして自分の拳で道を切り拓いていこうという気持ちが強いですね」
--ラスベガスでベルトを巻いて防衛するという姿は小さい頃におそらくミドル級のチャンピオンの姿を見てきたと思います。その場に自分が立つということについての気持ちは?
村田選手「すごく嬉しいですね。中学校の時にずっと見ていたラスベガスの舞台で、僕はトリニダートが好きだったんで、トリニダート対バルガスがミドルじゃなくてスーパーウエルターでしたけど、今回シアターになりましたけどね、マンダレイベイで試合をしている時の姿がすごく鮮明に僕の頭に残っていますので、そういったインパクトのある試合を僕もしたいなという風に思っています」
--先ほど「スポーツの力を見せられれば」ということでしたが村田選手の思うスポーツの力というのはどのようなものか?
村田選手「一つはやはり人々を感動させられる力だと思っています。それは自分がプレイしていることではなくて、僕は先日高校の同級生の応援に行った時に気付いたことで、やはり応援するということは不思議な力を貰えますし、自分のモチベーションにもなりますので、そういう力がまずスポーツにはあると思います。
「あとは、今回DAZNさんとさせていただくことにおいて、DAZNさんはJリーグを多大なる支援をされていると思います。そういったお金の動きがボクシング界にも動くことがあれば、今、4回戦だったり6回戦だったり、そして日本チャンピオンというレベルでもファイトマネーというのがそんなに高くなく生活が苦しい選手って多いので、そういったところも今後充実していくような一歩になれば、この試合がその一歩となればいいなという風には考えています」
--DAZNはボクシングというコンテンツにどのような期待をしているか?
中村社長「やはり我々のスポーツチャンネルは幅広い色々なスポーツを見せていくという中で、やはりボクシングというのは非常に皆さんに感動を与える大きなスポーツだと見ておりまして、これからも積極的にボクシングというのをコンテンツとして取り入れていきたいという風に思っていますし、今DAZNではグローバル展開をしておりますけども、9月にDAZN USAもローンチ致します。そこのメイン、キラーコンテンツとしてはボクシングになっておりますので、これから日本でもボクシングというのを日本の選手も含めて放映していければと考えております」
--DAZNは世界各国でサービスを展開しているが、今回の試合は何カ国で放映されるのか?
中村社長「今回の村田さんのラスベガスでのタイトルマッチというのは、基本的に日本だけになっております」
--DAZNは今後どのようにボクシングのコンテンツを展開していくのか?
中村社長「ボクシングのコンテンツというのは非常にエキサイティングなコンテンツだと思っておりますので、積極的に前向きに色々なボクシングのコンテンツを獲得して皆さんに楽しんでいただきたいという風に思っております」
囲み取材
--自身3度目のラスベガスですが?
「今までラスベガスで試合をさせてもらったが、あの時は一つのイベントに参加させてもらっていた感じで僕が主体じゃなかった。僕の中では今回が『ラスベガスで試合をした』と言えるものになる。夢に近づいてすごくうれしい。先日の伊藤君(伊藤雅雪=WBO世界Sフェザー級王者)が非常に良い勝ち方をしたので、参考になる」
--挑戦者がブラント選手となりましたが?
「ハッピーです。相手もやりたいと言っているし、やらなかったら“逃げた”みたいに取られるのが嫌だった。そうならなくて良かった。リターンも大きいし、非常にポジティブです」
--紆余曲折があったが?
「交渉におけるリスペクト、最低限の礼儀が無かった。それが僕を感情的にさせている。感情に振り回されないようにしっかり冷静にやらないといけない」
--勝ち方が問われると思うが?
「それは強く思っている。ただ勝つだけじゃなくて『またあの選手を見たいね』と思われるようにしっかりアピールしていきたい。前に出て、思い切りぶん殴ってやろうかなと思います」
「キーポイントは僕がプレッシャーをかけて、彼が下がるかどうか。ショートをしっかり打ち、得意なロングからの右ストレートじゃなくてもプレシャーをかけたい。だいたい青写真は描けている」
--DAZNでの中継となるが?
「お金がボクシング界に動くことになれば、今後ファイトマネーが充実していくのではないか。日本王者になったら、ボクシング1本で食べていけたら良いなと思う。日本一になった時くらい、ある程度まとまったお金が入らないと夢がない」
「サッカーとは競技人口が違うから比べたらいけないのかもしれないが、DAZNさんがJリーグを潤わせている。ボクシングというコンテンツが面白いと思ってもらえた時にお金が生まれてきたら、ボクシング界に対する貢献にもなるのではないか。その一歩になりたいと思う」
本田明彦氏(帝拳ジム会長)
「KOしにくい相手だけど、今回はKOを狙わせる。良い内容の勝利を見せて『村田ならゴロフキンと試合になる』という評価を得ないといけない」
山中慎介氏(元WBC世界バンタム級王者)
「雰囲気がどんなになるか楽しみですし、王者として登場するのはすごいこととあらためて思います」
ロブ・ブラント選手(米「ボクシングシーン.com」にて)
「村田諒太との対戦にとてもワクワクしている。ハッサン・エンダムと戦う前からずっとこの戦いが頭の中にあった」
「彼の偉業の全てをリスペクトしつつも、自分は彼を倒すあらゆる術を備えていると常に感じていた。世界チャンピオンになることだけでなく、ラスベガスのメイン通りでヘッドラインを飾るのは自分の人生の目標。これは軽いことではない。自分にとっては天にも地にも代えられないもので、10月20日にそれを示す」
公式記者会見(2018.10.17@米ラスベガス・パークシアター)
コメント
ボブ・アラム氏 プロモーター/米・トップランク社CEO
『日本で大人気のムラタが2度目の防衛戦をラスベガスで行うことに興奮している。ブラントも良い選手だから良い試合になることは間違いない。ムラタのためにこれだけの日本の報道が来てくれていることにも感謝します。明後日の試合を是非ダゾーンとESPNで見ていただきたい』
『ブラントは非常に良いファイターだ。ムラタもオリンピック金メダルを獲得したスターであることは間違いないし、彼も本当に、本当に素晴らしいファイターだ。ブラントとの一戦はタフな一戦となるだろう。また彼はその後にさらなる戦い、例えばゴロフキン戦なども見据えているかもしれない』
『私はムラタの大ファンなんだ。日本にも何度か行って彼のファイトを見ている。彼の直近の一戦はとても良かった。我々は彼のプロ転向後国際的な1戦を実施して、彼と歩みを共にしてきた。彼のファイターとしての成長を嬉しく思うし、人格も素晴らしい。リングの内外で彼は自信を持っている。彼はまさにボクシングに相応しい人物だ』
『ゴロフキンはミドルウェイトでのベストファイターだと思っている。カネロ戦は見ていたけど、ジャッジがひどかった』
会見後
『彼は日本ではとてもポピュラーな存在だ。間違いなくミドル級のスターになれる逸材であるのは間違いない。今週の試合に勝つことが絶対条件だが、来年の春、早い段階でビッグマッチを行う』
『(ゲンナジー・ゴロフキンのプロモーターの)トム・ローフラーと(帝拳会長の)ホンダさんと私で話をすることになる。場所は東京ドームかラスベガス。ただ、春のラスベガスはいろいろとアメリカでのイベントが詰まっているので日本での開催が高い』
村田諒太選手
『この機会を頂いたことにすごく感謝しています。ボブ・アラム・プロモーター、そしてトップランクの皆さん、帝拳プロモーションの皆さん、対戦相手のブラント選手にも感謝します。非常に良いトレーニングが積めていますので、練習したことを出して、その結果が良いものになると信じていますので自信を持ってリングに上がるだけです』
--週末の試合に集中していると思うが、近い将来にサウル・アルバレスやジェナディ・ゴロフキンと対戦すると報じられていますが、その辺りはどういう考えですか?
『この試合に集中して、この試合の結果で全てが変わると思っていますので、先の事は全く考えていないです』
会見後
『こういうイベントがあると、試合がもうすぐだなと。明日、計量もあるし、気分がどんどん高まってくる。緊張は全くしなかった。疲れてもない』
『落ち着いてこの感じで試合に臨めればいいかなとは思っています。試合になったら熱くなっていくだけですから。あんまりいろいろ考えてもしょうがないんで、このナチュラルな感じでいければいいかなと』
--8月末の会見では「交渉におけるリスペクト、最低限の礼儀が(相手側に)なかった。それが僕を感情的にさせている」と話していたが?
『忘れていましたね。あのときは“なんだ、それ”っていうぐらい。練習に入る段階では何とも思っていなかったので。むしろ指名挑戦者と試合ができることに対してうれしく思っていて、そっちの(感情の)ほうが勝っていたんでね。そこのモチベーションのほうが高い。指名挑戦者に勝てばそれなりに僕も言う権利ができるだろうし、チャンピオンの地位が確立されると思うので。そういった意味で楽しみですね』
『試合会場を見ましたが、とても良い会場でした。僕が今までやってきた会場の中でも1番良い雰囲気のある会場の1つでしたね。体重も予定通り落ちています。あとは明日の朝、計ってどれだけ落ちてるか、ですけどね。今晩も普通にぐっすり眠れると思います、なんだかんだ言って待ち通しいです。計量後の食事ですか?僕は前から言っていますが、食うものにそれほどこだわらないです。「あれ食わなきゃ」「これ食わなきゃ」とか言ってたらアカンでしょ。実際、手に入らない時だってあるんですからね。明日もよろしくお願いします』
ロブ・ブラント選手
『2ヶ月間しっかり練習したので準備は万全です。このラスベガスで試合をすること、しかも世界タイトルマッチを戦うことに興奮しているし楽しみです。ムラタはオリンピックのゴールドメダリストで経験豊かなファイター。戦えることを光栄に思うし、土曜は私がベルトを巻けるように全力を尽くします』
前日計量(2018.10.19@米ラスベガス・パークシアター)
- 村田諒太選手:72.2kg
- ロブ・ブラント選手:71.8kg
村田諒太選手
『多くの方にきていただき感謝しています。絶対に倒します」と壇上で力強くKO宣言。計量後の取材でも「倒したいなという気持ちが、(ブラントを)目の前にして強くなってきた感じ。欲が出ているのは事実ですね』
試合結果
WBA世界ミドル級王者村田諒太(32=帝拳)は同級3位ロブ・ブラント(27=米国)に0-3の大差判定負け(110―118、109―119、109―119)を喫し、2度目の防衛に失敗した。
主催者によると、ブラントは1262発のパンチを繰り出して356発を的中させ、村田は774発中180発だった。
試合動画
コメント
勝者:ロブ・ブラント選手
『夢がかなって幸せです。強いチャンピオンに勝てて本当にうれしい気持ちです。トレーナーとハードなトレーニングを積んでここまできました。トレーナーや周りの人達に感謝したいです』
--東京でリマッチという話がありますが?
『ムラタも遠くから来てくれたのだから、決まれば行きます。とりあえず今日は勝てたことに満足しています。ますます練習を積んで強いチャンピオンを目指します』
敗者:村田諒太選手
--今の心境は?
『右も読まれてたし、自分のボクシングの幅も狭くて「あ、負けたな」という感じです』
--何ラウンドぐらいから思うようにいかないと感じましたか?
『(5回の)倒せるチャンスで倒せなかったのがすべてかなと』
--開き直って勝負に行ったんでしょうか?
『そうですね。流れも良くなかった。バランスも良くなかったので、今日はもう完敗ですね』
--採点の差が大きすぎる感もありますが?
『僕ももうちょっとくれてもいいかなと思いましたけど、116-114、116-112だろうが、負けは負けなんで、そこは気にならないですね。そう、つけられてもおかしくない試合内容だった』
--ブラントの予想と違ったところはありますか?
『速かったですね。よく動くし、もっと落ちてくれるかなと思ったら落ちなかったので、よく練習してるんだろうなと思いました』
--左ボディーはよく当たっていたと思いますが?
『ボディーは当たって効いているときもあったと思いますけど、それ以上に相手の方がインテリジェンスという面で上だったかな。右をしっかり見切って、左右に動いて、打ち終わりをジャブ突いてという感じ。コントロールされたな、よく研究されたなという印象です』
--村田選手の右の調子がいつもと違いましたか?
『うーん。相手あってのもので、相手が速くて、当たらなかったのが一番じゃないですか』
--ラスベガスで自身初の世界戦でした。
『やっぱり、自分のボクシングの幅の狭さを感じましたし…ベストは尽くしましたけど、自分の実力が届かなかった。ただ、多くの日本人の方が来てくれていたので、すごくうれしかったですね。入場の時に、あんなに多くの日本人が来てくれたのは嬉しかった』
--判定の後は拍手をしていましたが。
『もう完全に負けたと思っていたんで、負けたなと」
--過程の話だが、ボブ・アラム氏は日本で再戦させたいと話していました。
『再戦を要求するような内容じゃなかったと思いますし、完敗だったので、それはボクの都合で言えることじゃない。そこは言及する必要はないかなと』
--アラム氏はブラント陣営から再戦OKの返事を受けたと話していました。
『ちょっと今はあまり考えられないですね』
--心の中で一番占めている感情はどのようなものですか?
『負けたなと。完全に負けたなと。実力不足だったなと、そういう気持ちですかね』
--相手のパンチはどうでしたか?効いたパンチはありましたか?
『一発で効いたというより、蓄積していったので、11ラウンドとかはふらつきましたし、蓄積の面ではありました』
--距離感はどうですか?
『距離がどうより、右を完全に読まれていたので、うまく戦われたという印象ですね』
--初回から感じました?
『思ったより(ブラントが)速かったというのが正直なところ。もうちょっと遅いかなとか、スタミナ切れるのが早いかなと思ってたんですけど、自分の消耗もあったし、パンチがいくら相手が疲れてても読まれていたら効かないし、自分もワンツーからボディーしか打てない選手だし、自分のボクシングの幅のなさを痛感した試合になりました』
--以前「笑って殴られたら怖いと思う」と話していたが、この日も最初は笑っていたが途中から表情が変わった。何があったんでしょう?
『変わりました?僕自身は気づいていないです』
--これから試してみたいスタイルはありますか?ワンツーからボディー以外で
『これだけ大きな舞台を作ってもらって、負けて、じゃあ次は、という気持ちにはなれないですね』
--調整の過程でうまくいかなかったんでしょうか?
『それはないですね。非常にいいコンディションでできてましたし、練習自体も100%やってきたんで、追い込みもしっかりやってきた。今までで一番いい追い込みができたと思ってますし、その過程においては何の後悔もない。内面と向き合う時間がいっぱいあって、その過程が非常に大事だった。それがいい時間だった』
--エンダムとの初戦での負けと違う意味を持ちますか?
『そうですね。完全に今日は負けたんで、それは全く違う感じですね』
--今後についてはしばらく休んでから考えますか?
『そうですね。そんなすぐに答えが出ることじゃないと思いますし…』
一夜明け会見
村田諒太選手
--一夜明けた心境は?
『そんなに何かを感じていたというのはないですけど、負けたなという率直な気持ち、それぐらいですね』
--体の状態は?
『やっぱりダメージはあります、結構。試合が終わったらしっかり休憩しなさいと言われる理由が分かった。今まで、ここまでタフな試合はなかったなと改めて思いました』
--夜はどのように過ごした?
『チームの人と一緒にいて、ほとんど寝てないですけど。話したりとか、ちょっと横になったりとか、そんな感じです』
--試合の映像は見た?
『いや、まだです』
--その中で試合を反芻したことは?
『自分のボクシングが、脚を使って、ああやってうまく動かれると非常に弱いなと。その動きに対してついていく動きがないなとは感じましたし、自分自身どういうタイプが苦手で、完全に攻略法みたいな形で読まれていたし、そういう意味で、負けたな、という気持ちが強くなりましたね』
--アラム・プロモーターの話では、勝てばゴロフキン戦もあった
『あれば良かったと思うんですけど、ここで負けてしまえばなくなると思っていたので、逆に言うと運命的なところで、勝てばそういうのが待っていたし、負けたらそれがなくなると。そういう運命になかったのかなと。自分の実力がそこに達していないんだなというのを、改めて知るきっかけになりましたね』
--周囲は、防衛戦というより次、という声が多かった。
『僕はそうでもなくて、一歩一歩だと思ってるんで。1つ1つクリアしていかないと次はない、というのが今回でも明らかになって、そういう気持ちでしたね』
--これから自分のボクシングを見直していく考えは?
『それはまだ、答えが出ないですね。ボクシングをどうするこうするっていうのはこれから。これだけのサポートをいただいている人間なので、周りの方々と話しながら決めないといけないと思っているので。だから、それとは直接的につながる話ではないかなと思っています』
--ラスベガスはどんなリングだったか?
『うれしかったですね。高校の仲間だったり、後援会の方々だったり、スポンサーの方々だったり、多くの方が来ていただいて、何かホームでやっているような気持ちでできたので。みんなが凄く楽しそうにあの場にいてくれたことに対して、凄くうれしかったですし、ボクシングをしていて良かったなと思える瞬間でした』
--自身も試合は楽しかったと。
『そうですね。あの舞台に立てたことは凄く楽しかったですし、雰囲気は楽しめました』
--帰って一番やりたいことは?
『やっぱり家族に会いたいですね』
--連絡は?
『軽くですね。試合行ってきますとか、負けちゃった、とか』
--反応は?
『家族で待ってるよ、と』
--体で今までと違う部分が疲れたとかダメージはあるか?
『正直、パンチのダメージというのはありますね。結構な数はもらったので、こういうダメージを体に感じるのは、ボクシング人生で初めてだったので。相当なパンチをもらった、こういう試合を続けていたら壊れるなという気持ちはありますね』
--いつごろまでに自分の今後を決めたいというイメージはあるか?
『それはあまりイメージしていないですね。なかなか、そんなイメージするだけ無駄な話というか、イメージしたらそのとおりに行くことはないと思うんで。納得いく形で今後は、周りの方々と話して決めていきたいなと思います』
--負けるわけはなかったという感触は?
『でも(相手は)速かったですし、自分の苦手なタイプでしたし、相手が僕のボクシングを研究して、うまいボクシングをしましたよね。負ける相手ではなかったというのはないですし、自分の実力不足、まあこんなもんだと。昨日の夜はそういう日だったんだなと』
--後悔みたいなものは?
『いや、でも練習も100%してきましたし、過程において何かこうしていればよかったというのはなかったですから。過程において自分はこれだけやってきたという自信はあるので、後悔するようなことはないです。全てが10年後とか1年後、半年後になって振り返った時に、ああいう経験ができてよかったなと思えれば。嫌な出来事、悔しい出来事も何年か先に振り返った時に、あの出来事があったからこうなんだというのが、僕の人生経験の中にあるわけで。そういう日にできるように、将来的に、ああいう経験があったから今があるんだと思えるように、これからの人生を歩んでいかなきゃいけないなと』
--どうやったら流れを変えようと考えていたか?
『やっぱり相手の方が速くて、自分の方が遅かったので。打ち終わりを狙われていて、僕もワンツーしかなくて、単純なパンチになってしまったたので、読まれてしまっていて。昨日はそれでしか行けなかったですね』
本田明彦氏(帝拳ジム会長)
『12ラウンド、最後まで立っていたのは、かすかなプライドだったね。気持ちはよく頑張っていた。よく立ってた。あれは意地で立っていたんだろう』
『日本のボクサーで間違いなく一番稼いだ。はっきり言って、ボクサーとして素質はない。他の人生でも生きるすごいものをあいつは持っている。ボクシングは本当に一生懸命やってきた。ゴールドメダリストで世界チャンピオンになって、うちも責任を果たした。この敗戦で全部消えるわけではない』
『第2の人生に期待しちゃうね。本人次第。本人の問題だから。まだ決められないでしょ。リマッチの契約が入っているだけ。普通、米国ではあれで辞めるってことはないから。村田の場合は背負うものが大きすぎる。簡単じゃない。ゆっくり話し合う。ただやればいいってもんじゃないし、ゆっくり考えるべき。本人がやるって言えば、ダメとは言えない』
関係者コメント
ボブ・アラム氏 プロモーター/米・トップランク社CEO
『今日の結果には失望しているが、ムラタは勇敢に戦った。今日のブラントはとても良かった。特にスピードがあったし、先手を打ったことが良かったと思う。来年の3月か4月に日本でリマッチをさせたい。ダイレクトでも構わない。間違いなくムラタ陣営も望むだろう。ホンダ会長とも話す機会はある。モハメド・アリもケン・ノートンに敗れてから2度返り咲いている。ムラタはスマートな人間だから、今日と違う戦い方をすればチャンスはある』
エスキバ・ファルカン選手 WBC世界ミドル級6位/ロンドン五輪銀メダル
『今日のムラタは悪すぎた。対応の遅れが致命的だったと思う。今日はブラントの日だった』
エディ・ムスタファ・ムハマド氏 元WBA世界ライトヘビー級王者/ブラントトレーナー
『昨日言ったとおり、マイボーイは練習通り、プラン通りに動けたし、勇敢に戦った。ムラタのワンツーを12ラウンド対応しきったブラントは強いチャンピオンになるよ。リマッチはしたいね!東京でもよろこんで行くよ。楽しみだね』
西岡利晃氏 元WBC世界スーパーバンタム級王者
『ブラントをほめるべき試合だった。よく研究していて、万全の準備をしてきていた。1回に息があがっていたので「これはいける」と思ったが、彼は最高のボクシングをしてきた』
長谷川穂積氏 元世界3階級制覇王者
『ラスベガスでの試合で、しかもメインイベント。村田選手がどんな戦い方を見せてくれるのか、非常に楽しみな一戦だった。
テクニックとスピードに定評があるブラント選手と、パンチ力とスタミナの村田選手の戦い。序盤はブラント選手のテクニックが光った。ジャブを小刻みに出し、足をうまく使ってショートのパンチをまとめる。序盤はこういう状況が想像できたし、中盤から終盤にかけて村田選手がプレッシャーをかけ、得意の右をさく裂させるのだと思っていた。
しかし、予想外だったのが、中盤になってもブラント選手の足も手数も止まらなかったこと。試合2カ月前からラスベガスでキャンプを張ったということは、この試合にかける思いが相当強かったのだと思う。5回に村田選手もいい右を当て、そこから展開が変わっていく気がしたが、6回からまたブラント選手がうまく足を使い始め、手数とテクニックでポイントを稼ぎだした。このブラント選手のスタミナに対する誤算が、後半のポイント献上につながったのではないだろうか。
大ダメージはなくても、細かいパンチをもらうことで小ダメージは少しずつたまっていく。その結果、中ダメージくらいまで蓄積し、いつもの村田選手のように、前に出づらくなったのではないか。また、相手のワン・ツー・スリーのスリーをもらうことであごが跳ね上がり、効いていなくてもポイントが向こうに流れてしまった可能性もある。
しかし、この負けは、ほかの試合なら3試合分の価値がある。もう一度戦うというのなら、この負けがあって本当に強くなったなぁと、皆が思うような村田諒太が見たい。自分の心の火がまだ燃えているなら、ここからはい上がる村田諒太を見てみたい。(長谷川穂積の拳心論より)』
山中慎介氏 元WBC世界バンタム級王者
『結果論になってしまうが、序盤の攻防が全てだった。村田は1、2回とブラントの手数やスピードに押し込まれ、相手のリズムに巻き込まれると、焦りが生まれ、力みも出てきた。3回以降、得意の右が当たり始め、5回には相手をふらつかせるほどのパンチで攻勢をかけた。だが6回は打ち疲れもあってか、動きが鈍り、ガードも甘くなった。いつも以上にスタミナを消耗してしまった。
ワンツーから左をつなげる形を練習してきたが、空転する場面も目立った。それはブラントが常に足が動いていた証拠でもある。相手の足を止めるためのボディー打ちも、最後までうまく入らず、相手を追う展開を強いられた終盤は失速してしまった。
ブラントはよく研究していた。村田の右の打ち終わりに左ジャブを合わせることを徹底し、反撃を最小限のところで食い止めた。ガードの内側を通すパンチは軽いながらも着実にダメージを与えた。スピードに自信があるからできる技術だ。
ただ、採点は予想以上の大差がついた。傾向としてラスベガスは手数重視でポイントを振るとは聞くが、好打が多かった中盤は村田にもう少し与えてもよかった。採点ほどの実力差があったとも思わない。
村田は五輪で金メダルを取り、プロでもミドル級世界王者になり、今まで日本人選手ができないことをやってのけた。突っ走ってきたから、今はとにかく休んでほしい。(山中慎介ジャッジ)』
香川照之氏 特別ゲスト/俳優
『ブラントのスタミナが落ちると思っていたが、それが最後まで落ちなかった。ブラントがよかった』
KJインプレッションズ
あまりにも衝撃的で、夢の遠のく敗戦だった。
WBA世界ミドル級タイトルマッチ。ボクシングの聖地ラスベガスで、村田諒太選手はロブ・ブラント選手に終始ペースを握られるどころか滅多打ちにされて、2度目のタイトル防衛に失敗した。
予感はあった。しかし、ここまで一方的にパンチを浴び続け、一方的なジャッジが下されるとは予想外だった。
この試合で1つ明確になった事がある。
それは、村田諒太選手の試合に対する関心の少なさである。これはWEBサイトを管理している人ならば判るであろうし、何よりも今回の試合をライブ配信したDAZNは目の当たりにした筈だ。
当ブログにおいても、井上尚弥選手の記事へのアクセス数と比較して1/10程度、先日現役復帰した井岡一翔選手の記事へのアクセス数と比較しても1/5程度に留まっている。
今回の試合に限らず、アッサン・エンダム選手とのダイレクトリマッチを制して戴冠した試合でさえ、そうだったのである。
これは利害関係者の多くにとって、むしろ敗戦よりも大きな誤算だった筈だ。
村田諒太選手と彼の陣営は、アマチュアボクシング五輪金メダリストとして、プロボクシング世界チャンピオンとして、そして世界で最も層の厚いミドル級の選手として、日本のボクシング界を世界基準すべく、その役割を引き受けてきた。DAZNで配信するという試みもその1つだ。
しかし、実際には利害関係者の方々が意識するほど、ボクシングにそれほど大きな興味を持たない層への希求力は強くなかったということだろう。悲しいかな、日本のボクシング界が世界基準ではないが為に「ミドル級の世界王者」という肩書きが如何に凄いかということを、イマイチ理解できなかったことにあるだろう。
もう1つの理由は、ボクシングファンが村田選手を懐疑的な目で見ていたことだ。ボブ・アラムという世界的なプロモーターの下で「作られた王者」という意識があった。だからこそ、この試合は日本のボクシングファンの注目が高く、ファン以外には届いていない試合だった。
この試合に勝てば、爆発的な人気に繋がったかもしれない。そして、ゲンナジー・ゴロフキン選手とのメガマッチ実現に進んで行った筈だ。しかし、そうした目論見は音を立てて崩れ去ってしまった。逆に、ボクシングファンの懐疑的な見方や一般人が注目していない理由を、自ら肯定してしまったのだ。
プロボクサー村田諒太の商品価値は大暴落である。
では、商品価値の下がった村田諒太選手はこのまま引退すべきだろうか?個人的には全くそう思わない。むしろ「続けるべき」だと感じている。
まず、この試合で村田諒太選手のボクサーとしての限界が見えたかのような意見が大多数を占めているが、それは間違いだと断言する。
この試合の敗戦の原因の半分以上は、村田陣営全体のミスにあると考える。元々予定していなかった対戦であり、しかもブラント選手の真の実力を見誤ったまま、交渉における優位性だけを確保して引き受けてしまった。全ての悪夢はそこから始まっている。
確かにWBSSでのブラント選手のパフォーマンスは決して印象的では無かった。しかし、それは適正体重ではなく、急遽階級を上げて挑んだスーパーミドル級初戦でのタイトルマッチだった。
一方でチャンスを得ることの難しいミドル級で、残念ながら最も評価の低い王者との対戦が決まったとなれば「このチャンスを逃すまい」と死に物狂いで練習して、上積みを図ってくることは容易に想像できる。
村田陣営はこの上積みを見誤っていたし、そもそも「ブラント選手がどのような選手か?」という認識の時点から間違っていたのではないかとさえ疑ってしまう。この試合で村田選手はブラント選手の連打に対して明らかに戸惑っていた。
ブラント陣営が一枚も二枚も上手だったということもできるが、それよりも村田陣営がブラント選手を舐めてかかっていたことと、村田選手の適応力を過信していたと見る方が適切だろう。
もう1つの敗因は減量の失敗だ。自分の目から見て、前日計量の村田選手は青白く、あまり覇気が感じられなかった。計量とは言え体調が良いとは思えなかった。写真がそれを物語っていると思うのだが、果たしてどうなのか?自分はこの時点で負けを覚悟していた。
一方で「もう一度戦っても同じ結果」になるとは思わない。ブラント選手は今回の試合よりも自信を持って同じ路線で戦うだろうし、それは非常に厄介だ。
しかし、村田選手もまたブラント選手の戦い方をよく理解し、対処してくる筈だ。エンダム選手との第2戦然り、的確な準備をしてきた村田選手は初戦から大きな上積みを遂げてくる筈だ。
村田選手は試合の中で新しいことをやれる器用なタイプではないが、練習してきたものはしっかり出せる選手だ。今回の試合では、それがブラント選手を止める役には立たなかったというだけに過ぎない。的確な準備をすれば、ブラント選手を止める力が村田選手にはあると思う。
リマッチがあれば「村田選手は勝てる」と断言することはできないが、勝負になるだろう。1人のファンとして、それを見てみたい。
あれだけ打たれたのだから、村田選手には暫くゆっくり休んで欲しい。ただ、もう一度立ち上がるのならば早い方が良い。
ゴロフキン選手とのメガマッチが遠のいたことは残念だ。しかし、ゴロフキン選手と戦う前にこうした経験を積めたことはラッキーだったとも思うのだ。ゴロフキン選手にこの負け方をしていたら、おそらく辞めるしかなかっただろう。
けれども、また伸び代を見つけられた。より良い選手となってゴロフキン選手と戦えるかもしれないのだ。今はそれが楽しみなのだ。
言うほど簡単なことではないのだろうが、まずはブラント選手に借りを返すことだけを考えて再びリングに立って欲しい。先のことなどどうでも良いし、一度くらい自分のプライドの為だけに戦う機会を与えられても良い筈だ。
村田諒太はここで終わる男ではない。
そう信じている。
WBA世界ミドル級チャンピオンのベルトを掲げて再びリングに戻ってくる村田諒太選手。
2度目となる防衛戦の舞台は聖地・ラスベガス。対戦相手はWBA指名挑戦者となる同級2位ロブ・ブラント(27=米国/23勝16KO1敗)に決定。
182センチの右ボクサーファイターで、15年10月にWBC米大陸ミドル級王座、16年1月にはWBA北米同級王座を獲得。昨年10月、井上尚弥選手の出場で日本での注目も高まってきた『WBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)』のシーズン1に本来の階級より1つ上のスーパーミドル級で出場し、元WBA・WBO世界ライトヘビー級王者ユルゲン・ブレーマー(39=ドイツ)と対戦。12回判定負けを喫しプロ初の黒星を経験。18年3月に再起戦を1回KOで飾り、今回の世界初挑戦に挑んできます。
日本人五輪金メダリスト&五輪ミドル級金メダリストとして初の世界タイトル獲得を果たし、日本人初のミドル級防衛という快挙を達成した村田諒太選手が、メガファイト実現へ向けてどんな戦いを見せてくれるか、期待が高まります!